3.大姑娘山 Dafeng(5025m)登頂
年月日 2017年7月19~20日
天気 晴れ時々曇り、にわか雨
タイム 戸肆山荘(8:38)…戸外管理事務所(8:55/9:14)…海子溝入口ゲート(9:30)…海子沟保戸站(11:45/12:28) …Base Camp小屋(14:25//3:52)…稜線に出る(5:43/5:50)…山頂(7:00/7:15)…稜線から下る(7:45/7:55) …第1キャンプテント村(9:00/9:15)…Base Camp小屋(9:30/12:00)…二峰 Erfeng Base Camp小屋(13:00)

海子溝を登山者の荷物を運ぶ馬が行く
 登山の装備や食料は宿の人が手配してくれ、同行する馬主の人が大きい荷物運搬も料理もしてくれるのでだいぶ楽をすることになる。没収されたポール2本は宿で貸してくれた。昨日の景区入口の隣にある戸外活動管理センターへまず登山手続きに向かう。事務所が開くのが朝9時なのでゆっくりの出発、途中にある荷物を運ぶ馬を操る王さんの家に寄って挨拶する。山の上では食事も彼が準備してくれる。王さんが家族と暮らしている家はなんとか修復して建っている感じで貧しい暮らしぶりが伺える。戸外活動管理事務所は新築間もない感じの立派な石造りの建物。山中で泊まって登頂する場合はガイドを付けるきまりで、入園料も日帰りと異なって150元を払う。荷物を積んで馬用の道から上がってくる王さんと別れ、Alexと最初から急な階段を登るので息が切れる。大きな湖があることから名がついた海子溝の景区ゲートを通り、何軒か店の前を過ぎると幅広の草原状の尾根をゆるやかに登るようになり、王さんと馬が登ってきているのを確認。
 天気は上々で、樹木の切れた所では四姑娘山から大峰まで4つのピークが見渡せるし(今回の旅のメニューページ写真)、地面は一面お花畑で正にパラダイスだ。昨日同様、日本で見られる高山の花の仲間が多い。日本で見ないものでは、タンポポのようなぎざぎざの葉と茎が四方に伸び、先端に色とりどりの小さな多数の花びらが球の表面を形造った花(クサジンチョウゲ、ステレラカマエヤスメ)、長い茎の先端から無数に下向きに咲く黄色い花が伸びているもの(サクラソウの仲間)が目立った。海子溝の谷を隔てて巴朗山から続く峰々を正面に望み、山腹をからんでながらかな道が続き、人や荷物を運ぶ馬の往来も多い。大姑娘山に全員登頂できたという日本人女性パーティーにも会い「がんばってください」と声をかけられた。昼前に標高3700mにある石造りの小屋に到着し大休止。暖かい食べ物をみんな食べているので、自分も買ってみると、ごはんに中華スープがかかったぞうすいで、具もたくさん入っていてとても美味だ。ここにいた外国人から、二峰で滑落事故があって怪我人が出たという心配な話を聞く。
四姑娘山にかかる雲の朝焼けのシーン
 海子溝の湖に向かう道と分かれて直接4200mのベースキャンプへ登る道に入る。もう一日高所順応日を設けるプランも多いのだが、明日は登頂日というややハードな計画だ。Alexは速いので、同じペースでついていくことはできず、深呼吸で息を整えながらゆっくり進む。 花と展望が楽しめる山腹の道がどこまでも続く。ひと回り大きいサイズのウスユキソウがいたる所で咲いている。他にトラノオ、ニリンソウ、ワスレナグサなどなど。シソの葉の中央に紫の細かい花が踊っている珍しい花を見つけた(シソ科フロミスの仲間)。ただし注意して見ながら歩いてもあこがれのブルーポピーの花は見つからなかった。正面に建つ小屋もみえてきて最後のふんばりで、約500mを2時間でクリア。この高度だけに自分としては良いペースだと思う。小屋は相当ガタがきていて、床は波打ち窓は石で押さえておかないと閉まらない。大小10棟ぐらいあり、この日泊まったのは数パーティーで、客とガイド・馬主が別々に泊まっても十分余裕はあった。小屋での中国人たちはお酒を飲まないが煙草を大量に吸うので煙がうっとうしい。寝ると高度障害が悪化しやすいので、Alexの勧めで近くの台地に上がったりして1人で周辺を歩いた。大きなヤクが居て角を生やし顔つきが怖いので、襲われないように距離を保つ。食事は他のパーティとまとめて、金属製の大きなボールにスープ、野菜、洗面器にはごはんとメインはここでも肉と野菜を炒めた辛めの中華だ。内容的に十分食べられるが、種類が多く量も半端ではない。まあガイド仲間で残りを食べるのだろう。頭痛はあるもののひどい高度障害には至っていない。
 翌朝3個起床、持っている防寒着は全部着込む。王さんも一緒に登るそうだ。ヘッドランプの明かりで登り始めると苦しさが襲ってくる。高所順応の苦しさは何回も経験済みだが、4000m越えは3年前のボリビア以来。順応期間も短めだったので体もふらついて高度の影響がかなり出ている。ストックを借りられて良かった。100mほど登ると突然テント村が出現。大人数のツアーでは、下方の海子溝の谷をベースキャンプとし、ここを第1キャンプとすることが多いようだ。痛んだ小屋に比べるとテントの方がだいぶ快適であろう。ここからは人が増えて、多くのパーティーと前後しつつゆっくり歩みを進める。王さんはずっと歌を歌い、周りの中国人と話ながらで、歳は50代ぐらいと見られるのにすこぶる元気。稜線に登りついた所で右へ方向を変えて稜線上を進む。次第に明るくなってきて多くの山々が目に入る。前方の四姑娘山の頂上付近だけ雲がかかっているが、白い雲が朝日に赤く輝きなかなか美しい。堅く凍った残雪の上を歩く所があり、気温は-5度ぐらいか。雪は平坦部しか残っていないので滑落の心配は無く、特に危険な箇所は無い。2人に励まされて最後の急登を頑張ると多くの登山者で賑わう山頂(5025m)だ。
山頂から五色山(5430m)、日月宝鏡山(5609m)、名前不明(5543m)を望む
山頂から四姑娘山(6250m)、三峰(5355m)、二峰(5276m)を望む

二峰・三峰・四峰と稜線が続く。今年は残雪が多いのか、二峰の山頂部も半分ぐらい残雪に覆われている。長坪溝の谷を隔てて長く連なる山々も、マッターホルンのような尖がりが沢山あって、凄いアルプス的景観には感動する。間違っているかもしれないが、後から写真を元に山座同定すると、正面に特に高い3つのピークが日月宝鏡山(5609m)と五色山(5430m)と名前不明(5543m)、右手前にすらっと立っているのが長坪溝からも見た神山(婆繆峰) Mt.Pomiu(5413m)、その奥右側の2つのホルンが、曲普峰 Mt.Chibu(5450m)とMt.Daugou(5466m)、さらに奥の野人峰 Mt.Seerdengpu(5592m)方面は隠れて見えなかったと思われる。

山頂のタルチョと巴朗山から続く山々
山頂直下の平坦部は残雪の上を歩いた

第1キャンプになっているテント村を見下ろす
 人が減ってきたのを見計らって、山頂のタルチョの前でAlexと記念写真に収まり、5000m峰登頂を果たした満足感に浸りながら下山にかかる。稜線からの下降点ではテント村を小さく見下ろし、ここまで岩のごろごろしたU字形の浅い谷間をのぼってきたことがわかる。海子溝を隔てて望む巴朗山群方面は、昨日からずっと見えていた5000mクラスと見られる大きなピークが3つ連なっているが、個々の山名はAlexもわからないと言う。ピーク毎に名前をいちいちつけるわけではないようだ。テント村に王さんの知り合いがいて、日本人にサービスと言って中で紅茶をご馳走になる。やはりこちらのほうが外国人向けになっている感はある。登りで会った1組以外日本の人に会っていないが、今後夏休みで日本の登山者も増えるのであろう。小屋に戻ると王さんは一旦馬と下っていき、荷物をまとめて戻ってくるのを待つ。雲が増えてきて日が翳ると寒くなってくるしだいぶ待ちくたびれた。12時に出発、少し下ってから昨日と同じように山腹を巻く道を行く。二峰ベースキャンプ(4200m)は案外近く、1時間で到着した。途中大きな湖が見えないか谷側をちらちら覗いたが見えなかった。

続きを見る
四姑娘山と四川省・雲南省の旅のメニューに戻る
トップページに戻る