2 クラニュスカ・ゴラ周辺ハイキング トリグラフ国立公園北部の絶壁の山々
年月日 2018年7月17~18日
天気 晴れ時々曇り
タイム ブレッド湖[Blejsko Jezero](8:20)=Lesch(8:30/8:42)=クラニュスカ・ゴラ[Kranjska Gora](9:30) …ペンション[Penzin Lu Kanc](10:00/10:50)…ヤスナ湖[Jezero Jansa](11:20/11:30)…コース7分岐(12:37) …Koca V Krnici(13:02/13:35)…ヤスナ湖(15:30)…クラニュスカ・ゴラ(16:00//9:10) ~(チェアリフト)~Bedansev Dom(9:23/9:30)…Dom Na Vitrancu(10:25/10:35)…Ciprnik(11:23/12:10) …ノルディックスキーセンター[Nordijski Center Planica](13:30)…Planinski Dom V Tamarju(14:30/14:37) …ハイキングコース入口(15:20)…ラテチェ[Ratece](15:55/16:07)=ドブジェ[Dovje](16:33) …モイストラナ[Mojstrana]~ウラタ谷[Vrata]散策…ドブジェ(18:06/18:20)=クラニュスカ・ゴラ(18:40)

ヴェリキ・ピシュニツァ川沿いハイキングコースの景観
 特別な期待は無く、国立公園北側の最大の観光拠点というクラニュスカ・ゴラへバスで移動。でも途中の車窓からトリグラフ山系の絶壁の眺めが素晴らしかったので、こちらに来るのも正解だったようだ。案内書でハイキングトレールの地図を入手し、2泊できる安いB&Bを紹介してもらった。5分程歩いた町外れにあって静かで眺めも良い場所。バスルーム共同で1泊32Euro、応対してくれた年配の女性は英語が通じなかったが、パスポートを渡して部屋に案内してもらう。さっそくどこにハイキングに行くか考え、無数にあるコースの中から、今日はまずいちばん近い観光スポットのヤスナ湖へ行ってから、その先行ける所まで足を伸ばすことに。ハイキングコースは地図に載っている番号を示した道標があって迷うことが無い。沢沿いの遊歩道に入ると樹木の中で展望は無いが涼しい道だ。車道に出たところが広い駐車場で、中洲を挟んで2つに分かれたヤスナ湖は、湖面の鴨や魚たちと共に水遊びを楽しむ観光客で賑わっている。しばらくヴルシッチ峠越えの車の往来が多い車道を歩き、多数の車が駐車してある所から左へ分岐するヴェリキ・ピシュニツァ川[Velika Pisnica]に沿った林道に入ると、一般車は通行できないので静かになる。時々ハイカーが下ってくるのに出会う。往復する人の他、峠超えのバスで適当な所まで行ってから歩道を下ることもできるようだ。
Koca V Krnici小屋とRazor(2601m)方面の岩山
 正面にGolocicaの岩壁が迫り、ヴルシッチへの7番コースの分岐を過ぎ、8番コースを進むと威圧的な岩壁を樹木の間から見上げながらの登りだ。Koca V Krniciの小屋(1113m)に到着、眼前に岩山が聳えアルピニスト御用達という雰囲気、特に正面に見上げるRazor(2601m)は針のようなピークが連なって印象的。ここからSkrlatica(2740m), Stenar(2499m), Kriz(2410m)などへ本格的な登山道が続いている。その気になればこのような山小屋をベースに日帰りでいろんな山頂にアタックできる。車を利用すればここまでのアプローチは短くてすむのだ。外のテーブル席ではハイカーがビールとランチで寛いでいる。体調からいって今日はここまでが限度、帰りを考えるとビールにも手を出せない。スタッフのお姉さんに突然日本語で話しかけられてびっくり、日本に居たことがあるそうだ。
 一時雲が湧いてくる時間もあったが、再び上空はすっきり晴れ渡った。計画通りなら今日はトリグラフ山頂へアタックのはずだったが。。。同じ道を歩いて戻り、概ね平坦とは言え寝不足の身には結構堪えるハイキングとなった。クラニュスカ・ゴラ町中の様子をぶらぶら見ながら宿へ戻る。スキー場の大きなホテル以外には、ホテル・レストランが意外に少ない。アパートで自炊をしながら長期滞在という人も多いようだ。宿へ戻って共同バスルームへ行くと、狭いもののバスタブがあって、湯にどっぷり漬かると疲れがとれる。スーパーも近くにあり値段の割りになかなか居心地が良い宿だ。町の中心となる案内所付近にはレストランが2軒しか見当たらず、外のテラス席は満員で室内の席に着いた。スープとクラニュスカ地方のソーセージ+ポテトを注文、生ビールに良く合う。宿の朝食は7時半からで種類はあまり多くないがまあ満足できる。サラミ・ハム・卵料理・チーズは定番、コーヒー・紅茶・ジュースはまずいがパンは何種類かあり割と頂ける。酪農が盛んなのでミルク・ヨーグルトはとてもおいしく、スイカのデザートも嬉しい。
 良い天気の朝を迎え、唯一夏も動いているBedansev Dom(1106m)へのリフトで高度を稼げいちばん手軽に山頂に立てそうな、13番のコースでCiprnik(1746m)を目指す。リフト終点から林道を少し歩き登山道に入ると、スキーゲレンデ横の樹林帯の中、なかなか急傾斜の直登で疲れる。途中すごい速さで来た男性に追い抜かれたが、おそらく小屋の関係者だろう。尾根に登りついた所にDom Na Vitrancuの小屋(1555m)があり、一服する。ここからは緑の絨毯のようなVitrancの尾根上を歩き、お花畑も楽しめる。山頂へ向けてしばらくはゆるい上下を続け、下りに使うつもりのプラニツァ[Planica]への分岐点を確認すると最後の登りとなる。後からダッシュで来た登山者に追い抜かれた。山頂に着くと、国立公園北側の山々の屏風の様な大パノラマだ。西側からVisoca Ponca(2274m), Jalovec(2645m), Travnik(2378m), Prisank(2547m), Razor(2601m), Skrlatica(2740m), Spik(2472m)とこれでもかと氷河で削られた荒々しい岩山の連続。特にRazorの直下には、グロテスクな奇岩が林立した壁があって目を奪われる。その奥にトリグラフの山頂部が望いている。眼下のプラニツァ谷にはスキーセンターのジャンプ台を真下に見下ろす。こんな角度から見るのは初めて、急な角度には見えず細長い公園みたい?不思議な感覚だ。この谷最奥に聳えるJalovec(2645m)の姿も凛々しい。山頂では前後して合わせて4組の登山者に会った。

Ciprnik(1746m)山頂からの屏風の様な大パノラマ

Razor(2601m)奇岩の壁の奥にトリグラフ山頂部を望む
プラニツァ・スキーセンターのジャンプ台を見下ろす

Planinski Dom V Tamarju小屋と迫力あるJalovec(2645m)の姿
 先の分岐点から氷河で削られ岩肌が露出した急斜面にジグザグにつけられた道を下る。Ciprnik山頂から見た印象と全然異なる巨大なジャンプ台は世界最大とか、敷地内にスキー客の為の近代的な建物があり夏も展示室などが開いている。駐車場の先に、国立公園のサイトで紹介されている、自然や歴史の解説板が設置されたプラニツァ谷のハイキングコース入口が有り、多くの人が訪れている。典型的なU字谷で、谷底の平坦部を歩いて氷河で削られた左右の岩肌や流れ落ちる滝を探勝する初心者向けコース。終点にPlaninski Dom V Tamarjuの小屋(1108m)があり、付近はお花畑になった広い草原。かつて共同牧草地で羊のチーズが作られていたという解説がある。ここからも付近の山頂への登山コースがいくつか続いている。 眼前にはCiprnik山頂からも見たJalovec(2645m)が雪渓を携えた険しい双耳峰の岩峰を露にしている。その頂へもヴィアフェラータのルートが作られているようだ。スキーセンターへ戻り、路線バスが出るラテチェまで、下り気味の車道を急ぎ足で歩いて16時過ぎのバスに間に合った。余談だが、国立公園のサイトによると、山地を越えて反対側のソチャ谷側には、また谷の様相が異なるゴルジュの峡谷を探勝するコースもあるようで、そちらも興味深い。
Gozd Mrttuljek付近のバス車窓の景観
 天気はずっと良いのでもう少し山の写真を写そうと、クラニュスカ・ゴラを通り過ぎドブジェまでバスに乗った。途中Gozd Mrttuljek付近はまた違った角度からの鋭峰群が眺められる。ドブジェのバス停近くのモイストラナの町はトリグラフ登山の北側の玄関口。ウラタ谷を11km遡ったアラジュウ・ドム小屋[Aljazev Dom V Vratih](1015m)が北壁側の登山ベースで、そこまで1日2本ほどバスがあるようだ。ウラタ谷の方へ少し歩いてみるが、残念ながら北壁は手前の山に隠れてあまり良く見えない。モイストラナの案内所に立ち寄り北壁などの写真展示を眺める。近くに練習用のヴィアフェラータ施設があり、見に行くと若者の男女ペアがトライしていた。なかなか険しそうな垂直の岩場である。本日の夕食は、クラニュスカ・ゴラ中心部のもう一軒のピザ・レストランに入る。混んでいてだいぶ待たされて出てきた生ハム載せピザは特大サイズ。生ビールにグラスワイン2杯も合わせて13Euroとは安いが、ピザはあまり口に合わず食べきれない。人気の理由は量の多さと安さだったらしくこの店は失敗だった。

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