4.雄大なコリャフスキー火山(3456m)を横断しゴールのアバチャ山(2741m)へ登頂
年月日 2019年7月15~17日
天気 晴れ
タイム キャンプ(9:00)…鉱泉の小屋 Aagskiye(13:30/14:40)…沢の脇でキャンプ(18:50//6:45)…ランチ(11:00/11:50)…アバチャ・パス(15:20/15:30) …アバチャ山ベースキャンプ(17:20//5:30)…アバチャ山[外輪山](10:30/11:45)…ベースキャンプ(14:30/16:25)…車道終点(16:35/16:45) =ペトロパブロフスクのマーケット=ビーチ(20:30)

 快晴となり標高も下がったので暑い日になった。若いメンバーはレンジャー小屋の売店へ追加のチョコを買い求めに行き平地の2倍の値段だったとか。他にビールとか気のきいたものは何一つ売ってないようだ。途中すぐ脇の草むらからクマが出てきて驚くが、大人数の我々を見た途端一目散に逃げていった。これだけ人がいればクマが向かってくることは無いという。湿原の横を抜けて高度を上げていくと、雲一つない青空のもと、行く手はアーグ(2310m)、アリック(2168m)、コリャフスキー(3456m)の3つの火山が並び、これからその左手をトラバースしていくルートをたどる。後方にも、昨日峠から眺めたジュパノフスキー(2917m)などの山々が良く見える。
コリャフスキー(3456m)とアリック(2168m)を正面に見て進む
後方にはジュパノフスキー(2917m)やジェンズール(2156m)など

天然の炭酸泉が湧いている小屋でランチタイム、硫黄味が結構強烈で水のようには飲めない。キャンプしていた子供連れパーティも空身でここまで往復していた。午後になると暑さが厳しくてペースがはかどらない。沢に下った後の登り返しが特にきつい。砂地には大きなクマの足跡が残されていた。行く手に見えてきたアバチャ山(2741m)はまだまだ遠い。沢の水が得られる場所でキャンプ。高度計によると標高780mであった。コリャフスキーの眺めが素晴らしく足元は一面お花畑で、花を踏んずけてテントを張るしかない。
目的のアバチャ山(2741m)はまだ遠い
雄大なコリャフスキー、足元はウルップソウの大群落

 温泉からアバチャ山ベースキャンプのレンジャー小屋まで2日間で39kmの距離ということで、まだ先は長く翌朝は早朝から行動を開始。遠方の山々が霞んできて見えなくなったが、依然として雲がほとんどない快晴の天気が続いており、クリチェフスカヤでの不安定な天候が嘘のようだ。道が不明瞭な個所もあってGPSで進路を確認する必要がある。お花畑はエゾツツジの赤、ウルップソウの青、イチゲの白、フウロソウの紫が多い。御鉢状に盛り上がって噴煙を上げるアバチャ山にも雪が大量に残っている。その姿が次第に近づいてくるのを励みに最後の登りを踏ん張って、アバチャ・パス(1220m)に登りつく。いつのまにか周囲の緑はなくなり火山灰の不毛の大地へと変遷していた。
 パスから下りついた沢を渡渉したあと、山麓の特異なピーク、天狗山の肩まで少し登り返さないといけない。そこを乗っ越して火山灰の道を下っていくと正面に月面基地のような建物が並んでいるが、ベースキャンプはさらに先だ。ここまで来るとハイキングの人に会うようになり、ちょうど西遊旅行のフラワートレッキングツアーのグループに会い、日本語を話す綺麗なロシア人のお姉さんが案内していた。付近の火山灰台地にも高山植物が見られるが、我々が歩いて来たお花畑に比べると花の数はかなり貧弱だ。久しぶりに日本語で少々会話する。2週間もシャワーを浴びておらず髭ぼうぼうの姿では気味悪く思われたかも。ベースキャンプの標高は800m強、プレハブのような簡易宿舎が並んでいて、ここにあるトレッキングコースの案内板は英語でわかりやすい。
ベースキャンプからアバチャ山と天狗山を見る
コリャフスキーを終始望みながらアバチャ山へ登山

 トレッキングの最終日は早朝からアバチャ山の山頂へアタック、標高差が2000m近くもあるので空身といえども侮れない。キャンプ地脇の沢から尾根に上がり、2030mのアンテナとベンチのある所からゆるい雪渓上を歩いて、ゴツゴツした溶断の岩峰に右を巻いて山頂へ向かう最後の急斜面の下に出る。ここから山頂を見上げると、まるで富士山を登っているようだ。はじめは急斜面の雪のない所を登っていくと、火山灰がずるずる崩れて相当に足場が悪い。脇の雪上に移動するとガチガチに凍っていてピッケル無しでは恐怖感があるが、深い足場ができているのでずっと歩きやすく傾斜が緩くなるまでは雪上を登る。外輪山まで5時間で登り着き、我々が一番乗り、なかなかのペースであった。雲が湧いてきているもののまだコリャフスキーの山頂まで見えている。遥か歩いて来たナリチェボ渓谷の方は霞んでしまって何も見えない。山頂部は不気味に噴煙を放つ溶岩が盛り上がっていて地熱も感じるが、それほど広くもなく噴火は落ち着いているので、黄色く硫黄が露出した外輪山の縁をうろうろ歩き回ったり、最高点らしき場所まで上がったりすることができた。
山頂部は噴煙を放つ溶岩が盛り上がっている
黄色く硫黄が露出した外輪山の縁をうろうろ歩き回る

 下りは、雪の斜面に滑り台ができているので、ピッケルは無いけれど足でスピードを制御して尻セードも楽しめた。下からは続々と人が登ってきて大変ポピュラーな山であることがわかる。アンテナの先で、登りに使った尾根を離れて右側の砂走りの斜面を行く。眼下の天狗山へ向けて雪渓をくだり、月面基地の脇を抜ける林道に出た。これでグレートハイキングツアーを無事歩き切ったことになり、我ながら良く歩いたものである。期待を裏切られた面も多々あったのだが、手付かずの大自然の中をこれだけ歩き切るのはなかなかできないことであり貴重な体験になった。
 キャンプで少し昼寝の後、六駆車に乗り込みペトロパブロフスクの街へ向けて下る。早くホテルでシャワーを浴びたい所だがその準備は無く、まだおまけがあって、セントラルマーケットでアルコール類や魚など買い込んでから、アバチャ湾とは反対側の太平洋に面したビーチまで六駆車で向かって、そこでテントにもう一泊する羽目に。元々はトレッキング第1部と第2部の間にビーチを訪れる計画であったのが、その時間が無くなってしまった為であった。

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