ガバルニー大渓谷 快晴の絶景に感動
年月日 2010年7月24日
天気 晴れ、夕方曇り
タイム Cauterets(8:05)=Gavarnie(9:25/9:40)…La Grande Cascade(11:10/11:15)(1800m) …Gavarnie(12:50/13:00)=Col de Tentes(13:30/13:35)…Pic de Tentes(13:48/14:35)(2322m) …Puert de Bujarueio(15:05/15:15)(2273m)…Col de Tentes(15:38/15:52) =Col du Tourmalet(17:12/17:20)(2115m)=Arreau(18:30)=Bagneres-de-Luchon(19:15/19:27) =Col du Portillon(19:55)=Val d'Aran Camping Forcanada(20:10)

Gavarnie(ガバルニー村)から望むCirque de Gavarnie(円形劇場ガバルニー圏谷)
 Cauterets(コトレ)を後にプランス側ピレネーの代表的景勝地Gavarnie(ガバルニー)へ向かう。上空は雲が多くて山の景観が見られるか疑問であるが行ってみないとわからない。街道の途中にある小さな町では旧市街地の道路が入り組んでいて判りにくく、D-921を直進して間違ったTourmalet(トゥルマレ峠)の方へ入ってしまい途中で引き返す。また相変わらず時々自転車に行く手を遮られて距離が近い割に時間がかかった。進むにつれ青空が広がり、今日はフランスの平野部に漂う雲が標高の高い所まで上がっていないので山は良く晴れているようだ。これはラッキー、Gavarnie村入口で係員が公共駐車場の料金徴収していて4.0Euroを払う。まだ観光客には時間が早いので駐車スペースには困らず、早速代表的コースのCirque de Gavarnie(ガバルニー圏谷)へ向かう(スペイン側はCirco、フランス側はCirqueとなる)。
 メインの通りを進むと前方にはヨーロッパ最大の落差を持つ滝とPico de Marbore(マルボー山)(3248m)を中心に、Picos de Astazon(3012m)からEl Casco(3006m)までピークが並び、屏風のような岩壁が連なっている。道の両側には絶景が望めるレストランやホテルが立ち並び、立地は最高である。奥には眺めが最高のキャンプ場もあった。でも滞在する人はそれほど多くは無いようで、混雑している様子は無い。フランス観光は旧市街などの街が中心で、山はついでに日帰りで訪れるという感じなんだろうか。奥にも私設の駐車場があって料金はわずか高い程度。Hotel de Cirqueまで乗馬で行くホース・トレッキングもあり、多数の人で賑わっている。途中何回か馬やロバの行列を見た。静かな山を楽しむ雰囲気は無いが、小さな女の子がロバやポニーに乗って可愛いらしく愛嬌をふりまく姿にも見とれてしまう。左右にもPimene(ピメネ山)(2891m)やPic Mourgat(2103m)といった展望の良いトレッキングができるピークを見上げ、渓流沿いの道は日陰では涼しく清々しいピレネーアイリスなど花も咲いている、ただスペイン側に比べてフランス側は花が少ない印象(これは時期やルートにもよるかもしれない)。
La Grande Cascade(ガバルニー滝)の直下へ、いく筋も滝が流れる絶壁
 由緒ありげな旧い建物のHotel Hotel de Cirqueが絶景の前に1軒だけ建っている。昔から変わらない光景なのだろう。付近は休憩する人でいっぱいであり馬もうっとおしい。この先は徒歩のみとなり、滝の真下まで向かう。ここまで登ってくるのはある程度元気な人に限られる。水しぶきが飛んできて涼味満天、眼前にはいく筋も細い滝が流れる絶壁を仰ぎ見る。またしてもオペラ劇場の舞台に立って、天然の造形の不思議さを改めて認識。地図を見ると、岩壁の上は一昨日Goriz小屋から見たスペイン側の比較的平坦な台地になっていて、Monte Perdido(ペルディド)(3355m)がその最高地点となり、断崖が連続するOrdesa(オルデサ)渓谷が深く入りこんでいるのだ。地図を見るとこのようなCirque(Circo)がこの周辺に多数存在する。氷河地形の痕跡がこれだけ顕著に見られるのは貴重なエリアである。また押しきせがましい地質年代的な解説が全く無い(少なくともVisitor Centerなど観光客が来る所には)というのもこの地域の特徴で、見て感動すれば十分ということだろう。対岸にはHRP(GR-10,GR-11より稜線よりを歩くハイグレードのトレール)が岩壁の弱点をついて上のRefuge des Sarradetsの小屋へ向けてつけられている。危険コースということで歩く人は稀のようだが、1パーティが登っているのが判った。
Pic de TentesからVignemale(3298m)の裏側を望む
 Gavarnie村の駐車場まで引き返し、午後は車を乗り入れられる最高地点Col de Tentesへ行ってみる。明るい草原地帯にスキーリフトが多数設置された中、ヘアピンカーブの道を登っていき終点のCol de Tentes駐車場(2208m)へ。ここまで登ってくる車の数はそれほど多くはなく満杯になるほどでもない。目の前のピークPic de Tentes(テント山)(2322m)へ一投足で登る。午後も晴天が続き素晴らしい展望。三角錐のTaillon(タイロン)(3144m)を始めPunta Bazillac(2978m)からPicos de Gabieto(3034m)へ岩峰が目の前に連なり、日本の穂高や剣、いやそれ以上の迫力だ。岩場の下をトラバースしてRefuge des Sarradets(サラデ小屋)までHRPのコースができている。小屋はここからは手前のPic des Sarradets(2739m)の陰になって見えないが、コースを歩く人の姿が見える。スペイン側Goriz(ゴリッツ)小屋への抜け道となっていて、伝説にもなっているという名物のBreche de Roland(ブレーシュ・ド・ローランド)の歯が抜けたような特異な岩の切れ目がはっきりわかる。それから昨日はほとんど見えなかったVignemale(ビニュマレ山)(3298m)が、手前のPic de Saint Andre(2608m)などのピークの間から望め、北壁の迫力はないものの山頂を反対側から拝むことができたのも嬉しい。目を転じると遠方にフランス側にも多数の山々、地図によるとPic Long(3192m), Pic de Neouvielle(3091m), Pic de campbieil(3173m)やSoum d'Aspe(2868m), Malh Arrouy(2965m)などの名を連ねている。つい時間が経つのも忘れてこのピークに長居してしまった。この先Pic de la Pahule(2292m)へ道が続いていて、そこまで行けばCirque de Gavarnieを見下ろす感じになりそうだが往復は1時間以上かかりそうなので止める。
国境へ続く道からTaillon(3144m)を始めBreche de Roland(ローランド)付近の眺め
 ピークから戻り、今度は車両進入禁止の幅広い車道を直進して、スペイン国境のPuert de Bujarueio(ブハロエロ峠)(2273m)まで歩いてみた。土砂崩れで車両は通行不能だが、平坦な道は終始、さきほどピークから眺めた左手の岩峰群の眺めが良く、Gavarnieへ続く谷の源頭もお花畑になっていて散歩気分で歩くには良い所。国境は風が吹き抜けて寒く、簡単な道標があるだけの所。反対側にPic de Tendenera(2853m)などVignemaleの南に連なるスペインの山々が望める。スペイン側から歩いて登ってきてさらにRefuge des Sarradets(サラデ小屋)からBreche de Roland(ローランド)方面のルートを歩いている人が結構多い。スペインの人たちはBujaruelo(ブハロエロ)の町からここまで標高差1000m近くを登ってくる必要があるがフランス側からはわずか20分である。しかしそんなことは何とも思っていないという風であった。  Gavarnie周辺の山の展望には満足して帰路につく。明日はBarcelonaへ向かう途中、Yさんに薦められたVall de Boi(ボイ渓谷)に立ち寄って行こうと思う。移動距離は長いので、今日中にできるだけ車で進んでおきたい。行きにまちがえたD-921号線に入り、Col du Tourmalet(トゥルマレ峠)(2115m)を越える。ツール・ド・フランスでも最難所で有名らしくなかなか長い道のり。自転車で峠越えのトレーニングする人の方が車より多いくらい、思わず車から降りて写真を撮りつつ声援を送る。峠の頂上には自転車で走る選手の銀色のモチーフ像が掲げられている。かなり雲が上がってきているが時々Vignemale方面など山を望むことができた。Col d'Aspin(1849m)を越えてArreauの町、ごちゃごちゃして少々迷い、もうひとつCol de Peyresourde(1569m)を超えてLuchon(ルーション)の町へ。トイレにでも、とフランス国鉄の終着駅に立ち寄る。古い客車が止まっていたがここもほとんどバス輸送に切り替わっているみたいでホームには浮浪者風の人もいてトイレも使えなかった。もう一つCol du Portillonの峠を越えるとスペインに入る。スペインに入ったとたん道が良く親切な標識も多い。Val d'Aran(アランの谷)を貫くN-230に出ると高速道路並みの立派な道路。キャンプ場の看板があちこち見られるようになり、道路に近い適当な所に入る。遅い到着だったが事務所に居た若い男の子が親切に応対してくれた。概ねスペイン相場の15.3Euroを払う。お客さんは少なく閑散としていたが、こんな所でも小さな売店とBarがしっかり営業していた。ビールを仕入れて残った食材を自炊してたいらげる。

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