クリスタッロ 有名な天空の吊り橋 Ivano DivonaヴイアフェラータとCristallino d'Ampezzo(3008m),Cresta Bianca(2932m)登頂 ヴァル・デ・ファッサへ
年月日 2013年7月14日
天気 晴れ時々曇り、午後にわか雨
タイム Hotel Villa Gaia(8:20)=リオジェーレ(8:35/8:50)=[リフト]=ロレンツィ小屋(9:25/9:40) …Cristallino d'Ampezzo(10:28/10:40)…Cresta Bianca(11:30/11:40)…ロレンツィ小屋(12:40/12:58) =[リフト]=リオジェーレ(13:35/14:00)=コルティナダンペツォ(14:12)=ジアウ峠(14:42/15:20) =Passo Fedara(16:15/16:22)=Pera(16:55)=Vich(17:10)

ヴィアフェラーテで雪上やトンネルを登って行く
 ドロミテの山を終日楽しめるのは今日が最後となる。今日も晴天、今回ドロミテの山旅は特に後半は本当に良い天候に恵まれた。昨日と同じミズリーナ湖へ向かう道の途中、リオジェーレ(1698m)からリフトとテレキャビンを乗り継ぐとクリスタッロの3000m級の稜線へ一気に上がることができる。まずスキーリフトでソンフォルカ(2215m)の草原へ上がる。リオジェーレの反対側はファローリア(2123m)から来るスキーコースがあり、その奥がソラピス(3205m)である。またここはポマガニヨン(2450m)の山稜を歩くコースの出発点でもある。ドロミテの突頂群の中にあってはちょっと目立たない存在であるが、ポマガニヨンだけで見れば立派な岩場の山でヴィアフェラータもある。テレキャビン運休のためクリスタッロの代わりに歩いたという報告がある。
 サッソルンゴと同じような立ち乗りの小さい2人乗りカプセルに乗り込み、ガレ場のルンゼ上を急傾斜でぐんぐん上がって行き稜線の狭いコルに降り立つ。左右どちらへ行ってもヴィアフェラータ。右手がCima de Mezzo(3154m)へ登頂するMarino Bianchiというコース、左手はCristallino d'Ampezzo(3008m)を経てコルティア方面へ下っていくIvano Divonaという長いコースで、いずれも若くして亡くなった地元山岳ガイドの名前が付けられたということだ。どっちに行こうか、右手に階段を上った台地にロレンツィ小屋が岩にへばりつくように建っていて、小屋前のテラスへ行ってまずは周辺を眺めることに。Cristallino d'Ampezzoまでの往復は一番易しいコースで、その先のCresta Bianca(2932m)からIvano Divonaを歩き通すのは同じグレードらしい。最高峰Monte Cristallo(3221m)へはCima de Mezzoのさらに先となり、ヴィフェラータも設置無しのためエキスパートのみの世界となる。
お目当ての天空の吊り橋を渡る
Cresta Bianca(2932m)途中には防空壕の残骸が見られる
下の切符売り場で確認した時に、Cima de Mezzoのコースは積雪の為クローズだと言われた。Cima de Mezzo方面へ向かうグループも見られたが、若いエキスパート風のリーダーが率いているように見え、コースの状態も残雪が目立ち固定ワイヤーが隠れている危険性もあると思われた。有名な天空の吊り橋を体験するためにも、まず確実なIvano Divonaの方へ向かうことにする。

Cristallino d'Ampezzo(3008m)から駅を隔ててセックステナードロミテを展望
 リフト乗り場横の階段を上がった所からヴィアフェラータをセット。いきなり硬い雪がでてくるが足場がしっかりついていてアイゼンは無しで大丈夫だ。次は塹壕のトンネル、内部は凍っていて滑りやすく足場に注意。切り立った岩場の稜線ルート上に雪はほとんど無く確保もされているので安心快適だ。前方に名物の天空の吊り橋が見えてくる。TV番組で紹介され日本でも良く知られるようになった。3000mの深いキレットの岩場を正に稜線を飛び移るように長い橋が架かっているので外見は迫力満点だ。先行の5人組が1人づつ通過するのを待って渡る。両側に針金の手すりもあり、下の板もしっかり隙間無く張ってあるので渡るのに見かけほどの不安はない。吊り橋の先は長い梯子を登る。分岐点から先行パーティーに続いて左にたどった所がCristallino d'Ampezzoの山頂。トラバースからヤセ尾根、直下の岩場とちょっとスリルを味わって狭い山頂へ。北側はすっきり晴れ渡り、Croda Rossa(3146m)の三角槍の向こうに遠くオーストリア方面の白い山脈も確認できる。キャビン駅のコルの向こう側は、昨日のトレチーメやセックステナードロミテの岩峰群だ。そしてコルティナの街を隔ててトファーナとマルモラーダの姿、南側はちょっと雲が湧いているが怪峰ペルモ(3168m)とチベッタ(3220m)の姿も確認できる。
 この山頂をパスして先のIvano Divonaへ多くの登山者が狭い稜線上を下って行くのが見え、一段下った所に戦時中の建物跡が遺跡のように残されているのが割と近くに見える。そのあたりまで行ってみようと、自分もIvano Divonaコースをもう少し先へ行ってみることにした。垂直な部分もある急な岩場の下りを手すりや梯子を頼りに慎重に進む。先行のパーティーやすれ違いなどで順番待ちが多く思いのほか時間がかかる。下りきると傾斜は緩くなり、山頂から見えた、岩を削って作られた塹壕や石造りの小屋の残骸が次々と現れる。窓や入口など当時の形がそのまま残っている部分もある。こんな狭い稜線がかつては戦争の最前線であり、兵士が走り銃弾が飛び交ったことを物語る。ひと登りした所がCresta Bianca(2932m)の頂上、また先の5人組と一緒になる。彼らは先に進むようだが、フルに車道まで下るのは戦時中の物資輸送路だったロングコース、途中Forcella Alta(2640m)からソンフォルカのリフト駅へショートカットするコースもガレ場ですっきりした岩場は望めず、結構時間もかかるようだ。自分は往復券を買ってあるのでここで引き返すと言って別れの挨拶をする。目の前には、今山頂から下ってきたCristallino d'Ampezzo(3008m)の岩壁がどんと大きく望め、こちらから見上げるとさらに迫力が増す感じだ。
Cresta BiancaからはCristallino d'Ampezzoの岩壁が眼前に聳えている
 同じ道を引き返してテレキャビンの駅へ戻る。登山者がだいぶ減ったので途中の待ち時間がなくなり、来たときに比べて全然早かった。吊り橋のあたりまでは子供もヘルメット装備を付けて家族で登って来るのを見かけた。反対側のCima de Mezzo方面から若い男女グループが来たので、先頭のガイドのような男性に聞いてみると、山頂まで行ったようで良いコースだったと言う。最初は自分も往復するつもりだったが、十分ヴィアフェラータを楽しめたし、雪や昨日の怪我を考えると早めに切り上げることにした。彼はあと一週間もすると雪はほとんど消えてしまうと言っていた。駅で装備を外して一休みしていると、日本人の若い夫妻と女の子が駅から出てきたが、岩と雪の世界に圧倒された様子で、この先子供でも行けそうですか?と聞かれた。すぐ上の小屋までは雪の上に道が付いているので大丈夫、でも天空の吊り橋までは装備が無いと無理と答える。でも女の子はこの雰囲気か3000m高度の影響か怖がって、これ以上はどこへも行かないと鳴き叫んでいる。さきほど現地の子供が威勢良く登っている姿を見たので日本人はなんて軟弱なのかと残念に思う(人によりけりであるが)。
 本日夜の宿泊はフレキシブルにするため唯一予約無しにした。上記のようにコルティナで粘ってぎりぎりまで山を歩くのはやめて、来た時と異なるルートでレンタカー返却のヴォルツァーナへだいぶ近づくヴァルデファッサ辺りまで行って一泊しようと思う。そうすれば明日の日程は余裕である。
移動途中の町から怪峰ペルモ(3169m)を遠望
コルティナの街に別れを告げ、途中で左に曲がってジアウ峠へ向け登り坂を走る。右手には針葉樹の山の頂上部にチンクエトッリの岩がモニュメントの様に突き立っているのが見え隠れする。ジアウ峠では、車・バイク・自転車・観光バスなどぎっしりであったが、道路脇に駐車スペースを見つけてしばらく付近を散策。一帯は草原状でラガツォイから見たPunta Lastoi de Formin(2657m)とPunta Giau(2414m)の特徴的な横長の岩壁が目の前に見える。峠のRifugioの背後にそびえる岩峰はRa Gusela(2595m)、その先は初級のNovolou(2574m)ヴィアフェラーテがあり、ハイキングでファルツァレーゴ峠方面へ抜けたり、峠の反対側へはCroda da Lagoの小屋を経てコルティナ方面へ歩くコースなど日本語サイトの報告を見た。参考文献の本にも書かれているが、ドロミテエリアを歩くコースは実に数多く多彩で、今回歩いた代表コースはほんの一部だ。
 ジアウ峠から下ってペルモの姿が美しい小さな町を過ぎ、続いて小さな峠を越える。マルモラーダへのロープウェイがあるマルガチアペラまで来るとリゾート風のホテルが増えてくる。さらにPasso Fedaraに上がって来ると、Lago De Fedaiaの湖を前景にマルモラーダ氷河が美しい。カナツェイまではマルモラーダ登頂の日に往復した道。
自転車のモニュメントも建つジアウ峠
カナツェイからそのまま谷を直進するとヴァルデファッサ(ファッサ渓谷)で、ローゼンガルテン・カティナッチョの山域に上がるリフトがかかり、点々とホテルなどが立ち並ぶ。一番大きなロープウェイがあるVichという町に泊まろうと思う。Informationは17時で閉まっていた。車を停めて歩いてみるとカナツェイに比べて小さくこじんまりした町だ。中心部を少し外れた所で、割と質素でそこそこ大きいDolasilla Park Hotelに訊いてみると、飛び込みでも親切に応対してくれて2食付きで70Euroだったので泊まることにした。今回、他は時間が不定ということもあり全て日本で夕食無しで予約していた。夕食付きは何も迷わずスープからデザートまで付くので楽である。街中を散歩しながらレストランを探すのも良いが、小さな町では2食付きが良い。今回は飛び込みだったので味はそこそこか、味が良いと評判のホテルを探してそれも楽しみとしている旅行通の人もいる。泊まっているお客はスタッフと顔なじみでのんびり長く滞在している様子だった。

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