Yosemite Valley[ヨセミテバレー]〜Half Dome[ハーフドーム](2695m)
年月日 2012年8月14日
天気 晴れのち時々雨
タイム Tamarack Flat Capmground(4:12)=Happy Isle Trailhead Parking(5:00/5:30)…Vernal Falls(6:25/6:32) …Nevada Fall…Train Junction(7:43/7:53)…John Muir Trail Junction(9:15/9:23) …Check Point(10:20)…Under The Cable(10:40)…Harf Dome Summit(11:04/11:34)…Under The Cable(12:00) …Little Yosemite Capmground(13:50/14:10)…Top of Nevada Fall(14:53/15:03)…Mist Trail Junction(16:08) …Happy Isle Trailhead(16:40/16:50)=Shuttle Bus 19 Stop…Trailhead Parking(17:00/17:10) =Yosemite Lodge(17:30/18:40)=Crane Flat(19:05/19:20)=Tamarack Flat Capmground(19:40)

スケールに圧倒されるNevada Fall
 いよいよ取得したHalf Dome Permit[許可証]の指定された登頂日が来た。4月に行われるLottery[抽選]の前にWebで希望日を複数記入してOnlineで申し込みを行い、Whitneyとは異なり難なく第1希望日がOKになった。早朝暗いうちに出発し、Yosemite Valley最奥の登山者用駐車場を目指す。この時間は駐車スペースはガラ空き、でもヘッドランプをつけて歩き始めている人をちらほら見かける。マイカー進入禁止の車道をヘッドランプをつけて歩きだす。周囲はUpper/Lower/North Pines[上/下/北 松林]等と名付けられたCampgroundになっている。300Site程度の施設で、どこもテントが張られ確かに満杯状態。とにかく夏は希望者が多くて受付開始とともにすぐ予約しないと場所は取れないのだ。小さなNature CenterがあるHappy Isle[ハッピーアイスル]という所がTrailhead[登山口]、ここまで無料Shuttle Busで来れるが運行開始が朝7時頃でちょっと遅い。Merced Riverの峡谷沿いに整備された遊歩道を登っていく。周囲は氷河に削られた垂直の岩壁につつまれ異様な光景だ。しかし崖の上は先日訪れたGracier Pointのようななだらかな台地が広がっているのだ。石造りの橋で対岸に渡る所にトイレと水場が有る。ようやく明るくなってきた時刻なのにハイカーが結構多い。水はそのまま飲用には不適とされているが、気にせず水筒に汲んでいる人も見かける。日本人の若い男女ペアに会い、彼らもHalf Domeを目指すということで、お互い頑張りましょうと挨拶。
John Muir Trailの道標
 分岐点から近道の方である左のMist Trail[ミストトレール]を進む。まずはほぼ垂直の1枚岩を大量の水が流れ落ちる迫力のVernal Fall[ヴァーナル滝]が現れ、道は滝のすぐ脇の岩場を登っていく。これでも今の時期は水量が少なく、雪解けの季節は水しぶきが霧になって道を覆うので、Mist Trailという名がついた。滝の上は平坦な岩畳になっていて休息に適した場所、先の急登に備えて一息入れる。上空はやや雲が多いが青空も広がり、気温はどんどん上がっていくだろう。暑さの長丁場に備えて純水や紅茶など4L以上を持参している。まわりはHalf Domeの前衛にあるLiberty Cap[リバティキャップ](2157m)やMt. Broderick[ブロデリック山](2044m)など岩塔状のピーク群が鋭い岩肌を露出して立ちはだかりなかなかの壮観。先はEmeraldo Pool[エメラルドプール]という川幅の広い所で、流れが緩やかなので文字通りここで泳ぐこともできる。そして前方にNevada Fall[ネバダ滝]が見えてきた。屏風状の断崖の中心に掛るこの滝は、落差・水量ともに先のVernal Fallを上回り、スケールには圧倒される。水量が多い時の水しぶきは想像に余りある。道は滝の横の急坂をジグザグに登っていき、横方向から滝を覗くと花崗岩のナメ板を立てたような所を滑り落ちる水流が眺められる。
 登り切ると、先ほど分岐したJohn Muir Trailの本線と合流。休憩所とトイレがあり、John Muir Trailを何日も歩く人、Half Domeを1日で目指す人など多くの登山者で賑わっていた。一般的日帰りハイキングはここが終点でLoopを回遊して戻る。金属製の道標には、Half Domeまであと4mile、Mt. Whitney[ホイットニー山](4418m)までは215mileなどの記載が有る。John Muir TrailはここYosemiteからMt. Whitneyまで繋がっているのだ。換算すると344km、毎日15kmずつ歩いても20日以上かかる計算だ。ここにも「Don't Forget Your Permit」の注意書きがあり、同じ掲示がHalf Domeを目指す人の為に要所に貼ってある。John Muir Trailと合流すると、馬も通行できる幅広で傾斜が緩い道になる。登山ルートは右手の裾を山頂の反対側の稜線まで半周する形で大回りして登っていき、反対側から登るようにつけられている。
右側がスパッと切れ落ちた山頂が迫ってくる
左手には前衛の岩峰の奥に目出すHalf Domeの姿が大きく見えてくる。こちら側は半分切れ落ちた絶壁の反対側で、樹林帯の上は全山丸裸のスラブ岩のスロープになっている。 進むにつれ形がすこしずつ変わってくるが、どこから見ても存在感があって目立つ山だ。最初のWilderness[自然保護区内]のCampgroundとなるLittle Yosemite Campground[リトル・ヨセミテキャンプ場]には寄らずに、左手をトラバースして近道を進む。Campgroundからの道を合わせると、樹林帯で展望もなく単調な急坂が続き、疲れも出てきた頃となり頑張りどころである。1泊したTuolumne Meadowへ向けてJohn Muir Trailが分岐する地点に来た。Backpackerもここへ重荷をデポしてHalf Domeの方へ空身で向かう人も見られた。
 稜線に登り切ると傾斜がゆるくなり木々もまばらになって展望が良くなる。所々花崗岩が露出した岩の上を歩くようになってくる。目指す前方の山頂部は、今度は右側がスパッと切れ落ちて、のみの刃の先端のような形だ。対して後方は比較的なだらかな稜線がClouds Rest(3025m)に伸びていて、所々露出した花崗岩の白色と針葉樹の緑のコントラストが美しい。また深く切れ込んだYosemite Valleyと、Taioga Roadが通っている草原状の広い台地など、角度を変えて改めて眺めると一帯の地理地形的な理解も深まってきて、その地球史にも思いをはせることができる。頂上ドーム手前にあるもう1つのピークの肩から岩場の急登が始まり、その場所にレンジャーが1人、タブレットPCを持ってPermitのチェックをしていた。此の先はPermitが無いと進めない。印刷したPermitを見せると、PCに番号を全てInputして厳格にチェックしている。後にも先にも続々と登山者が来ており、おそらく本日のPermit所有者が300人は下らないと思う。そして時間が遅くなると雷の危険があり、雷雲が近づいた時は危険なので速やかに下山するようにと注意を受けた。まだ晴れてはいるものの雲がかなり湧いてきているのもわかり、ペースを速める。
 急であるが足場は豊富な花崗岩の岩場を息を切らしつつ登り切ると、ピークを越えていよいよ頂上ドームに設けられた2本のCable[金属ワイヤー]を伝って最後の登りとなる。写真で見た感じでは日本の鎖場のイメージで難なく登れるかと思っていた。傾斜は50度ぐらいでさほどではないが、実際に取りついてみると、ルートの部分は多くの人が歩くので岩がつるつるで滑ることこの上ない。取り付きに手袋がたくさん置いてあったが、足場が心もとないのでワイヤーを握りしめて腕力で登る感じであり、軍手か手袋が役に立つ。両側の鉄柵部の間に足場が渡してあるが間隔が長く壊れかけている所もあり、下山者とのすれ違いも多くなかなか緊張する場所であった。中には悲鳴をあげて引き返す女の子もいたが、老若男女みな様々なスタイルでCableにすがっている。この国の人々は概して皆ワイルドなのだ。
頂上ドームに直下に設けられたHalf Dome Cable
Tuolumne Meadow方面の展望、花崗岩の白い岩肌が目立つ
 難所を抜けると広い岩畳が広がる山頂に到着。高度差1500m、長さ片道13kmという長い道のりをクリアし、青空のもと360度の展望が得られて大満足だ。絶壁の上に突き出した岩の張り出しがあり、峡谷へダイビングするようなポイント、Yosemite Valley全体が正に一望のもとだ。花崗岩の白い岩肌をあらわにする周囲の山々の奥にHigh Sierra[シェラネバダ山地]の山波がひときわ高い。こんな所にも人慣れたリスが居て休んでいる登山者に食べ物をねだりながら愛嬌をふりまいていた。途中で会った日本人の2人組は先に行っていると思ったら途中で気づかずに抜いたらしく後から登ってきたので祝福の挨拶をして、記念の写真も写してもらった。上空に所々雲がわき、時折小雨がぱらつきてきた。長い帰路が待っているが、重い腰を上げて下山にかかる。
 難所のCableは下りも足が滑るのでワイヤーから手が離せず、昼になってもまだまだ登ってくる人とのすれ違いが多い。勝手もわかってきたので登りに比べると緊張も無く下に降り立ち、あとは長い道のりだがのんびりと下れば良い。雨が降ったりやんだりの空模様となる。雨模様でもそれなりに視界が結構あるのは日本と違うところだ。今日は雷は鳴っていないのでより安心である。 10人以上の多人数で頂上クリアした米国の老若男女混載パーティーなどと前後しつつ行く。雨具をつけたものの、くだるにつれ暑くなってくるし止むとすぐ乾くので、やはり脱いで濡れながら歩いた方が気持ち良い。帰路はLittle Yosemite Campgroundに立ち寄って休憩していく。Wilderness Campgroundなどで濾過フィルターを用いて処理した水を補給している人も居る。私はこの天気では炎天下を想定して用意した4Lの水で十分過ぎて大量に余りそうだ。
山頂にてYosemite Valley方面の展望と絶壁の上に突き出した岩
 分岐点からは往路と別のJohn Muir Trailを下っていく。此の先は代表的なハイキングコースとなるのでとても人が多くなる。Nevada Fallの落ち口付近は川岸の平坦な岩磐の広場で、靴を脱いで疲れた足を水で冷やすと気持ちい〜い。泳いでいる人もいて、近くでは濾過して一所懸命飲料水を採取している人がいるのはちょっと違和感がある。このあたりの地形が不思議なほど複雑で硬い岩盤に火山の地層が流れてきたような感じ。人工的に治水処理を施したようにも思える。そうだとしても手を加えるのは最小限で済ませて自然保護に対する配慮がうかがえるのだ。 John Muir Trailは馬も通れる幅広で傾斜の緩い道で大きく蛇行しているので距離は長い。途中からはNevada FallとLiberty Cap等を前景にHalf Domeの雄姿の展望が全部まとめて楽しめる。断続的な雨の中ハイカーであふれる歩道をひた歩き、17時前にTrailheadに到着、無事今回のメインイベントを終えた。 大混雑の無料Shuttle Busも利用して車に戻る。Yosemite Lodge内のフードコートに立ち寄ってみると、まだ夕食時間には早くて空いていたので、食事をしていくことにした。セルフ方式の勝手がわからずとまどいながらセットの豚肉料理を注文。ドリンクも完全セルフ方式で、リストにはノンアルコールビールもあると書いてあるが近くにいた人に聞いてもわからないので、無料の水を汲むつもりが間違えてレモネードを押してしまった。ファミレス味だが、山の中でこんなスタイルの食事ができる所も他にはなかなか無いだろう。Crane Flatにも園内スーパーがあったのでつまみ類を買い足して、Tamarack Flat Capmground(今日はFULLの表示になっていた)へもどり祝杯を上げた。
山頂にてHigh Sierraの山波がひときわ高い

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