ヴィアフェラータ初挑戦 チル山群 グランチル(2592m)・ピッコロチル(2520m) カナツェイへ移動
年月日 2013年7月9日
天気 晴れ時々曇り、午後雷雨
タイム Hotel Garni Eden(8:08)=ガルディーナ峠(8:28/8:46)…グランチル登り口(9:04)…ヴィアフェラータ開始(9:26/9:35) グランチル山頂(10:06/10:26)…ヴィアフェラータ終了(10:50)…ピッコロチルガレ場の上フェラータ開始(11:30/11:43) …ピッコロチル山頂(12:08/12:25)…ガルディーナ峠(13:25/14:03)=カナツェイ(14:50)=Hotel Resort Al Sole

小さな岩峰が連なるチル山群、左側がピッコロチル(2520m)で中央がグランチル(2592m)
 今日はヴィアフェラータの入門コースがあるチル山群を目指す。セッラ峠への道の途中からコルヴァーラ方面へ右に入り、最高地点のガルディーナ峠(2121m)まで行く。早速係員が来て駐車料金4Euroを払う。3時間までは1Euro/hourであった。南側はセッラ山群の断崖絶壁が横に連なっており、何層もの城壁の上に築かれた山上の城に例えられるのが良くわかる。これから目指す反対のチル山群はひとまわり小さな岩峰が並んでいる。西側のDantercepiesにセルヴァから上がって来るロープウェイがあったはずだが廃止となり撤去されたようで、跡地にホテルか何か建築工事中だ。東側のJimmyまでコルヴァーラ側から登ってくるリフトは動いている。付近の草原を周回する散策道がつけられ、道標に導かれてグランチルの登山ルートに入ると、次第に急なルンゼ状のガレ場になり先行者が何組か見られる。右側の岩場のバンドに固定ワイヤーが付けられ、ハーネスとヘルメットを付けていよいよ初めてのヴィアフェラータを開始。カラビナ2本を針金に賭けて支点では1本ずつ掛け替えるだけで要領は簡単。これで固定ワイヤーさえしっかりしていれば安全確保されるのだから有難い。バンドは上から水が染み出して若干滑りやすい所だったが、傾斜も緩く困難は無い。4-TravelのWebsiteなどの報告では、グランチルは易しい入門ルートとなっている。 此の先、一旦ワイヤーが無い普通の道をしばらく登り、再びワイヤーに引っかけて易しい岩場を登って行くと山頂の十字架が見えてくる。30分ほどの登りで頂上に到着、呆気ない感じだった。雲が湧いて景色はあまり見られないが、雲の切れ目から眼下のガルディーナ峠の草原と周囲の岩峰が顔をのぞかせている。
ピッコロチルへのヴィアフェラータ
イタリアの若い美人女性2名も装備無しで登ってきたほどで、彼女たちは十字架の前でポーズをとって立派な一眼で何枚も写真を撮り合っている。山ガールファッションというのは無いのか、服装は極めてシンプルである。カメラを渡して自分のヴィアフェラーテ姿も撮ってもらった。登りと同じルートを下山。
 グランチルは器具の使い方の練習に近かったので、次はきつかったという報告もあるピッコロチルへ。工事中の為登り口がわかりにくく、作業員に聞いて教えてもらう。踏み跡が複数あって、ルンゼのいちばん明瞭な道を登ると、どうも下山コースの方に来てしまったらしい。途中で岩場の尾根の方に行く道があったのでそちらを行くと、ヴィアフェラータのワイヤーの所に出た。後で確かめたが、どの踏み跡できてもここがフェラータの始まりになる。前方で人の声が聞こえるものの姿は見えない。グランチルに比べると挑戦する人はだいぶ少なく、もちろん先ほどの美女2名も来ない。再び装備を付けて岩場に取り付く。ほとんど垂直な岩尾根やせたコルなど高度感ばっちり。本格的なクライミングルートを梯子や鉄杭の足場などにも助けられながら三点確保で登ることができた。頂上直下で先ほどのルンゼへの下山ルートを確認できてほっとする。最後の左手へひと登りが垂直できついが、足場の鉄杭1本を使わずに右斜めに上がって小さな十字架の立つ岩塔の頂上に出る。 30分強の短いコースながら岩場の緊張感を満喫できた。狭い山頂を占拠してしばし征服感を味わう。ガスが切れてきて、一時プエズ山群からガイスラー山群が眺められた。どこもかしこも断崖絶壁が連続、これがドロミテである。近くに目を転じると前後のギザギザの岩尾根の奥に、先ほどのグランチルの十字架とルートを登る登山者が見える。
 山頂を後に、直下の岩場は足場の鉄杭の助けを借りて下る。下山ルートも固定ワイヤーが設置されている部分が多いが、登りルートに比べると全然楽だ。
ピッコロチル山頂からプエズ・ガイスラー山群を望む
突然雷雨となり岩場で降られなかったのはラッキー、雨具を付ける。草原帯まで下って来ると再び青空が広がり、後方にチルの岩峰群の眺めが美しい。これまで雲に隠れていたサッソルンゴのゴジラのような岩塊も顔を出している。ひと雨降るとかえって視界が広がるような感じである。のんびりとハイキングコースを歩いて峠の駐車地点に戻ると激しい雨となり、付近にいた人はレストハウスの中に退避。雨と晴れ間が繰り返す不安定な天候である。昨日来たセッラ峠を越えて、セッラ山群の荒涼とした岩場を右手に見ながら、ヘアピンカーブを下って次の滞在地カナツェイへ。
 町へ下って来るとまた晴れ間が広がってきた。カナツェイは山間の町としてはかなり大きく、周辺に分散して多くの宿泊施設があるので、車で町中に入ってもネット予約した施設はすぐには見つからず、とりあえず中心部のInformationを訪ねる。立派な近代的な建物の中に入ると展示会場や会議室ばかりでどこへ行ったら良いのか迷うが、中に入らずに入口の隣に行けば案内所であった。無料でもらえるハイキングマップはとても立派、これなら市販の地図を買う必要もない。明日からの天気予報は雨マークが出ていないので、これは首尾よくマルモラーダを狙うことができそう。予約したAl Sole Resortは中心にほど近い所で、狭い道を上がって行くので車ではわかりにくい。各部屋にテラスが付いた新しい近代的なホテルで、部屋の施設もこれまでで最高であり、これで2泊70Euroというのはスペシャルプライスである。
Colac(2715m), Monte Crepa(2534m)など山々を眺めるカナツェイの町並み
5分ほど歩くと先の目抜き通りに出ることができ、町からCroda Nera(2605m), Sasso Di Rocca(2618m)などマルモラーダの西側に当たる雪渓と岩壁の山の眺めも良い。ただしマルモラーダ自体は町からは望むことができない。歴史的なホテルや家屋には、壁いちめんを色彩豊かな絵画で彩ったものが多く点在していて、こんな建物の景観を見て回るのも楽しい。この地方の風習のようだ。バル・リストランテは、どこも割と空いていたのでゆったりと食事をすることができた。

続きを見る
イタリア ドロミテの山旅のメニューに戻る
トップページに戻る