雨に祟られたルートバーントラック
年月日 2010年1月3〜5日
天気 4 雨のち曇り、夕方晴れ間,5 曇りのち雨
タイム The Devide(532m)(15:50)…Howden Hut(700m)(16:45//9:25)…McKellar Hut(650m)(11:10/12:00)
…Howden Hut(13:55/14:05)…Key Summit(919m)(14:35)…Alpine Nature Walk…Key Summit(15:40)
…Howden Hut(16:10//4:46)…Mackenzie Hut(1000m)(7:00/7:30)…Hallis Saddle(1255m)(10:05/10:15)
…Conical Hill(1515m)(10:40/10:55)…Harris Saddle(11:20/11:30)…Mackenzie Hut(13:30/13:50)
…Howden Hut(16:00/16:15)…The Devide(17:08)

Greenstone TrackのLake McKellarと背後の岩山
 The Devide登山口からやや重い荷物をかつぎ、雨はやんだもののガスの中を登っていく。道は良く整備されている。この時間もRouteburn Trackを歩いてきた人、Key Summit(キーサミット)等へ日帰りハイクのグループなど人に会う。Lake Howden(ハウデン湖)(700m)の湖畔の小屋には、宿泊者が既に到着して賑やかだった。トレッキングの人以外に、家族で自然の中での滞在を目的に来たり、魚釣りが目的のロシアのグループなども。小屋にいたWaden(管理人)は初老で口数少ない優しい感じの男性。入り口に本日のWadenの名前が書いてあり、日によって交替するようだ。Visitor Centerでもらった説明にガスコンロ完備とあったが点火装置が無く、他の人に貸してもらうがいちいち面倒なので管理人にお願いしてマッチを借りた。ライターは必需品である。自炊メニューは夜がパスタかライスに野菜と肉を入れたパスタソース、朝はパン・ヌードル・インスタントコーヒー、昼はケーキやお菓子の行動食といったパターンになってきた。他の人はと見ると意外にジフィーズのような簡素な食事の人が多く、私が生野菜・コールドビーフにワインを嗜むのを見て羨ましいと言われた。NZの子供たちが元気に跳ね回るのでちょっと騒々しい小屋であった。
Key Summitの湿原からAilsa Mountainsの峻峰を垣間見る
 翌朝Routeburn Track最上部までアタックをかけようと早朝に起きるが、外は期待はずれの雨で時々激しく降っている。半ば行く気をなくして様子を見るが好転の兆しは無く、本日はGreenstone Track方面のMcKellar Hut(マッケラー小屋)辺りまで短めの予定として明日に賭けることにした。再びベッドにもぐり9時過ぎにまだ降る雨の中のんびり出発。少し行くとLake Howdenのテント場があるが誰も居ない。Greenstone TrackはDOCの解説では、Great Walksに対してより野性味の高いTramping Tracksとして紹介され、確かに歩く人は見かけなくなり道の状態も悪い。Routeburn Trackから続けてGreenstone Trackを歩くGrand Traverse(グランドトラバース)というコースも紹介されている。平坦な湿地に出るとKaples Track(ケイプルス・トラック)という派生コースが分かれ、そちらはさらに悪く踏み跡もはっきりせずルートファインディングが必要だと思う。雨のせいでぬかるみがひどく、増水して渡渉に近い箇所もあった。少しずつ標高を下げ、細長いLake McKellar(マッケラー湖)の岸を進み、湖の末端の少し先へ行くと、周囲が開けて草原状の広場に建つMcKellar Hut(650m)に出る。駐在のStuffは無し、ノートを見ると泊まるのは1晩1パーティいるかいないかぐらい。小屋の前にV字型のNZ的スタイル?のつり橋があり、足場の板が細いので少々スリルがある。橋を渡った先から道は谷を延々と下っていく。この地のほとんどのコースは谷に作られており、Routeburnのようなスカイラインコースは珍しい。ここで引き返すことにする。雨が上がり帰り道は雲の間からJean Batten Peak(2012m)をはじめとするAilsa Mountains(エイルサ山脈)の一部と見られる岩山が少し覗くようになった。Greenstone Track最上部ピストンで会ったのは2パーティだけだった。
 Howden Hutに戻る頃には好天化の兆しが見えてきたので、今度はKey Summit(919m)に行ってみる。U字谷の起点に残された平坦な高層湿原の台地になっていて、高山植物が咲き展望にも優れ、The Devideから気軽に登れるので多くの人が訪れている。一周20分程のAlpine Nature Walkという歩道が設けられ、Ailsa Mountainsの峻峰が雲の流れの間に顔を出し、眼下の一昨日訪れたLake Marianの湖面など眺めを楽しむ。
Harris Saddleも近づき左手に岩場状のConical Hillが見える
 夕方には青空が広がってきたので、翌朝は暗いうちにヘッドランプをつけて軽い荷物で出発。はじめ星空が見えていたが、すぐに厚い雲に覆われ星が見えなくなった。人に期待をさせておいてまた裏切られたか。Key Summitから見たAilsa Mountainsの斜面をトラバースして、無数の沢を横断、1箇所落差の大きいEarland Falls(イヤーランド滝)があるがまだ暗いので帰りにゆっくり見ることにする。Mackenzie Hut(1000m)まで3時間のところを2時間15分で来た。ここLake Mackenzieから、双耳をなすEmily Peak(1820m)とOcean Peak(1848m)の眺めは、Routeburn Trackの代表的景観としてパンフレットに載っているが、残念ながら山はガスに隠れたままだ。宿泊者はそろそろ起きてきた所という感じで、朝早くから歩いてきた日本人は奇異に移ったのか「どこから来たの?」と訊かれる。手前にGuide Tour専用のデラックスな小屋が有り、No Entryと書かれているので中の様子は伺い知ることができない。こちらはワイン飲み放題という話、でも山の中までこんな差別しなくてもと思うが。7分程先のキャンプ地にも寄ってみると、やはり全てのスペースは埋まっていた。
 樹林帯の登りから森林限界を超えOcean Peakの側面にあたる砂礫の道を進む。道は整備されているので雨天でもさほど歩きにくいことは無い。左手はHollyfordのU字谷を隔ててDarran Mountains(ダーラン山脈)が続き、晴れていれば展望が素晴らしいのだろうが、今日の天気では満足のいく視界は望めない。それでも雲の切れ間からは所々雪山が顔を覗かせていて、想像をかきたててくれた。進むにつれ右手側も稜線まで視界が得られて、稜線付近の雪渓と岩場が望めるようになり、それなりにアルペン的雰囲気が感じられた。Mt. Cook Lily(マウントクックリリー)や潅木類(マヌカ?)の白い花など高山植物が所々で楽しめる。だらだら長丁場の緩い登りを続けてようやく峠越えのHarris Saddle(ハリスサドル)(1255m)に到着。左にはサブコースになっている岩場状のConical Hill(コニカルヒル)(1515m)も見える。出発から5時間20分、Conical Hill(1515m)(コニカルヒル)を往復する時間は十分ある。ところがConical Hillへの入口には残雪のためClosedと書かれ、トレッカーは誰も登っている様子が無い。良い道が続いているので私は自己責任で行ってみる。途中2箇所ほど雪の上を歩くが特に困難はない。しかし頂上直下に来ると道は雪渓状の下に隠れ、トレッキング靴でその上を行くのは厳しくなった。ここは左側の難しくない岩場を登って、無事頂上に出ることができた。岩場の上で結構広くなった山頂からは何とか視界が得られ、眼下にはLake Harris(ハリス湖)、その左に上部はガスに包まれたMt.Xenicus(1912m)の山すそなどを眺める。晴れてこないかとピークで少し粘ったが、むしろガスで視界が閉ざされ小雨も降ってきた為、あきらめて下る。
Conical HillからLake Harrisとガスに包まれたMt.Xenicus(1912m)方面を望む
 カモシカ山行の覚悟でさらにRouteburn Fallsまで強行するという考えもあったが、この天気なのでHarris Saddleから引き返す。この時間だとトレッカーの数が大分増えたが、Darran Mountains方面の視界はほとんど無くなった。Conical Hillまで視界が得られただけでも天に感謝しよう。あとは同じコースをひたすら戻るだけ、雨模様だしMackenzie Hutの先は登り返しもあってうんざりしてくる。Earland Fallsは上部が霧にかくれてしまっていた。Howden Hutにデポした荷物を回収して重荷での最後の踏ん張り、行動時間12時間半にて無事、The Devideまで歩き終えることができた。

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