6.水彩色の変化を堪能 九寨溝、黄龍
年月日 2017年7月24~26日
天気 晴れ時々曇り
タイム 成都熊猫主題公寓(10:12)…人民公園=[Metro]=綿江賓館(10:35/10:44) =[Bus]=成都双流国際空港(11:12/14:00)→3U8607→九寨黄龍空港(15:00/15:25) =[Bus]=民宿村(17:30)…九寨沟猫宇土假酒店(17:50//6:35)…景区入口ゲート(6:50/7:05) =原始森林(7:45)…芳草海(8:45)…天鵝海(9:00)…天鵝海バス停(9:25/9:40) =箭竹海(9:50)…熊猫海(10:54)…五花海(11:20/11:30) …珍珠灘(12:10)…諾日朗瀑布(13:00)…諾日朗中心(13:15/13:20)=長池(13:45/14:08) …五彩池(14:15/14:35)=諾日朗中心(14:55)…犀牛海(15:58)…樹正群海 …盆栽池(17:25/17:32)=景区入口ゲート(17:39/17:55)…九寨沟猫宇土假酒店(18:10//8:05) =景区入口(11:10/11:20)=ロープウェイ下(11:25/11:34)~[Ropeway]~山頂駅(11:40/11:48) …五彩池(12:30)…寺(13:05)…盆景池(14:04/14:10)…迎兵池(14:35/14:47)…景区入口(15:00/15:45) =川主寺(16:40/16:43)=[Taxi]=九寨黄龍空港(17:06/22:50)→3U8026→重慶空港(0:10)

九寨溝入口近くの山の中に突如現れる巨大観光村
 地下鉄綿江賓館駅近くからエアポートバス(10元)に乗り空港へ。宿のパンフレットが役に立った。空港の小吃屋台風レストランでもいくつか食してみたが、辛いか甘いかで四川風はいまひとつ口に合わない。日本で予約した四川航空の九寨溝行きは、2万円以上と高額だが、バスよりも時間はだいぶ節約でき、時間も正確で快適であった。到着した空港は標高3400mもあって、ターミナルの外は風が冷たい。九寨溝はまだ遠く車で2時間かかる。50元のエアポートバスは時刻表が無く満席になるまでに発車しない。団体のツアーバスに乗り込む人が多くてなかなか集まらないが、運転手はタクシーに乗ろうとしている人を説得して集めてきて、30分後に出発できた。遠くに残雪がわずかに残る岩山も眺められる高原の街道を走り、谷間へ向け標高を下げていく。ところが乗客は途中で宿から迎えに来た車に乗り換えて減っていき、最後残った他の2人とともにタクシーに乗り換えるよう手招きされた。女性の運転手にネット予約した宿の名が書かれた紙を見せる。あとの2人とガヤガヤ中国語でしゃべりまくり自分には愛想が悪かった。
 ヘアピンカーブで高度をさらに下げ、目的地が近づくと道路は渋滞でノロノロ運転、道沿いのわずかな平坦地には隙間無くホテルや商店がひしめいている。山の中に何とも不似合いな光景に驚いていると、車道脇のチベット風に飾られた門の前で運転手がこの中だと合図しメーター料金24元を請求された。こんなエアポートバスは聞いたことがない。バスは渋滞にはまる前にさっさと戻ってしまったようだ。人気の観光地に人が大勢集まるので観光客へのサービスの質は相当悪いと感じる。門の奥は歩くのも困るほど車がぎっしり、山裾ぎりぎりまで細い路地が延びて、ホテル・民宿・各種商店や娯楽施設など集落全体が観光村と化している。ホテルとは名ばかりの小さな民宿の多さに驚くも、これでは予約した宿がどれか見当がつかない。付近にいた人に名前を見せてもわからない。巨大な観光村の端まで行ったりきたりして20分探してやっと猫宇土假酒店(Morning Jiuzhai Hotel)を発見。建物は隙間無くひしめいていて窓の外は壁のみという部屋。これで一泊\4000は高いが、女主人は英語が堪能で明日の九寨溝入場券(通常310元+10元)と明後日の黄龍まで往復するツアーバス(200元)を手配しくれるなど、何かと親切に便宜を図ってくれた。手数料をとられてはいるが、個人で行ってまたいろいろトラブルのは避けたい。日が暮れてくると雑多な看板のネオンが輝いて山の中がまるで香港の繁華街みたいだ。標高2000mまで下がったので外も暖かい。大きいレストランではグループで丸テーブルについて名物の火鍋料理を囲んでいる。1人で入りやすい庶民的な中華食堂に入り、牛肉料理と豆腐スープと雪花純生とご飯で83元、量が多くて満腹になる。付近にセブンイレブンがあって朝食、行動食、飲み物を買い込む。
日則沟上部の天鵝海では鏡のような湖面にガルナ山(4558m)の岩山が投影する
 翌朝、7時の開門を目指して歩いて九寨溝入口へ向かう。粥、ゆで卵、揚げパン、中華饅、中華麺、といった定番の朝食を出す店が沢山並んでいる。景区入口には続々押し寄せてくる観光客の列ができているが、前売り券を購入したおかげで窓口に並ばずにすぐ中に入ることができ、次々に発車するバスに乗り込む。広大なエリアを歩いて1日で周るのは無理、乗り降り自由のバスを活用しながらなるべく長くハイキングできるようにしたい。上部で谷が2つに別れ、その右側の谷である日則沟のバス終点、原始森林(3000m)まで一気に上がる。正面にはよく晴れた空にガルナ山 Mt. Ganzigongaii(4558m)の岩山、後方は剣岩の垂壁が聳えている。杉やマツ科の原生林の中を一周するハイキングコースからは山の展望はほとんど得られない。バス停に戻り谷沿いの歩道に入ると、オタカラコウのような花が付近を黄色に染めている湿原や森を抜けて芳草海(Grass Lake)と天鵝海(Swan Lake)を見る。ガルナ山が鏡のような湖面に逆さに投影して美しい。人もそれほど多くないのでゆっくり鑑賞できる。天鵝海のバス停に着くと、この先は歩道が無く皆ここでバスを待っている。原始森林からのバスは込んでいて乗れないでいると、空の大型バスがやってきてやっと乗り込めた。箭竹海(Arrow Bamboo Lake)で降りてハイキング続行。
 この辺から九寨溝でもいちばん美しいの見所がはじまり、歩道はかなり混雑してきた。 箭竹海では达戈神山(4200m)が静かな湖面に投影する。池の下流側には段差を横一列になって流れる滝、箭竹海瀑布がある。深い青緑色の湖面と周囲の山々の緑が調和した大きな熊猫海(Panda Lake)の湖畔を歩くと透き通った水の中に無数の魚が泳いでいる。次の五花海は、ブルーのグラデーションに加え湖底に沈んだ樹木の緑、石灰石の白、湖畔の樹木を映す黄緑や深緑が混ざって最も色彩豊かな湖面を堪能できる。九寨溝ハイライトの1つだ。水に溶けた石灰質や他の微成分が水底に堆積してさまざまな色合いが生まれるという。白く泡だった幅広の急流になった珍珠灘(Pearl Shoals)では視界が開けて沃洛色莫という谷を取り囲む山々が眺められる。下部は石灰岩の岩壁をいく筋もの滝が横一列になって流れ落ちる珍珠灘瀑布を形成している。水しぶきが飛び清涼感満点、露店も出ていて休憩する人々で大賑わいだ。大半の人はバスを利用するが、歩道を歩き続ける。鏡海(Mirror Lake)を過ぎ、再び大きな幅広の滝、諾日朗瀑布だ。地殻変動でいくつもの天然のダムでせき止められた湖と滝が繰り返す地形で構成されていることが理解できる。それぞれに景観に個性があって異なっている点が飽きさせない。
深く透明な青緑色の湖面と周囲の山々の緑が調和した熊猫海
五花海の湖面はブルーのグラデーションに湖底の植物の緑や石灰石の白など豊かな色彩があふれる

 付近は歩道の混雑がピークに達し、人を掻き分けて歩くような状態。滝の上方は観光の拠点となる諾日朗中心(Tourist Center)で、大きな建物内に食堂と土産物屋が並ぶ。その中を抜けて一段上がった所から、左手の谷となる則渣洼沟を遡り標高3100mまで登るバスに乗る。途中の車窓は殺風景で日則沟のような見所は無い。終点の長池に着くと一時雷雨になるもすぐにやんで、九寨溝で最大の湖と人の手がほとんど入っていないであろう周囲の山々を眺める。観光客に混ざって一段下の五彩池へ歩く。五彩池は水色から紺色までブルー系の色が混ざって溶け合うような不思議な模様が湖面に浮かび上がる。見る角度によっても模様が変わり、他では見られない貴重なものだ。則渣洼沟に上がってくる人たちのお目当てはここであろう。

珍珠灘瀑布や諾日朗瀑布はいく筋もの滝が横一列に流れ落ち清涼感満点
五彩池の湖面は水色から紺色までブルー系の色が溶け合う不思議な模様が浮かび上がる

 諾日朗中心へバスで戻り、下流側の樹正景区へ再び歩道を下っていく。ハイキング道といえども長時間歩いてきて疲れが出てきたし、夕方も近づきつつあるが、行ける所まではがんばろうと思う。少々地味ではあるが、犀牛海(Rhinoceros Lake)、老虎海(Toge Lake) 、樹正瀑布、樹正群海(Shu Zheng lakes)、火花海(Sparkling Lake)、芦葦海(Reed Lake)、という具合に池または湿地帯と石灰華の段差を落ちる水流が繰り返される。対岸には昔の集落を模した民族文化村の建物群が見え、観光村と違ってこちらは山の中に溶け込んでいる。盆景灘(Bonsai Shoals)で時間切れとなり、あと入口まで8kmぐらいの歩道を残してバスに乗り込んだ。例によって大きな石造りの管理施設やビジターセンターが並ぶ景区入口付近を見ながら宿へぶらぶら歩いて戻る。途中フルーツの屋台がずらり並んでいて美味しそうに見えるが一度懲りているので買わない。食事は昨日と同じ庶民的中華の店で豚角煮と野菜炒めを食す。
 朝食は外に席を出している店で現地食のスーラー麺と揚げパン、辛い・酸っぱい・甘いを同時に味わう。女主人が通りに出て予約した黄龍へのバスを止めてくれた。空港方面の急カーブの登り坂は大型バスが通るのでノロノロ運転、川主寺という町のはずれで休憩があり、女の人から10分ぐらい説明があった。何言っているかわからないがおそらく黄龍の説明と高度への注意と思われる。山並みを眺めながら標高3900mの峠を越え、峠にトンネルを掘る工事現場を通過し再び標高3200mまで下ってきたところが目的地であった。出発まで4時間半の間は自由行動で、ロープウェイ込みの入場券(280元)を買って、歩いて下ってくれば一通り廻ることができる。峨眉山や九寨溝のような混雑は無くスムーズにロープウェイに乗車し3600mまで上がる。山頂駅近くの展望台から、黄色い石灰岩が露出した渓谷とその源流の玉翠山(5100m)、雪宝頂(5588m)など周辺の山並みを望むことができる。
黄龍の五彩池はパムッカレを連想させる石灰岩の造形
黄色や茶色の石灰岩による鍾乳石のような造形を水が流れ落ちる

 山腹をゆるく渓谷まで下り、最大の見所となる五彩池へは急な階段を登って池を一周する。だいぶ高度に慣れているはずだがやはり息は切れる。昨日の同じ名前の五彩池とは異なって、お皿状の窪みが数多くの段々を棚田のように形成し全体に水が流れている。鍾乳洞の内部などでも見られる石灰華段丘という地形だ。トルコのパムッカレとか秋芳洞の百枚皿などでも有名。透明な水は角度によって緑色から乳白色に変わってくる。池の下に黄龍古寺が建っていることで、ここが中国の景観になる。下方の広場に観光客向けのレストランや売店がある。屋台で餡子入りの揚げパン青稞餅(チンコウビン 6元)を買って食べる。お客さんにはなかなかの人気、行動食にちょうど良い。気吧(Oxygin Bar)と書かれた酸素吸引所があって利用している人も見かける。バスに遅れないよう少々ペースを上げて下ると、石灰石の造形の間を流れる水流の景勝が次々に現れる。すべて黄色から茶色の色合いが特徴、これも水に溶け込んでいる微量成分の影響か。争艶彩池、明鏡倒映池でも石灰成分による棚田地形が一部に見られる。金沙鋪地では、鍾乳洞の中でよく見るように石灰岩が波状にうねってツルツルに磨かれり、ごつごつとグロテスクな岩肌を露出したりして、これが黄金食の龍にたとえられたと理解できる。窪みが立枯れの木が立つ盆景池、洗身洞・飛瀑流輝は昨日見たような幅広の滝、そしてまた百枚皿が並ぶ迎兵池と続き出発地へ戻る。
 帰りのバスでは隣の席になった1人旅の女の子が多少英語が話せて日本にも興味があるみたいでいろいろ聞かれて話し込んだ。中国出身だがなぜかイタリアのボローニャに住んでいて、一時的に故郷の中国を旅しているのだそうだ。海外の友達をつてに各地を旅行するそうで、日本も言ってみたいが友達ができないと言う。日本の暮らしぶりや観光地や簡単な日本語会話を説明してあげた。次の目的地麗江への空路につくため、川主寺でさよならしてバスを降りた。他にも空港へ向かう人がいて、タクシーが待ち構えていてすぐに空港へと運ばれた(50元)。麗江へは重慶への割引率の高い深夜のフライトに乗り、空港で夜を明かして翌朝麗江への便に乗る計画。待ち時間が長いので空港のレストランで粘って時間を潰した。メニューにメロンと書いてあったので食後のジュースのつもりで頼んだら何と山盛りのメロンの種が出てきた。お茶などの際につまみにするみたいだが、とても食べきれず大失敗。

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