妙高連峰 金山〜焼山〜火打山 縦走
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【月日】 98年7月18〜19日
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【メンバ】単独
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【装備】 幕営用具一式,重登山靴,水筒計4L,食料2泊分(予備含)
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【参考】 2.5万図 雨飾山・妙高山・湯川内,ブルーガイドブックス(S59年版),
Nifty山のフォーラムライブラリ(山歩きハイク 中部 96年報告)
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年月日 |
1998年7月18日(土) |
天気 |
曇りのち晴れ |
タイム |
新宿(23:20)=(アルプス81号)=南小谷(5:35/6:40)=(バス)=小谷温泉(7:10/7:23)
…登山口(8:50/9:00)…天狗原山(12:30/13:04)…金山(13:38/14:50)…富士見峠(16:10)
〜R.F.後幕営(16:35)
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【妙高連峰縦走完結を目指す】
天気が良さそうなので、急遽思い立って単独テント山行に出かけた。雨飾〜金山,
火打〜妙高は以前歩いたことがあり、その中間部が抜けているのはずっと気になってい
た。その要となる焼山は、昭和49年の噴火以降近づきにくくなってしまった。一昨年の
この時期の縦走報告がNiftyにあり、非常に参考になった。
【連休もさほど混雑しない山】
臨時の夜行に乗って南小谷へ、小谷温泉行きのバスに乗ったのは登山者6名程で、私
以外は雨飾山へ向かうようだ。道端のエゾアジサイやソバナ,トリアシショウマなどを
めでつつ林道を歩く。雨飾荘の先で、林道笹ヶ峰線に入る。入り口に「工事のため車両
通行禁止」と書いてあるが、かまわず車やバイクで入ってくる人もいた。林道歩きにう
んざりする頃、天狗原山登山口に到着。ハッキリした道標が設置されている。登山者と
思われる車は3台程、さらに1台到着して2人組が先に登っていった。
カワラナデシコと高妻山
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【花の多さに感激】
急登の途中に水場有り。先行2名の方は富山県からで、天狗原〜金山の適当な所で幕
営予定だそうだ。今年は雪渓が早く消えて水が無い可能性あるとのことで、私もここで
水を補給。ひと登りで眺めが開け、乙見山峠を隔てて格好の良い高妻山が望める。付近
にはカワラナデシコの花が目立ち、名前不明のピンクの小花と白のつぼみも。ヤセ尾根
から湿地に入るとカラマツソウに水芭蕉の葉っぱ。さらに草原帯になり、クガイソウ,
グンナイフウロ,エゾシオガマ,キンポウゲ,ミソガワソウ(?),セリ科の白い穂の群
落,その他名前不明の花含め種類が豊富でいつまで居ても飽きない。
天狗原山頂上付近のお花畑
ダイモンジソウとセリ科の白い花にハクサンフウロが目立つ
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【天狗原山は人の手の入っていないお花畑】
再び樹林帯になり、カニコウモリ,ゴゼンタチバナ,オタカラコウなど見ながら急登
をこなすと、やがて天狗原山頂上へ続く草原に出る。雲間から火打山と焼山が見え隠れ
し、ハクサンフウロ,ヨツバシオガマ,クルマユリ,ニッコウキスゲも登場。頂上付近
のお花畑はハクサンイチゲやダイモンジソウの群落で白に染まっていた。道はわずかに
尾根をはずれていて、先行の単独行氏が三角点を探していたが見つからないようだ。入
山者が少ないせいか、一歩道を外れると荒らされていない自然のままのお花畑である。
【金山頂上でのご馳走】
神ノ田圃を経て金山へは、か細い道が続いている。のびやかな緑の草原は気分も最高
である。今年は少雪の為雪渓が消え池塘が枯れてしまっているが、キンポウゲ,シナノ
キンバイ,イブキトラノオ,ニッコウキスゲ,マツムシソウなどの群落が見られた。残
雪が多ければもっと素晴らしいに違いない。金山に登り着くと先着の日帰り5人グルー
プが宴会中、ここで富山湾でとれたミギスという魚を焼いていて、臭いだけでは申し訳
ないからと2匹も頂いてしまい、さらに牛タンも頂いたので、我慢できなくなって私も
1本持ってきた缶ビール開けて仲間に加わる。時折ガスに覆われるも雨の心配は無く、
昼寝をしたりしてゆっくりした。
焼山へ向かって
左手の雪渓付近が富士見峠(幕営地点)
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【油断大敵、富士見峠へは薮の道】
富士見峠へは根曲り竹の切り開きが続いているように見えるが、いざ行ってみると道
は荒れて歩く人はほとんどいない模様で、根曲り竹をかきわけ、根っ子に足を取られな
がら進む難路。アザミのトゲにも注意。金山でのビールはちと早かったか。何とか下っ
てくると、一面ニッコウキスゲの草原になり、雪渓が残るゆったりした金山が眺められ
、道も少しは歩きやすくなって一息つく。裏金山を巻くように踏み跡をたどっていく。
正面には焼山が大きく聳え、頂上は岩がゴツゴツしている様子が良く判る。富士見峠の
付近には1ヶ所雪渓が残っていて、何とか水は得られそうだ。
【薮に閉ざされた富士見峠に心強い同宿者】
最低部から少し登り返したところが富士見峠、道標らしきものは何も無いが、かすか
な踏跡に入って左へ下るとすぐに左下に雪渓が見えた。泊岩まで行ってみようと、直進
するが薮に阻まれ、道標を1つ発見するも道がほとんど無い状態なので、戻って急な崖
から雪渓(雪田)に下りた。雪田の末端へは雪の上を歩いて容易に行くことができ、水
が出ていることを確認し、何とか1人用テント分の平らな場所を見つけて幕営した。
付近をもう一度確認しようと外に出ると、若い単独の登山者がやってきた。笹ヶ峰か
ら1日かけて登ってきたという。こんな所では人に会うと心強く、早速情報交換。笹ヶ
峰からの道もかなり悪路とのことだが、いざとなれば下山路として使えそうだ。彼は今
後、雨飾山方面へ途中もう一泊して縦走予定とのこと。付近には平らな場所は無いが、
他に水が得られる所もなく、近くの傾斜地にやや苦労してテントを張っていた。天気は
快晴無風、静かな山奥での一夜をとても快適に過ごすことができた。
年月日 |
1998年7月19日(日) |
天気 |
晴れ |
タイム |
富士見峠(5:27)…Bushを出る(6:40/6:54)…焼山(7:38/8:00)
…胴抜キレット先の小ピーク(8:58/9:16)…火打山(11:00/11:48)…高谷池(12:50/13:15)
…笹ヶ峰ロッジ(15:30/16:30)=(バス)=妙高高原(17:18/17:51)=大宮(19:50)
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【薮を強行突破】
富士見峠から稜線の北をトラバースするように、薮の中のかすかな踏跡を慎重にたど
る。小さな沢に出て道が判らなくなった。地形図ではしばらく沢を下るような点線があ
るが、沢を横切って登っていく踏跡と目印を見つけ、それをたどっていく。しかし途中
で踏跡がわからなくなる。上に岩が見えたので強引に登っていくと、そこは泊岩では無
かった。あちこちに巨岩が立ち並ぶ中を適当に登っていき、所々薮にはばまれ強行突破
していくと、ようやくブッシュ帯を出て、火口へのガレ場の下部に出た。一息つくと、
周囲のすばらしい展望が目に飛び込んでくる。
【素晴らしい征服感を味わえる頂上】
下草を踏みつけ、砂ザレのスリップに注意して一気に火口まで登り切ると、左から踏
跡を合わせた。泊岩を経て迂回する正しいルートをショートカットして登ってしまった
ようだ。硫黄の臭いが強くなる。反対側に岩のゴロゴロした小さな火口があるが焼山頂
上は未だ見えない。展望はさらに広がり、天狗原〜金山のなだらかな稜線の右に低く雨
飾山、遠方には後立山連峰のパノラマ、広い日本海を背景に冬期はバルトロ氷河にもた
とえられる海谷山塊(昼闇山,鉢山,烏帽子岳,等)、鋸岳〜駒ヶ岳など素晴らしい。
眼前に聳える竜尾岩は、左から巻き気味に慎重に登って通過。右からでも登れるらし
い。噴煙を上げる焼山は険しそうに見えるが、火口壁を伝って1つピークを越えると特
に困難な箇所は無く頂上に到着。既に中若2人組の男性が先着、朝4時に高谷池を出発
して7時に着いたらしく、空身とはいえなかなかのスピードだ。これで火打に抜けられ
ることは確実となり安心する。火打〜妙高〜黒姫,高妻山,北アルプス,海谷,西頚城
の容雅山〜不動山方面など大パノラマを楽しむ。字が読めなくなった古い標識と三角点
以外何もない頂上だが、厳しい登路だっただけに征服感もひとしおである。
金山〜天狗原山,雨飾山,北アルプス
焼山の火口に登り切った場所より望む
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海谷山塊の奇峰群と日本海を見下ろす
左から鋸岳・鉢山・阿繭陀・烏帽子,手前に昼闇山,正面に糸魚川市,左奥に青海黒姫山 |
焼山頂上からの展望
妙高山と黒姫山,右端に笹ヶ峰の乙見湖
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【活火山の地獄をかいま見る】
ここからはルートがペンキで示してある。ガスを噴出してる火口を避けるように右に
下る。噴気口の方へも踏跡があり、少し行ってみると激しい音と真っ赤に焼けた地面の
恐ろしい光景だ。有毒ガスで倒れないようにすぐに戻る。しばらくはガレ場を下り、や
がてブッシュ帯に入ると再び薮こぎ状態。しかし目印を忠実にたどればルートに迷うほ
どのことはない。途中登ってくる2人組、私と逆縦走で金山へ抜ける予定らしく、情報
を提供。草原状の胴抜キレットを過ぎ、やせた尾根を上下していく。振り返り見上げる
焼山は、緑色の丸っこいピークで、上部で噴煙を上げている他は険悪感は無い。
火打山と影火打
テダカチドリとウサギギクのお花畑
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【影火打のお花畑も静かなプロムナード】
疲れてきた体にこたえる登りを頑張ると、影火打の手前の草原に登り着く。テガタチ
ドリやウサギギクが多い。火打の山頂は雲に見え隠れしている。この先はなだらかなお
花畑で道もしだいに良くなってくる。でも火打から足を延ばす人は稀で、2人ほど焼山
へピストンに向かう人に会った位である。最後の登りをふんばって火打へ登り着くと、
案の定大賑わい、頂上で休んでいる人は50人は越えるだろう。腰を下ろす場所をやっ
と見つけて大休止。時折ガスが切れて、高谷池から妙高山方面が望めた。頂上には、焼
山方面へは山岳会に所属またはそれに準ずる登山者以外立ち入り禁止、また異常が認め
られた場合、直ちに山小屋等に連絡するように記された看板があった。
【火打山から先は別世界】
この先はすれ違いに時間がかかる下山となる。コイワカガミ,ヨツバシオガマ,ヤマ
オダマキ,ウメバチソウ,チシマギキョウなどを見る。昨年は高谷池付近でこの時期満
開だったというハクサンコザクラは、今年はもう見られず残念。高谷池のテント場は既
に満杯状態だった。時折覗く焼山と火打山を眺めながらジュース(ビールは止めておい
た)を飲んで元気を出す。最後は笹ヶ峰まで暑くて長い下り、ここまでの疲れと渋滞で
ペースはあがらない。下り着いた笹ヶ峰ロッジは、黒姫山を望む広くて気分良いキャン
プ場。バスの時間まで近くの明星荘でビールと山菜そばで一服した。
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