リフトが動き出すのはのんびりしたロシアタイムの10時。2本のリフトのうち1人乗りリフト まで階段を上がって、スキーを手に持って荷物をお腹側に背負ってリフトに乗る。2750mのレストハウス 所までのんびりと上がっていくと、ようやく銀世界となる。今の時期は、リフトのお客はスキーをするより 観光で来る人の方が多いようだ。今朝ホテルの前から眺めたNakraとDonguz-Orun、反対方向には Elbrusがせり上がってくる。この上に1本リフトがあり、さらに上にチェアバーリフトがあって、 スキーシーズンには3100m位まで行けるようだが、今はこれらのリフトは動いていない。 日本でこれだけの雪があればいくらでも人は来るだろうに。 まだ人気の無いハウス前で、既にシールを張ってあるスキーを履いてアレキサンドラと共に出発。ゲレンデをトラバース 気味に登っていく。体慣らし初日ということでゆっくりのペースだが、やはり高度や時差の影響で 今一つ元気ない。特にYさんは遅れてしんどそうだ。アレキサンドルが今日の新雪の Snow ConditionはBestだという。
彼はこの先の広い斜面をシール直登でどんどん行く。私は途中でスキーの後ずさりがいやでスキーを斜めに して、それ以降は斜登行とキックターンでガイドよりだいぶ遅れて頂上に着いた。Conglatuation! と迎えられる。反対側はいままでのスキーエリアと異なり急な雪壁となっていて、雪稜が Maly Dongusorunへ向けて続いている。11番小屋からElbrusへのルートが一望のもと。結構急そう、 今日よりももっと急だよと言われて、Elbrusをシール登行で登る自信をなくし、ツボ足で行こうかな と思う。 いよいよお待ちかねの滑降だ。頂上から、来た時と反対側に少しトラバースしていくと、 眼下に大斜面が広がっている。ガイドが先にジャンプターンで下って行き、私も思いきって飛び込む。 雪はとても滑りやすく、新雪ターンがおもしろいように決まる。こんな素晴らしい斜面を独占 して滑れるなんて最高の気分だ。アレキサンドルに追いつくと、 Excelent! と言われ、あまりスキーで誉められたことはないのでとても嬉しかった。彼の 滑りを良く見てると、体力にものを言わせた豪快なジャンプターンを繰り返しては時々転んで止まっている。 エキストリームスキーヤーは必ずしも山スキーの天才ではないらしい。 IさんとYさんは、リフトの方へトラバースして戻ろうとしている。ガイドに言われて 2人を呼び寄せる。Yさんは例によって軽技の滑りでやってきた。Yさんの伝言で、Iさんは 調子悪いのでリフトへ戻りたがっているとのことだが、ガイドはリフトへ戻るのが必ずしも安全とは 言えず、一緒に行動したいのでやはりここまで来て欲しいと言うので、呼びかけてゆっくり下りてきて もらった。Iさんはつらそうだったが、しぶしぶ急斜面と一部雪が切れている所を、斜滑降でゆっくり 下りてきた。 休み休み下って所々雪が切れて地面が出ている所を横切ったりして、ついに雪が続かなくなった所で スキーを脱ぐ。時々雪を踏み抜いて足を取られながら、牧場の斜面のような所(結構急だが)を下って 林道に出て、脱スキー後の歩行1時間でホテル前にたどり着いた。 飲み物をおごってくれるというので、私はビールを、他の2人はジュースとスプライトを 頼むと、ホテルのバーから仕入れてきてくれた。飲みながら明日の予定を話す。予定を変更し、 早立ちしてもう少し長いスキーツアーへ行くという。今日の我々の様子から、標高を上げずに体慣らし した方が良いと思ったみたいだ。ガイドが帰って部屋へ戻り、Iさんはすぐ寝て休んでしまったので、 Yさんが泊まっている1人部屋の方に移って、2人でウオッカと山崎を飲んだ。Iさん抜きで 夕食へ行った後、3人で少し飲んでから早めに休んだ。
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