エルブルース(5642m)スキー登山4
エルブルース アプローチ編
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| 年月日 |
1998年4月27日(月) |
| 天気 |
曇り(霧)時々晴れ 一時雪 |
| タイム |
Cheget Hotel(11:00)=Azau(11:20)−(ロープウエイ)−Mirロープウエイ終点(11:50/12:05)
−(雪上車)−Priut11-hut(12:40/15:10)…3450m地点(16:15/16:38)…11-hut(17:03)
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雪上車で11番小屋へ上がる
ロープエイ終点のMir(3470m)にて
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紫色に染まるエルブルース
11番小屋から夕方望む
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きのうまで最高だった天気が下り坂の様子で、朝は霧で景色がほとんど見えなくなった。荷物整理
をして、昨日は酔って浴びそびれたシャワーを浴び(お湯が出てよかった)、ゆっくりした後、
11時にアレキサンドルに迎えられていよいよ高所へ向けて出発する。
Terscolのさびれた町を通って車道終点のAzauへ。周囲はホテルのような建物も見られるが、
朽ちて使われていない様子。数名のスキーヤーと共に少し古いロープウエイに乗り込む。
所々隙間が空いていて一抹の不安をおぼえるが、しっかりと動いてくれた。霧は晴れて周囲の山が
見えてくるが、上部は雲の中だ。
中間駅から上は雪が着いていて、スキーヤーとボーダーで賑わっていた。乗り継ぎのロープウエイ
は満員で、一本やり過ごして待つ。ロープウエイ終点から上にもう1本リフトが動いていてゲレンデ化している。
場所は素晴らしいが、日本やヨーロッパの派手さに比べてちょっと寂しい感じ。ロシアならではの素朴さが魅力か。
ここから歩くかと思ったら、雪上車で登るようだ。運転手がゆっくり燃料を注ぐのを待って出発。
荷台のベンチに座り、斜面で荷物がズレ落ちないよう押さえながら走る。乗り心地は悪いが、
楽々11番小屋(4150m)まで登ってきてしまった。これだったら、重荷を恐れず食料等もっと持ってくれば良かった。
小屋は管理人が1人の他は誰も来ていない様子。3階の眺めの良い2人部屋2室に入る。
アレキサンドルがフランスパン・紅茶・チーズ・ラディッシュ(醤油をかけるとうまい)のランチ
を準備してくれた。休んだ後、体慣らしに出発。シール登行でゆっくりと、左側に点々と出ている岩
に沿って4450mの平坦部まで登った。滑降は雪が重くて難儀。ジャンプターンしたり転けたりすると
息が切れ、登りより苦しい。最後は大きく斜滑降で小屋に滑り込んだ。
実はアレキサンドルもベジタリアンで、夕食はポテト・野菜のスープ,チーズにパン。しかしIさんは
口に合わず食べられない。部屋では、借りたコンロで餅や干魚を焼いて食べた(やっぱこっちの方がうまい)。
夕方には、西の空の雲が異様なオレンジ〜濃ピンク色に染まりシャッターチャンス。エルブルースも
一時頂上まで顔を出して紫色に染まった。ただこの不気味な空の色では、明日も天候はあまり期待できそうもない。
| 年月日 |
1998年4月28日(火) |
| 天気 |
雪 一時晴れ間 夕方晴れ |
| タイム |
11-hut(12:00)…4600m地点(14:07/14:25)…11-hut(15:00)
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外は新雪が積もっていて、朝トイレにラッセルして行く。トイレはかなり下にあって不便、
崖の上に迫り出して、栂海山荘のトイレみたいにスリリングだ。高度の影響で良く寝付かれな
いまま、だらだらと長時間横になっていた。高所順応の出発を遅らして12時発。昨日の到達点
より1段上がると緩い斜面が長々と続いて高度があまり上がらない。
目指すPestukhova rocksの一段下の平らな部分で、今日はこんな所かと滑降に移る。
新雪なので昨日よりは滑りやすそうだが、それほど積もっておらず、下は堅い雪なので
時々引っかかって転ける。昨日同様、滑降では息を切らせてハアハア言って立ち止まりながら行く。
苦しいけれども、この山をスキーで滑っているという実感は普通では得難い喜びでもある。
夕方は再びエルブルースも顔を出すようになり、明日は天候回復の期待も出てきた。
行けそうなら6時起床でアタック。ダメだったら体力消耗を防ぐために一度チェゲットへ下山する
と言う(食料もずっと上に残れる分の量は持ってきていない様子)。
| 年月日 |
1998年4月29日(水) |
| 天気 |
晴れのち曇り(霧) |
| タイム |
11-hut(10:40)…ロープウエイ(11:30/11:40)−Azau(12:05/12:20)=Cheget Hotel(12:35)
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朝目覚めて外を伺うと晴れている。出発の覚悟で準備を始めると、アレキサンドルが部屋へ
来て、風が強くて無理なので下りると告げられる。上部は猛烈な風であろうとのこと。
まだ順応は十分とは言えず、体調も必ずしも良いとは言えず、半ばホッとした感もあった。
まだ十分チャンスはあると言われる。しかし日程的には残りあと3日となり、厳しくなってきた。
3800mのリフト終点まで広い斜面をザックを背負ってゆっくり滑っていく。積雪後1日経っていて、
案の定雪質は悪い。下から雪上車が登ってきて我々の前で止まり、1人下りてきた。ユーリだ。
他の登山者はそのまま乗って小屋へ向かっていった。彼は昨日到着し、早速我々の様子を見に来て
くれたのだ。ユーリはスキーはやらないみたいで、我々の後から歩いて来た。
リフトは動いておらず、ロープウエイの駅までのゲレンデも未整地で滑りにくかった。リフトの
代わりに雪上車で登るスキーヤーと、登山者数パーティが雪上車で登っていった。これまでわずかのパーティ
しか見かけなかったが、ここへ来て急に増えた(天候回復の予報が出た為と推定)。
ロープウエーに乗り込む。アレキサンドルは荷物だけ乗せて1人ゲレンデを滑っていった。
Yさんが、そういうことなら僕も滑りたかったと言う。中間駅に着くとアレキサンドルが先に下り着いて
いて笑って迎えられる。見せてくれるじゃん!
下りてくると、やはり重かった頭や体がすっきりする。Azauの駅前の店で久々のビールがうまい。
ホテルに着いて、さっそく買い出し。おみやげにMoldovan(近隣の産地名らしい)の赤ワイン(CRICOVA)
も買う。ここに置いて有るものの中では一番飲めた(ただし日本に持ち帰って飲むと、
甘ったるくて決して良いワインではなかった。おみやげとしては話の種になるというだけだ)。
Cafeに行って何か食べようとし、感激のマス料理を発見して一気に食欲が湧く。後から店に入ってきた
にぎやかなロシア人のお客に、Oh! Yapone・・Komatsu・・Panasonic・・と話しかけられ、コニャック
(Localもののブランデーを彼らはこう呼ぶ)をおごってもらい、次は店がディスコに早変わりしみんなで
不思議な音楽にのせて踊る。いつのまにか我々の運転手も来ていた。どっちがおごられたのか
判らないが、勘定もたいしたことなく、いい気分で部屋に戻る。
部屋で寝ているとユーリに起こされ、Iさん除き夕食へ。ハンバーグにポテトと、久々に肉料理を頂く。
お客は今までのRichロシア人に混ざって、ドイツとロシアの2つの登山のグループが来ていた。
ドイツ隊は、今日11番小屋を往復したらしく、元気なおじさんが上は厳しい状況だったと
話していた。
| 年月日 |
1998年4月30日(木) |
| 天気 |
晴れ 一時小雪 |
| タイム |
Cheget Hotel(11:05)=Azau(11:15/12:00)−Mirロープウエイ駅(12:20/12:45)
−(雪上車)−11-hut(13:05)
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下界で鋭気を養ってから再出発。今日11番小屋に入って、明日登頂。明後日には確実に下山して
こないといけないので、明日が登頂のラストチャンスとなる。天候は回復傾向のようだ。
前回よりも多くのスキーヤーとボーダーを載せたロープウエーで上がり、同じように雪上車で小屋へ
向かう。今日は2人の若いボーダーが飛び入りの同乗者となった。彼らは小屋に着くと早速滑り降りて
いった。この重い雪はスキーよりもボードの方が滑りやすいようだ。
11番小屋前のテラスにて
右は双眼鏡を見ているアレキサンドル。左はスケッチ中のYさん。
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小屋前は多くの登山者で賑わっていた。きょう頂上アタックしてそのまま下山していった強者パーティ
あり、この付近までの往復目的のハイカー・スキーヤー有り。美人女性もいたので話しかけると、
USAに住んでいるがオーストリア出身だという。すでに3階の部屋がだいぶ塞がっていて、
今回は別の4人部屋に3人で入った。
11番小屋と後方の山なみ
小屋から少し上部に散歩した所にて。雪上車の通った跡がある。
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小屋前のテラスからは、多少雲に覆われ気味ながら、一帯の山々のパノラマが広がっている。
まず目に入るのは、やはり7-Glacer のDonguz-Orun とNakura、その手前にCheget からMaly Dangusorun ,
Chiperazau と続き、手前にAzau-cheget-karabashi。さらに右側には、手前のAzadbashi辺りを前景に、
Uzuncolという山域に向けて延々と山なみが続いている。左へ目を転じると、2つの角を持ったガウリシャンカール
に似たUshba(4710m)がひときわ高い。風もなく暖かいので、テラスで思い思いに過ごし、
付近を軽く散歩する程度で午後を過ごした。
夕方になるとはエルブルースもすっかり晴れ渡ってきた。
夕食はご飯を焚いてくれ、持参した梅干しやちりめんと食べると食欲が湧く。アレキサンドルにも
梅干しを差し上げるが、以前にも試したことあるらしく嫌いではないみたいだ。
早朝は雪が凍って状態が悪いので、6時起床7時出発にするという。明日は気合いを入れて
頑張ろうと誓って眠りにつく。
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