4 カッパドキア観光
年月日 2011年8月12〜14日
天気 晴れ(一時曇り)
タイム Dogubayazit Hotel Isfahan(9:15)=Agri Airport(10:40/11:25)→TK7087→Ankara Airport(13:05/13:45)=Ankara Otogar[Bus Terminal](14:25/15:00)=Goreme(19:40/19:55)…Hotel Goreme Suites(20:10//9:50)=Goreme Panorama(10:10/10:25)=Ihlara Vadisi[Valley](11:30)…Belisirma Restaurant(13:10/14:00)=Selime Monastry(14:10/14:54)=Derinkuyu Yeralt Sehri[Undergroud City](15:40/16:50)=Pigeon Valley(17:20/17:30)=Uchisar Onex(17:35/18:00)=Hotel(18:30//4:50)=Baloon Flight=Hotel(7:20/9:40)…Goreme Ack Hava Muzesi[Open Air Museum](10:00/11:40)…Tokal Kirise[Church](11:50/12:10)…Cavsin Anita Cave Hotel Restaurant(12:57/13:45)…Cavsin Village Cave…Pasabag[Mushroom Rock](14:20/14:50)…Hotel(17:30/18:10)=Kaiseri Airport(19:15/20:20)→PC4163→Saviha Gokcen Havaalani[Istanbul Domestic Airport](21:30/22:05)=Taksim(22:55/23:10)=Funikuler Kabatas=Tramvay Gulhane…Ersu Hotel(23:40)

 ドウバヤズットの周辺には遺跡などがあるが、ほぼフルに登山に日程を使ったのでゆっくり観光できる時間は無くこの町とお別れだ。朝出発までの時間に少しぶらついて様子を見にいった。ドルムシュと呼ばれる乗合タクシーが発着する広場のあたりが一番賑わっていて、雑貨屋や問屋のような専門店が並んでいる。灰色や黄色っぽい建物が砂埃をかぶって中近東の香りが漂うような街であった。アララット山の図柄を入れた看板を掲げるツアー代理店の事務所も見かけ、中に女性の係員が居た。このような所でトレッキングを申し込むとサービスは良いのだろうが、それは値段の差となるはずである。
 今日はトルコを訪れたならぜひ行きたいカッパドキアへ向けて移動する日。来た時より近いアグリ(Agri)の空港へ、タクシーの車窓からアララット山と小アララット山が並んで見え別れを告げる。所要1時間で着くと聞いていたが、途中運悪くスピード違反取り締まりに引っかかって、運転手が違反切符を切らされていたようで、余分に時間がかかった。空港の待合室は狭くて混雑していた。列の前にいたトルコの青年から声をかけられ、この地に来る日本人は珍しくて目立っていたようだ。そういえばドウバヤズットでも山中でも日中韓系の人物は全く見かけなかった。早期割引で予約していたanadolujetという会社の便でトルコの首都アンカラへ行き、長距離バスに乗り継いでカッパドキアに移動する計画。飛行機だけで行こうとしても、一旦イスタンブールに行ってから乗り継ぐことになるし、便が少なくてあまりメリットが無いのだ。
 アンカラの空港は新しくて広々している。でもバス便はちょっと不便で長い行列ができていて3台目まで待たされた。乗り継ぎ時間が2時間では余裕が無くて少々あせった。オトガルと呼ばれる長距離バスターミナルに来るとここも巨大な建物の中で迷いそう。案内所に聞いてカッパドキアへのバスの発着所はすぐ目の前とわかる。METROというバス会社の便で名前が紛らわしいのだが、トルコ全土に路線がある大手の会社だ。料金は1人30TL(\1500弱)という安さで、ベンツ製のデラックスバス、車内では飲み物とお菓子のサービスもある。高速道路とは言え路面が痛んでいる所があって工事個所も多いのであまり速くもなくて、カッパドキアまで約250kmを4時間かけて走る。途中の風景はほとんど乾燥地帯で、トゥズ湖やアクサライの町からハサン山(3268m)が見られたぐらい。1回ドライブインでトイレ休憩タイムがあった。トイレ前にはしっかり番人が居て1TL徴収される。長距離バス乗務員も5人も居て、ここでは人手はいくらでもあり人件費はとても安いということだ。ロカンタ方式の食堂があってメニューは豊富、夜行バスならここで食事タイムとなるわけだ。トルコはバス大国と言われるくらいだから一度乗ってみるのも悪くない。
Goreme Panorama(ギョレメ・パノラマ)展望台の景観
 ネヴシェヒルのオトガルから、セルヴィスと呼ばれる無料の乗り継ぎバスでそれぞれの町へ向かうのがこの国のシステム。宿泊予定のギョレメ(Goreme)へは、最初乗り継ぐように言われたが、結局この大型バスがそのまま向かうことになり、お客の数次第というわけだ。給油所に寄ったりしてさらに時間がかかり暗くなる頃目的地へ到着。周囲は有名な奇岩群がそこかしこに林立し、またまた別世界に来てしまった。バス乗り場は観光客で混雑しており、夜行バスを待つ人たちのようだ。ホテルへ電話すると迎えに来てくれるはずだったが、携帯が使えなかったので付近に並んでいるツアー会社の窓口で電話してもらおうとしたら、近くだと言われたので歩いて行くことにした。煙突・キノコ・三角帽子などさまざまな形の奇岩には古代人が住居用などに彫った無数の四角や半円形の穴と洞窟が有り、ライトアップされて美しい。真似て作った洞窟部屋のホテルが丘の上へ細い車道の両側に並んでいる。そんな所を登っていくのだが、標識がたくさん建っていたので夜道でもたどりつくことはできた。男2人なのにGoreme Suitesなどというホテルを選んだわけは、ネットで見るとほとんどWベッドのスィートルームばかりの中で、評判が良く値段も手頃(1泊朝食付約\10000/2人)で確実にベッドが2台ある3人部屋を確保できたからだ。ホテルの支配人は日本語も話せて、ウェルカムドリンクのビールを御馳走になり、見どころの案内など親切に説明してくれた。1〜2泊程度の観光客は効率的に回れるツアーに参加する人が多く割引料金になると言って商売上手である。離れも含めて全部で7部屋の小ぶりなホテル。2部屋に仕切られた広い洞窟風部屋、壁に穴を開けて飾り棚にするなど古代の住居を再現している。部屋の前のテラスから谷を隔てて広大な絶景が広がり、登山の後でちょっと贅沢な気分を味わおうというわけだ。お勧めのレストランを聞いて、紹介されたバス乗り場の先モスクの前にある名物Pottery Kebabの郷土料理店を目指すが、満席だったので今日は別の店に入った。そこにもPottery Kebabのセットがあったのでさっそく注文、陶器ごと竈の中で肉と野菜のシチューを煮込んで、容器をトンカチで割って食べる。この辺が産地である白ワインも注文して1日遅れの祝杯をあげた。
Ihlara Vadisi(ウフラウ渓谷)のハイキング
 朝まだ寝ているKさんをおいて1人で付近を散策してみた。妖精の煙突などと言われる岩塔に開けられた穴を覗くために心もとない足場が刻まれている。車道をはずれ踏み跡を歩いて行くと、崖の際を通りロープを頼りに歩くところも。鉄塔が立つ高台付近まで上ると気球が1機だけ飛んでいるのが見えた。今日は曇り空で風向きの関係か気球はあまり見られない。明日は早朝のフライトを予約したのでコンディションが良くなって欲しいところだ。奥に踏み込むと道も荒れて人がほとんど入らない感じなので引き返す。ちょっとした探検気分を味わう事が出来た。さらにCAVE HOTELの看板が並ぶ周辺の様子を見て回る。城壁風の石の門を抜けると反対側へ下っていけるが道は迷路のようだ。崩れかけた岩屋、既存の洞窟をそのまま利用した簡素な宿、リゾート風のホテルも部屋は同様の趣向を凝らしている。昨夜来たモスクが下に見えて広い通りに出た所で、再び来た方面へ宿まで戻る。朝食は絶景のテラスまでパン、コーヒー、サラダ、焼立ての卵料理など運んでくれ貴族気分だ。このエリアも一部だけなのだがら、カッパドキアとはとても広大で奥が深い所である。
 今日は少し離れた近郊の見どころを廻るバスツアー(グリーンツアー)を申し込んだ。バスはホテルをまわって各国からのツアー客をひろってからまず近くのギョレメパノラマ(Goreme Panorama)の展望台に寄る。ウチヒサル(Uchisar)の砦のような岩場を頂点にギョレメへ向けて谷が下り、浸食で形成された複雑な地形が一望のもと。こういう所だったのかと感心しながら、一面の奇岩群に覆われた異色の景観に眺めいった。車中では英語解説付きだがガイドのお姉さんはトルコ訛りなのか非常に聞き取りにくい。日本人の青年がひとりで参加してたので話をきくと、東南アジアからネパールのエベレストトレッキングを経て南廻りで、放浪旅をしているとか。会社を辞め東北大地震の直後に予定を決行して日本を飛び立ち、旅先で知り合ったヨーロッパ各地の友人の所をこれから鉄道で廻るという。いつも短期間にあわただしく旅するおじさん達とちがって優雅な若者もいるものである。
気球から朝のエルジェス山(3916m)を望む
 近郊といっても何十kmも離れていて1時間バスでひた走ってウフララ渓谷に着く。両側が断崖になった川沿いに歩道が14kmほど続いて両岸に多くの洞窟遺跡が見られ、煙突岩とは違った景観が楽しめる。川沿いは緑や花々が豊富で我々好みの潤いのあるハイキングである。ツアーでは1時間弱で洞窟教会の1つを見て歩道を一部だけ歩く程度でちょっと物足りなかったか。全コースを見るには歩くだけで半日かかる。川床にテーブルを設けたレストランで昼食タイム、料理は数種類から選べて牛肉と別料金の地場赤ワインを頼み、京都の貴船辺りを連想させる野趣を味わう。次はかつてのキャラバンサライの住居跡というSelime Monastry、すべりやすい岩場を階段や梯子などで登り、上部から展望も楽しめる。スリルが有りなかなか楽しめたが、登ったり降りたり全部回るのはワインを飲んだ身には少々きつかったか。
 バスは来た道を戻っていきこのツアーの目玉であるデリンクユ(Derinkuyu)地下都市へ。午前中は非常に混雑するので、コースを変更して遅い時間にしたようだ。何の変哲もない入口の扉を入ると狭くて足場の悪い階段と地下室、排煙穴や水道などがが地下7階まで続く。部屋は狭くて他のツアーと場所を譲り合いながら見学。基本はみな洞窟なのであるが、敵から身を隠すためにこれだけ不便で暗い所の生活をしなくてはならなかった。トイレをどう済ませていたかもその痕跡が無いという。登り階段で太った男性が息が上がってダウンしてしまう一幕も。ウチヒサルまで戻ってきて別の展望台と宝石工房を見学、お土産に買ってというやつで我々にはちょっと余計だった。宿に戻ったのは6時過ぎでツアーは充実していた。これでも一部の見学個所は割愛されていた。夕食は早めに昨日入れなかった店へ行く。またPottery Kebabを注文、この店はウェイターが炉から出てきた炎が上がる陶器を目の前で割って中身を皿に移してくれ、お勧めだけあって味も良い。
早朝のカッパドキアは多数の気球群が空を舞う
 早朝、人気があるので事前に予約した気球フライト、ホテル宿泊者割引料金で一人140Euroと少々奮発した。4時半にホテルの人が起こしに来てくれるが、早起きの我々は目覚めていた。今朝は快晴で風もなく絶好の気球日和だ。迎えのバスは別のホテルを回りながら大体10〜20分遅れてやって来て、別の部屋の夫婦と2組が乗り込む。下流側の広い空地がフライト地点で、既に大勢の乗客が集まっていた。列を成した熱気球が一斉にバーナーの準備をしているので騒音もすごい。ホテル毎に人数配分でどの気球に乗るか指定され12人が乗り込むと浮上開始。どこへ行くかは風任せと言うが、日の出前の薄暗い間は主に低空をカッパドキアから離れる方向へ向かう。地面すれすれに近付いたりホテルのベランダに居る人と話ができるまで接近したりと楽しませてくれ、年配のパイロットの腕はなかなかのものだ。日の出の頃には我がゴンドラはどんどん高度を上げ、上空からはじめてエルジェス山(3916m)の姿を目にすることができた。アララット山よりも多少ゴツゴツして岩場が多そうな山容、先日グレートサミッツで放映され夏季に雪は無いものの道なき道を行く手ごわい山である。気球をゆっくり回転させてくれるので360°の眺めを楽しめ、眼下にはいくつかの丘陵と入り組んだ谷が織りなす一帯の地形が一望のもとだ。上空の気流は逆向きのようで、カッパドキア方向へどんどん戻っていった。煙突岩の樹海群の上空でまた高度を下げ、前後に浮かぶ多数の気球に囲まれてこれまたカッパドキア台地の絶景。我々のホテルの付近には飛んで行かなかったがアンテナを目印にあの辺りだと判った。飛び立った地点からそう遠くない空き地に着陸、約1時間の素晴らしいフライトショーを体感して大満足。
 着陸地点の荒れ地で畳んだ気球ごとトラクターで移動し、解散前にパイロットに感謝の簡単なパーティー。祝杯はシャンパンが無くてジュースのみ、これはラマダンの為か。ホテルに戻りテラスでゆっくり朝食の間も、まだ付近に2〜3機飛んでいるのが見えた。昨日は1機もいなかったのだからコンディションによって飛ぶ数も異なり、今日は気球の花がほぼ全開状態なのであろうか。今日はツアーではなくて近い場所を主に歩いて回るつもり。午前中はギョレメ観光の目玉、野外博物館(Goreme Ack Hava Muzesi)を訪れた。基本は全て洞窟なのであるが、この付近は教会が集中していて内部には原色の壁画が保存されている。日差しが強く日中は暑くなってきた。宿の主人は歩くならお勧めはZemi Valleyの高い妖精の煙突と広いPeision Valleyだと言っていたが、歩道があまり整備されている感じでもなく、ウチヒサルへ向けて登り勾配を歩く距離も長そうだ。もう少し離れた方面を見てみたかったので私の希望で、Rose Valleyの平らな丘陵を横眼で見ながらパシャバー(Pasabag)のキノコ岩を目指すことにした。言われると土壌が少し赤色を帯びていて夕日の名所でもあるらしい。バスもあるのだが案内書きがほとんど無く観光客には利用しにくい。
Pasabag(パシャバー)へ歩いていく途中のキノコ岩
 牧場入口を右に見て農道のような平坦な道をひた歩き、Kさんは山じゃないのでちょっと不満そう。若いグループが同じように歩いているのをたまに見かける。休憩場所を求めて、チャウシン(Cavusin)という町のはずれにあったホテルレストランに入ってランチにしてオムレツ料理を頼む。他に客が来る気配もないさびれた所だが周辺の丘陵の眺めは良い所。町の中心まで行くと砦の岩場があってここまでくれば観光客も見られ商店も多い。砦の岩場の上へ階段を登っていくと修復中なのか工事作業員が目立った。目的地のパシャバーは先の山道から反対へ下る方向だが道が不安なので下って車道沿いを行くことにした。バス通りに出るとVillage Caveと書かれた建物があり脇の歩道に入ると近道になって周囲にキノコ岩がたくさん見られた。20分ほど歩いてそろそろかと思っていると、東屋におじさんが一人。小さな農園と土産物屋のようだが客は来なくてチャイを御馳走になり商売気が感じられない。土手を超えた先がパシャバーでツアーバスや車で来た観光客が目立つ所、名物のしめじ形の岩を見物。私はさらにユルギュップ(Urgup)というカッパドキアのもう1つの町を回ってギョレメまで一周できないかと思っていた。時間的に歩くのは無理でタクシーやバスを使う手もあったが、6時にホテルから空港シャトルを頼んでいてKさんは一番安全確実に歩いて戻るという。暑さも厳しいし同じコースを歩いて戻るのはつまらないが、どうしてもそうしたいと言うのでKさんに従った。同様に歩いているフランス女性2人組に道を聞かれ、彼女らは地図を見て山越えのコースを選んでいった。疲れ気味のおじさん達とは違うなあ。ローズバレーを経て行く道を左に分けほぼ同じルートを戻る。道が何本かあるので景色も来る時とは少し印象が違う感じである。ギョレメの町に入ってVillage Caveなど別の洞窟ホテル群の前を通って荷物を預けたホテルへ戻る。
 カッパドキアは歩くための地図ガイドはまともなものが無さそうであるが、1週間ぐらい滞在して未知なる穴場スポットなど歩きまわって探勝するのもおもしろそうだ。この地にも別れを告げ、迎えのシャトルでカイセリ(Kaiseri)の町中を迷走するようにしてカイセリ空港へ。カイセリの町も路線バスだと迷いそうなのでシャトルを頼んでよかった。エルジェス山麓の町で雄大な山の姿が望め冬場はスキー客で賑わう所。PegasusAirという会社の便でイスタンブールへ戻る。接続するハワシュ(Havas)の空港バスで新市街の中心タクスィム(Taksim)に着く。夜11時の繁華街は大変な賑わい。トラムに接続する地下ケーブル(Funikuler)の乗り場が少し離れていて人に聞きながら探すが、終発の前に乗ることができて再びErsu Hotelに戻ってきた。近くのBar Restaurantで遅い夕食、深夜なのにサッカー中継を店内TVで観戦する人の声援でとても賑やかだった。

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