ピッツタール 素朴な山村と有名なグレーシャーエクスプレス
年月日 2019年8月12〜15日
天気 曇りか霧で午後にわか雨と晴れ間(12日)、雨(13日)、曇り一時雪のち晴れ(14日)、晴れ(15日)
タイム Arzl(8:55)=Mandarfen(9:35/9:50)〜[Rifflseebahn]〜Rifflsee(9:55/10:00)…Zwei Zeiger(13:30/13:45)…Taschachhaus(14:20/14:33) …リフト小屋(15:23/15:43)…Mandarfen(17:20/17:40)=Arzl(18:20//9:17)=登山口[駐車場](10:00/10:18)…Russelseimer Hutte(12:30//7:00) …稜線分岐点(11:00/11:10)…Hohe Geige(12:06/12:28)…稜線分岐点(13:20/13:30)…Russelseimer Hutte(16:55/17:08) …登山口(18:35/18:50)=Plangeross[Pension Dolf Platz](19:00//8:40)=Mittelberg[山麓駅](8:50/9:05)〜[Pitz Express]〜 山頂駅(9:15/9:25)…コース分岐(9:50/10:00)…Mittagskogel(10:25/11:15)…稜線分岐(11:45/11:53)…山頂駅(12:20/12:50) 〜[Wildspitzbahn]〜Hinterer Brunnenkogel(13:00/13:40)〜[Wildspitzbahn]〜山頂駅(13:48/14:07) 〜[Pitz Express]〜Mittelberg(14:16/14:40)=Solden[Hotel Garni Bergheim](16:25)

 天気予報が芳しくないので、ピッツタール奥の3000mピークに登る予定を、リッフェルゼーのハイキングに変更した。これから定番のホテル朝食とスーパーで買った行動食での山歩きを毎日続けていくことになる。特に乳製品はこの国の自慢である。谷の最奥マンダーフェンまで車で40分、夏スキーに有名スキーヤーも訪れるグレーシャーエクスプレスの地下ケーブルが知られ、付近の綺麗なロッジ風ホテル相場はちょっと高そうだ。今日はその手前のゴンドラに乗りリッフェルゼーから山渓のハイキングガイド等にある代表的なコースへ、1日がかりの健脚向けコースだ。霧の合間に湖面が覗く静かな湖畔からカウベルの響く草原を歩いていく。晴れていればチロル最高峰とタッシャッハ氷河の眺めを間近に望めるということだがあいにく霧の中だ。それでも時折霧が晴れて周囲の山や対岸の氷河を一部眺めることができた。岩場もある登りが続き、Zwei Zeiger 2576mという分岐点が最高点。リッフェルゼーの小屋を早朝出発して上部の長いコースを来たという6人組に会った。左手の川に下って対岸にあるタッシャッハハウスへ。小屋前に兵士姿の集団が集合していて雪山の訓練に向かうようだ。あいにくの天気で登山者の姿は少ない。
霧のリッフェルゼーから出発
激しい風雨の後再びタッシャッハ氷河の山を望む

 テラス席で温かい飲み物でも頼もうとしていると急に雨が降り出したので雨具を着て先に進むことに。1時間ほど激しい風雨に見舞われ手袋をしていても手が冷たくなるほど、高山の天候急変の厳しさを思い知らされた。小屋の荷揚げ用リフト小屋からは車が通れる道になる。天候が回復して青空が覗き、後方に氷河の山々が良く望めるようになった。これなら小屋で雨宿りをしていた方が正解だったようだ。谷の道はヤナギランなどの花々も楽しめた。高電圧の牧柵をいくつも通過し、うっかり金属部に手を触れると結構な衝撃だ。マンダーフェンに戻るともうゴンドラ運行は終了、インフォメーションにはぎりぎり間に合い、愛想の良い女性に明日の山小屋について聞いてみると、親切に電話で予約してくれた。再びアルツルで昨日のパブレストランへ。地元のなじみ客にはグラスワインを出しているのだが、皆自分達用にキープしてるらしかった。
 次はやさしく登れるアルプス3000m峰及び金原さんのガイドに載っている山小屋1泊のホーエガイゲ[3393m]、グレードはこれまでより高くなる。霧と雨のあいにくの天気の中、ラッセルザイマーヒュッテまで2時間ちょっとの登り。これまで結構ハードなスケジュールだったので休養日になった。終日雨模様で小屋はガラガラ、食堂に陣取り郷土料理のクネーデルスープとやっとありつけた赤ワインで懇談の時を過ごす。注文したものをカードに自分で書いて自己申告する方式は大らかだ。夕食のビーフは弱ってきた胃腸にちょっときつい、Kさんのベジタリアンメニューもなかなか良さそうだ。山小屋は町に泊まるより安く素泊まりは22Euro、山に登らず泊まりに来るだけという人も多いのも頷ける。

雨天のラッセルザイマーヒュッテは空いていた
お鉢の池とホーエガイゲ山頂を望む

カウナーグラートの鋭い岩峰など眺めながら下山
 翌朝霧の間から望む山上は白く積雪が確認された。小屋の主人に聞いてみると、雪は極少量なので大丈夫そうで山頂を目指すことにする。右にエッツタール側のレッテンバッハ谷へ続く長いマインツトレッキングルートが分岐し、その先は左にエッツタールのフーベンやホーエガイゲ西稜の分岐がある。ホーエガイゲのノーマルルートと示された道を進む。岩のゴロゴロした谷から岩場の登りになる。積雪で目印が隠されて進路がわかりにくく慎重に目印を探しながら進んだ。霧が晴れてきて時々青空も覗くようになる。標高3100m付近で稜線の岩場ルートと右へトラバースするルートの分岐があり、歩きやすそうなトラバースルートを進む。やがて稜線に飛び出すと直下に横長の雪田を従えた山頂が見えた!手前は窪地でお鉢の小さな池がある。金原さんの本にはこの先アイゼンが必要とされているが、それほど急でもないのでアイゼン無しで進み、お鉢を半周するように登って山頂[3393m]に立った。背丈より少し高いぐらいの十字架が出迎えてくれ、金属ケースの中のノートに記帳を行う。ザイベルト氏も外舷カムの女王と絶賛するだけあって登り甲斐のある山だった。まだ雲が多いがその切れ目から、ピッツ谷を隔てたカウナーグラートの迫力ある山々が続いているのがわかる。
 頂上を後にする頃、3人組が稜線沿いの別ルートから登ってきたが、直接顔を合わせることは無かった。本日は他にこの山の登山者に会うことは無かった。往路を忠実に下り、雪が溶けて目印を探す苦労も無くなった。小屋に着くころにはすっかり天候が回復し、昨日とうってかわって小屋には多くの人が訪れていた。テラス席で雄大な山々を眺めながらゆっくり一泊する為だけに訪れる人も多いようだ。ここでネットに繋いで今宵の宿を探し、下山地のすぐ近くに見つけることができた。さらに最後のひとふんばり、昨日は霧の中だった道も眺めが良く、ヴァッツェシュピッツェ[3533m]を筆頭とするカウナーグラートの鋭い岩峰、それに昨日のリッフェルゼーから奥のタッシャッハ氷河の山々、一瞬ヴィルトシュピッツェが見えたと期待したが間違いだった。登山口すぐ近くのPlangerossにある予約したペンションに着いたときはスタッフが不在だったが、電話すると美人で気さくなお姉さんがやってきた。ここでは特にピッツタール・ゾマーカードという、全ての乗り物と観光施設の1日フリーパスをもらえたので、その太っ腹にはびっくりであった。小さな町に1軒しかないレストランで登頂を祝してビール・ワインで乾杯。
 次の日は初日に行く予定でザイベルトさんの本に載っていた、地下ケーブル利用で楽に登頂できるミッタークスコーゲル[3159m]へ。山頂から歩いて下りてくることにしていたが、フリーパスがあるので軟弱に往復ケーブル利用、さらに3438mのヒンタラーブルネンコーゲルまで運んでくれるゴンドラにも乗ってしまおうということにした。まあ昨日頑張ったので今日は半分観光ということだ。山頂駅周辺はだいぶ雪が溶けてスキーヤーの姿は見られない。山頂へはじめは幅広の歩道、分岐から直登する道に入り難なく大きな十字架が立つ山頂へ。好天に恵まれ360度の大展望だ。広い氷河を抱くオーストリア第2の高峰ヴィルトシュピッツェ[3768m]や、切り立った山ひだを見せるプイトコーゲル[3343m]の奥に昨日登頂したホーエガイゲをゆっくり眺められたのが嬉しい。下りは稜線沿いにミッテルベルクへの下山路分岐を廻って行く。大岩がごろごろしてこちらの方が歩きにくい。

ミッタークスコーゲルから昨日登頂したホーエガイゲを望む
リッフェルゼーと、ヴァッツェシュピッツェなどカウナーグラートの峰々

ヒンタラーブルネンコーゲル展望台からヴィルトシュピッツェの氷河を眺める
 山頂駅からは観光客に混じってヴィルトシュピッツェバーンと名付けられたゴンドラで3438mの山頂へ一気に上がる。ここが今回の最高点という皮肉が結果となるが、展望台から好天の大展望をじっくり眺める。子供たちが大はしゃぎでうるさかったのが難点。ヴィルトシュピッツェの山頂は氷河の奥にちょこっと覗く岩峰で、ミッタークスコーゲルからは本当の山頂が見えてなかったと判る。展望写真に記載がある山名によるとツィラータールのオルペラー[3476m]、ホーエタウエルンのグロースヴェネディガー[3666m]、イタリア側のオルトラー[3905m]なども視界に入るようだが、さすがにそこまでの眺望は得られなかった。山頂のカフェでスチューデル(アップルパイ)を注文、バニラシロップ?と言われサービスと思ってかけてもらうとしっかり料金追加された。でもシロップやクリームなどをかけるのが好まれているようだ。
 案内板をよく見ると、ヴィルトシュピッツェ山頂へ氷河上のルートが点線で示されていて、氷河を登るガイド登山も行われているようだ。この後は次のエリア、エッツタールの中心地ゼルデンまで車で移動、夕方から御一緒予定のUさんと合流できるように、あらかじめ予約してあったホテルへ。4人泊まれるスイーツで値段の割になかなか豪勢な部屋だ。日曜日なのでスーパーは休みだが、開いていたグローサリーの店でワインボトルとチーズや生ハムを仕入れてきた。ゼルデンの町は大きくてどのレストランに入るか迷ってしまう。気さくなアメリカンの店を選び、無事全員集合を祝して乾杯。

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