エッツタール チロル最大の谷を周遊、氷河の峰々の展望
年月日 2019年8月16〜19日
天気 晴れ(16〜18日)、曇り一時雨か雪のち晴れ(19日)
タイム Solden(9:18)=Obergurgl(9:40/10:05)〜[Hohe Mut Bahn]〜Hohe Mut[山頂](10:20/10:40)…分岐の先の丘(11:25/11:50) …Schonweishutte(12:30/13:12)…Langtalereckhutte(14:40/15:00)…Obergurgl(17:28/17:48)=Solden(18:10//8:47)=Vent(9:10/9:30) 〜[Venter Seilbahn]〜Bergsteigerdorf[リフト終点](9:53/10:10)…Wildes Mannle(12:02/12:37)…氷河湖(13:20/13:30) …Bresslauer Hutte(14:20//6:15)…Vernagthutte(10:15/10:25)…Hintergraslspitze(11:56/12:20)…Vernagthutte(13:48/14:00) …Hochjochhospiz(15:40//6:43)…Seikogel(10:50/11:50)…Martin-Busch-Hutte(13:44/14:15)…車道迂回路入口(15:05/15:25) …Vent(17:03/17:13)=Solden(17:40)

ガイスベルグ氷河の右にキルヒェンコーゲル左はホッホフィルスト
 エッツタール初日は、山渓のガイド等に載っている代表的なホーエムートのハイキングに出かけた。登山口のオーバーグルグルはやたら建築中のホテルが目立った。土地が狭く有料の屋内駐車場を使う必要があった。ゼルデンとオーバーグルグルはかつて一度訪れた所だが、駆け回りだったのであまり記憶が無く、こんな所だったのかと思う。ホーエムートの山頂までリフトで上がり、のんびり下ってくる楽なコースだ。はじめ雲が多かったがみるみる晴れてきて氷河の大展望が得られた。眼前に聳える鋭いピークがキルヒェンコーゲル[3280m]、左右にガイスベルグ氷河とロートムース氷河が稜線へ突き上げている。奥の稜線はイタリア国境でホッホフィルスト[3403m]からヒンタラーズィーレンコーゲル[3470m]へと峰々が連なっている。下り道の分岐より少し先まで足を延ばし、イタリアから峠を越えて来ているという羊と一緒にのんびり、つい長居をしてしまう。
 左にトラバースして下った池のほとりのシェーンヴィースヒュッテで各自好みの黒パン付き冷製スープを注文。緑の豆のスープはこってりして美味だ。時間が早いので和田さんの本にあるラングタラーエックヒュッテまで往復を追加。なだらかなU字谷の滝を見ながらコースタイムの1.5倍かけてゆっくり登る。真っ赤なヘリが飛来し遭難かと眺めていると、リフトのワイヤー張替え作業を行なうようだ。その標高3000m近いラモールハウスの荷揚げリフトを見るとまもなく目的の小屋だ。初日のUさんもトレーニングになっただろう。下りもロートモースの滝に寄るコースは結構時間がかかり、下りつくとハイキング客はほとんど帰って町は閑散としていた。無人駐車場の出方がわからず試行錯誤してしまう。ゼルデンの夜は相変わらず都会的な賑わいを呈していた。
 翌日からは山小屋2泊でエッツタールの奥地を周遊するメインイベントだ。やさしく登れる3000m峰に紹介されているいくつかのピークを順番に訪れることができる。最奥の町フェントから広いスキー場のリフトに乗車。さらに新しい6人乗りリフトが2600m付近まで運んでくれる。ヴィルデス・マンレ[3023m]に登り、宿泊予約したブレスラウヒュッテまで本日の工程は短い。天気は良好、登るにつれエッツタール周遊の山々からイタリア国境まで視界が拡がってくる。ここでは眼前に聳える三角のタレートスピッツェ[3406m]が一番格好良くて目を引く。十字架の山頂は広くて多くの登山者で賑わっていた。何といってもピッツタールとは反対側から見上げる第2の高峰ヴィルトシュピッツェだ。氷河の奥に岩峰がきりりと立つ姿はより男性的な山頂の姿を見せてくれる。山頂から先に進みワイヤーが設置された岩場と氷河湖を経て、ヴィルトシュピッツェの氷河を見上げてトラバース道を進むとこの国の典型的な赤白窓の小屋だ。ここからヴィルトシュピッツェへ登山道があり、明日登頂を狙う登山者で混雑していた。そのため小屋のサービスや食事はいまいちであった。
眼前に聳える三角のタレートスピッツェが目を引く
ピッツタールと反対側から見上げる第2の高峰ヴィルトシュピッツェ

 翌早朝からヴィルトシュピッツェへ向けハーネスをつけた登山者が次々に出発していく中、我々は水平のハイキング道へ。山々が朝日に赤く染まり、今日はこれまでで最高の天気、雲一つない快晴の青空だ。果たしてガイドを付けてでも第2の高峰を狙う機会は今後あるであろうか?前方にフェアナークトヒュッテと今日予定の3000m峰ヒンターグラースレックが見えてくる。そこそこゴツイ岩山だ。
フェアナークトヒュッテとヒンターグラスルシュピッツェ
ワイヤーと鉄杭を頼りに岩場をトラバースする

ヒンターグラスルシュピッツェからヴィルトシュピッツェへ続く峰々を望む
フルッフトコーゲルから落ちるフェアナークト氷河の迫力

クロイツシュピッツェ連峰の奥にイタリア国境の大きな氷河を従えた山々が連なる
 我々のパーティは登りのペースが遅く、先を考えるとピークの往復はやめてヒュッテでのんびりしたいと言うので、私だけピークに登って他のメンバーは先に進んでもらうことにした。ガイド本には道は岩稜の途中の小ピークまでと書いてあるが、ヒンターグラスルシュピッツェ[3325m]まで道が作られていたので山頂まで行ってしまう。GPSアプリのMAPS.MEにも道が載っているので安心だ。途中ワイヤーと鉄杭を頼りに岩場をトラバースする少し不安定な難所があるが慎重に通過。山頂は狭く小さなポールがあるだけ、しかし今日の展望は最高だ。いくつもの氷河を抱くブロッホコーゲルの峰々がヴィルトシュピッツェ山頂へ続く。これから向かうクロイツシュピッツェ[3455m]連峰に3300mクラスの6つの峰が連なり、その向こうはヒンテレ・シュヴェルツェ[3624m]、ジミラウン[3602m]、ヴァイスクーゲル[3736m]といったイタリア国境の大きな氷河を従えた山々の連なりだ。また眼前のフルッフトコーゲル[3514m]から落ちるフェアナークト氷河の迫力に圧倒される。この裏側はピッツタールから望んだタッシャッハ氷河になる。下山中に単独の青年が登ってきた他は誰にも会わなかった。
 フェアナークトヒュッテへの下部は往路と異なる道を下った。宿泊予約したホッホヨッホホスピッツへはガスラーシュピッツェ[3147m]の山頂付近を越えていく道もあったが、さすがにそこまでの元気は無く山腹をトラバースする通常ルートで行く。山小屋は4人の個室で、素泊まりが30Euroでラガー(相部屋)より少し高い。夕食は定番のチキンカレーだが昨日の小屋よりも美味しく、プディングのデザートも凝っていてこれを山小屋で食べれるのには感激。翌日はザイコーゲル[3355m]を越えてフェントへ下山という計画。女性2人はこれまでの体調から無理というので、ここから直接フェントへ下りバスでゼルデンのホテルへ先に戻り、Kさんと2人で山頂越えを目指す。朝から曇り空だったのが途中で雨になってしまう。山頂に近づくと部分的に雪の上を歩く個所もあり、スリップに注意して岩場を進む。視界がほとんど無くGPSを頼りに山頂に到達。

ザイコーゲルからハウスラブコーゲル、フィネイルシュピッツェ
谷を隔てて垂直の氷河が印象的なヴァイスクーゲルを望む

 今日は展望は諦めていたところ、ラッキーなことに次第に青空が拡がり、雲の間から周囲の展望が得られるようになった。山頂で1時間粘って、また多くの山を見ることができた。眼前にはハウスラブコーゲル[3402m]からフィネイルシュピッツェ[3514m]、逆方向にクロイツシュピッツェ[3455m]へ尾根が続いている。当初はこの先マルティンブッシュヒュッテにもう一泊してクロイツシュピッツェにも登る案だったが、小屋が満室で予約を断られたため割愛することになった。ここまで来たらあの山にもう一度登る必要もなさそうだ。その左手には一瞬ヴィルトシュピッツェの姿を見た。ホッホヨッホの谷を隔てて山頂から垂直に垂れ下がるような氷河が印象的なヴァイスクーゲル、ニーデルタムの谷の向こうは三角のジミラウン、マーツェルシュピッツェ[3550m]、ヒンテレ・シュヴェルツェと連なる。マルティンブッシュヒュッテへ下山中に単独の男性が登ってきた以外は誰にも会わなかった。

ジミラウンなどイタリア国境の峰々を望みながら下山
マルティンブッシュヒュッテとクロイツシュピッツェ

 マルティンブッシュヒュッテの中でコーヒーを頼んで一服。宿泊について聞いてみると、混んではいるが天気が悪いのでキャンセルがあるかもしれない、と否定はされなかった。しかしまた今度来ますと言ってお茶を濁す。フェントへの下りは長い林道、山々や花を眺めながらでそんなに退屈ではない。途中1か所指示に従って歩道を迂回する。下からは続々と登山者が登ってくる。クロイツシュピッツェかジミラウンに登る人が多いと思うが、ニーデルヨッホを越えてイタリアへ抜けるコースもある。登りに使ったリフトが見えてきてエッツタール周回を完了。ほぼ天気に恵まれたし人も少なくてとても楽しめたと思う。ゼルデン最後の夜はイタリアン、毎夜日本より安いビールにワイン、ラードラー(レモネードで割ったビール)等を味わうのも楽しみだ。

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