台湾登山ハイキング&台湾周遊旅行
 【月日】 2009年4月29日(水)〜5月10日(日)
 【装備】 軽登山靴,雨具,防寒服,他一般装備
 【メンバー】 WASTER CLUB 私,Iさん,他 計5名
        玉山ツアー 上記+ガイド2名、ツアー参加者8名
        6日以降は単独行動
 【参考】 地球の歩き方、岳人2005年1月号,山渓2005年3月号,他台湾関係記事、
      WEBSITE 中華民國交通部觀光局 Welcome To Taiwan,山と雲と台湾人・台湾高山行,
      太魯閣国立公園,陽明山国家公園,台北ナビ,他

 GWに長い連休がとれるために、某ツアー会社利用(日本語でインターネット現地手配可能)で玉山(3952m)+雪山(3886m)+観光旅行の計画を思いついた。途中からの部分参加も可能として、WASTER CLUB関係者に参加を募ったところ、私+4名の方が参加。海外では久々に大人数の企画となった。事前の手配は、思ったほどスムーズにはいかなかった。台湾の3000mクラスの登山には事前申請による許可証が必要で、外国人は台湾人同行が必要。また玉山・雪山は人数制限があり、近年は申込み者が増えて抽選倍率が10倍以上のときもしばしば。玉山は外国人枠利用で5/3-5の日程で何とか成立。値段はUS$100強上乗せ、当局への貢ぎ金で解決?これも最小催行人数12名の関係で際どかった。前半に希望した雪山は外国人枠では無く、現地の人と混合で先着順。15名揃わないとか言われているうちに残念ながら不成立との連絡。代わりに台湾百岳の奇莱南峰(3358m)、南華山(3184m)をアレンジするという話もあったが、これも日程が変わって不成立。結局、3000mクラスで車道が近くを通るため唯一許可のいらない合歓山登山+台湾横断レンタカー観光を、個人的にアレンジすることにした。
 今回台湾登山をあれこれ調べてみると、台湾百岳など3000mを越す山々が目白押し。高山縦走コースも豊富で、距離的にも文化的にも日本に近いなど、その魅力を改めて認識した。入山許可がネックになっているが、今後もウオッチをしていきたい。それから5月1〜3日は台湾の三連休で、GWとも重なり台北ホテル手配も難航。旅行会社に交渉してもらって何とか全員同じホテルを確保してくれたIさんにも感謝!。
 メンバーにも天候にも恵まれ、賑やかに和気あいあい、盛りだくさんの旅行となった。さて、レポートは登山編を先にもってきて、残りは周遊旅行編として別ページにします。

【山岳横断道路利用で3400mピーク簡単登頂】
年月日 2009年5月1日(金)
天気 晴れのち曇り
タイム 太魯閣渓谷天翔(8:30)=[レンタカー]=洞窟トレール(8:40/9:30)=神木(10:15/10:30)
=合歓山荘(11:25/11:35)…合歓山東峰(12:13/12:38)…合歓山荘(13:20/13:35)
=領森(13:40/13:58)=霧社=廬山温泉(15:40)

合歓山荘付近の草原状の山々
(10分で登れる台湾百岳もある)
 (周遊旅行編から続く)太魯閣渓谷先の大きなリゾート風ホテルに1泊し、翌朝この旅行で半ば恒例となった朝の散歩がてら、近くの山上の寺院を見に行く。同じホテルに来ていた台湾人のおじさんが日本語で親しげに話しかけてきた。元水泳選手で今はコーチだといい、日本にも馴染みが深い。話好きのIさんと2人は散歩の間1時間以上ずっと会話が途絶えず、これは女性のおしゃべりも顔負けだ。
 いつものように洋食+中華朝食バイキングを(私は)たっぶり腹につめこんでからレンタカーの日産ティーダで出発。すぐ先、豁然亭トレール入口にたくさんのハイキングの人が来ていたので、我々も車を止めてちょっと寄り道。長く暗い素掘りトンネルを抜けると尾根の反対側の渓谷に出る。昨日の渓谷より水がきれい、あまりゆっくりすると登山の時間がなくなるので2km(終点まで半分)辺りで引き返す。幅が狭いところもある山道を延々と走り、目的の3000m級山上までは時間がかかる。標高2100mの碧緑神木で休憩、台湾の巨樹の森の宝庫としても最近注目されていて、発見されたものは神木として崇められている。大萬嶺では時間限定で分岐して梨山方面に抜けるトンネルがあり、時間待ち車が付近を埋め尽くし訳がわからなくなっていたが、何とかすり抜ける。
登山道脇のシャクナゲ
 高度をあげるとこれまでの険しい渓谷とは様相が変わり、なだらかな草原状の山々をぬって進む。海からの気流の影響によるとみられる雲も切れてこちらは天候も良好。五竜岳風の岩山、奇莱北峰(3605m)が格好良い姿を見せる、この山は登山道や避難小屋があるようだが難度は少し高いようだ。道路はいろんなピークを往復するハイカーの駐車の列。既に3000mを越す標高で東アジアでは最高所の舗装自動車道路、エンジンもだいぶ酸欠にあえいでいる。ようやく目的の合歓山荘の駐車場、ここも混雑していたがちょうど空いた場所にうまく入れた。標高合歓山東峰(3421m)へ向けて車道脇から登山道に入る。いきなり急登で高度に慣れないため体がふらつき、スローペースで行く。玉山の高度順応には良さそうだ。道脇のシャクナゲが目を楽しませてくれる。途中で通行止めのロープをくぐって広い道に合流。どうやら正規の道でない直登コースを来た(こちらを歩く人も結構いた)。
岩山の風格を見せる奇莱北峰
 ゆっくりペースでも所要40分で山頂到着、この高度にそこそこ慣れた感じだ。あいにくガスが出てきたが東側は時々展望が得られた。あまり広くはない山頂に三四二一公尺の標識が立つ。家族連れなどで賑わっていたが座る場所に困るほどではなかった。下山は正規の登山道を行くと、団体のすれ違いが多い。老朽化したスキーリフト施設を過ぎ車道に下り付くと滑雪山荘・松雪棲の宿泊施設がある。車道を歩いて出発点へ戻るこの正規ルートは遠回り、登りと同じくらい時間かかった。周辺に3200m以上の台湾百岳が何峰かあり、大門山(3237m)などは道路から10分程度で登れる超お手軽峰。しかしいい時間になったし、この先も山岳道路の運転が続くので、山歩きはここまでにして来た時と反対の台湾の東側へ出発。道路最高地点の記念碑に寄る。ハードな自転車ツーリング族グループも多く、感動の記念写真を撮っている。ここから合歓山主峰(3417m)に登る近道もあり、やはり正規登山道でないのに歩いている人がいた。今日の宿泊地の廬山温泉へも結構狭い山岳道路。途中濃霧に阻まれたり、連休でまだまだ登ってくる車とのすれ違い渋滞もあって運転に神経を使った(以降周遊旅行編へ)。

【台北近郊の箱根?ハイキング 目指す山を間違える?!】
年月日 2009年5月3日(日)
天気 晴れ時々曇り
タイム 中山駅(8:50)→[MRT]→新北投駅(9:25/9:40)=[路線バス]=陽明山(10:05/10:10)
=二子坪口(10:35)…二子坪(11:06)…大屯山主峰(11:45/12:10)
…二子坪口(13:00/13:10)=陽明山(13:40/14:10)=中山市場(14:55)

 昨日台北到着の2名を加えメンバ5名が揃った。玉山ツアー出発が夕方のため昼間は台北近郊の陽明山ハイキングに出かけることに。温泉リゾートでもあり、火山性の突起状の山に歩道が多く設けられ、「台北の箱根」のような所だ。WEB資料を沢山用意してきたものの読みきれてない。行きは私の希望で新北投温泉までMRT(地下鉄)で行ってみた。途中から地上に出て景色が良く快適、しかし乗り継ぎが面倒だ。駅付近は博物館などバーデン風建物を期待してたが、工事が多く台湾ならではのごちゃごちゃ状態で期待はずれ。バスの乗り場もわかりにくい。別の駅から来る混雑したマイクロバスに乗り込む。終点の陽明山ターミナルも混雑していたがあわただしく園遊マイクロバスに乗る。やはり立ち乗りだ。20分以上かかって山の上の駐車場に昇りつき、登山口だ!と周りの乗客と一緒にあわただしく下りる。
大屯山方面から活火山の七星山を望む
本当はこの山に登るつもりだった
 ところが下りてから案内図を見て、目的の場所と違う所だと気づく。一番高い七星山(1120m)に登るつもりだったが、ここにもハイカーが沢山いて大屯山(1092m)等に登るなど多くの歩道があるので、まあいいや!と他のハイカーに混ざって歩くことに。二子坪という池のある山上園地をハイキングする人が大勢。台北付近の公園やちょっとした遊歩道はいつもどこでものんびり散歩や体操などの人々を大勢見かける。いつも仕事で忙しがっている日本人と違うところだ。花の先生お二人は、早速途中でチェックしながらで遅れているので分岐の所で待つ。あまり目立つ花はなかったと思うが「結構花が多い!」といいながらやってきた。
 大屯山主峰へ登る道はかなりの急登、こちらへ来る人は少ない。最速のIさんはみるみる見えなくなっていく。だいぶ汗をかいてアンテナ群の建つ山頂へたどり着くと、舗装道路があってちょっと興ざめ。車・バイク・自転車と色々来ていたが、人の数は少なめだったので落ち着いてランチ+展望を楽しむことはできた。登るつもりだった七星山の山すそに、小涌谷ならぬ小油坑から噴気が上がっている。この景観は七星山からは眺められないということだ。下りは車道を行ってみた。車はほとんど通らず道端の花が多く海岸線など眺めも良く、車道もなかなか楽しめた。よく見かけるスミレ風の紫色の花は、先生によるとムラサキサギゴケ。
 下りきるとうまく出発点の駐車場に戻れた。来たときと同じ円遊バスに乗って、30分かけて色々な見所に寄りながら陽明山ターミナルに戻った。一周こんなに時間かかるとは思わなかった。近くの無料共同温泉に行ってみる。場所がわかりにくく例によって地球の歩き方を見つつも迷いながら発見。男湯と女湯がかなり離れている。広い浴槽のまわりは寝たりだべったりする人で一杯、すごい硫黄臭でなかなか濃い温泉湯だ。ここでハプニング発生!私はタオルであそこを隠しながら浴槽中央のお湯が湧き出している所へ行こうとしたら、近くにいたおやじがすごい剣幕で怒り出し、浴槽の外に追い出された。非常にあせったが、別の人が「日本人ですか?」と日本語で声をかけてくれて、湯に浸さなくてもタオルを手に持っていくのも駄目だったとわかった。女性陣によると、女湯も大混雑でヘアキャップしないと駄目だと言われて、結局入浴をあきらめたそうだ。そしてちょうど良いタイミングで台北駅行きの直通バスに飛び乗る。また座れなかったが行きよりも早くて安く、玉山の集合時間には十分余裕をもってホテルへ帰還。バス利用の勝手がわからず日曜日の混雑も加わってハプニングの連続であったがヤレヤレ。機会があればこんどは温泉宿に泊まってゆっくりハイキングするのが良いかも。

【玉山1日目 断崖の登山道を排雲山荘まで】
年月日 2009年5月3〜4日(月)
天気 曇り、夕方晴れ
タイム 台北駅(17:45)=[専用バス]=奮起湖(22:30//7:10)=上東哺(8:50/9:40)
=[送迎バス]=塔塔加鞍部(9:50/10:05)…孟祿亭(10:50/11:15)
…西峰下休憩所(12:45/13:30)…排雲山荘(16:00)

対岸の岩壁に流れる滝
 台北駅17:30集合にて、某社玉山ツアーに出発。総勢13名で我々のグループ以外は全員男性。単独で参加の人は、大体が日本のツアー会社を利用せずに個人的に海外登山に行ってる方だ。グループ参加の人には、登山経験がそれほど多くない人もいる。車内で登山ガイドのリューさんが日程や登山の注意点を中国語で説明してくれた。登山も同行する日本語添乗員のトさんが訳してくれるのだが、トさんの日本語はひどいもので半分位しかわからない。大画面TVで台湾の山や観光のビデオを観ながら、ツアーバスは夜の高速道路からくねくねと曲がった山道をひた走る。
 今宵の宿泊地、奮起湖ホテルに予定より少し早く到着。歴史の古い建物、シャワーの他に日本式の小さい木製風呂桶が置いてある。山の中なのにコンビニ1軒営業中、お酒を買い足す。時間遅いので少し飲んでさっさと寝る。4人部屋はSベッド2つとWベッド1つで、私とIさんはWベッドで一夜を過ごすことに。台湾では込んでると男性2名もWベッド部屋が常識みたい。翌朝散歩していると雨がザッとふってきて天気がちょっと心配。湖があるわけでなく窪んだ地形からこの地名になったそうだ。阿里山森林鉄道の駅があり周辺は狭い路地の古い商店街、ちょっとした観光名所になっている。
屏風のような玉山連峰めざして進む
 おかゆにふりかけ類とピーナッツという非常に質素な台湾式朝食のあと、バスで単調な森の中を1時間半走って上東哺の休憩所へ。他のツアーや観光客で賑わっていた。先着のグループの後、5分ほど上に歩いた管理事務所で、パスポートチェックとコース説明ビデオを観る。今回のメインコースの他に、北側からの縦走コースの紹介もあり興味深かった。入山者専用の車で5分ほど送ってもらうと車道終点の塔塔加鞍部登山口(2600m)。大きな石碑の前でリューさんが1人づつ写真撮ってくれたが、記念用でなく緊急用?の事務的なものだった模様。
排雲山荘前での夕食
 深く侵食された谷の斜面をトラーバースしていく整備された登山道、傾斜も緩く歩きやすい。登山者は台湾人以外に韓国や日本の団体や欧米のグループなど国際色豊か、ジヤユー(加油)、アニャーセヨなど言葉が飛び交う。雲の切れ目から見る周囲の山肌はいたるところ断崖絶壁で、整備された登山道がなければ通過はかなり困難かと思う。岩場にヤマツツジ、玉山シャクナゲ(?)の紅白の花が目を楽しませてくれる。途中2箇所の休憩所で大休止。近くにトイレが1つずつある。地形が急峻でビデオ教育受けたこともあり、その辺で済ませる人は少なく、バイオトイレといえども利用率高く快適とは言えない。孟祿亭は、外国人のモンロー氏が断崖から転落した場所に建てられたという休息舎。その次は玉山西峰(3495m)の尾根を乗越す展望の良い場所で昼食のお弁当、奮起湖ホテルの駅弁だ。台湾各地のコンビニや駅で時々この駅弁を見かけ台湾では有名な駅弁。高度も上がり後ろのメンバーのペースが遅くなり途中で待つことが多くなる。私も歩きながら眠気に襲われこれも高度の影響か。徐々に雲がとれてきて、対岸の滝、一枚岩、鬱蒼たる巨樹の森などをゆっくり観ていく。
 概ね6時間で石造りの排雲山荘(3400m)。大きく外観はとても綺麗、中は真っ暗で懐電をつけて寝場所を確認、多くのグループで満室状態だ。オーストラリア,イギリス,ロシア、そして日本の有名なA社ツアーが20名超の団体。A社はこの後雪山にも登るらしく、連休からずれるのにA社の集客力にはかなわない。マットはツアー会社で準備するから不要となっていたが、薄いビニール1枚でエアマット持ってきた方が快適だった。食事はポーターが準備してくれ、小屋前のテーブルに並べて各自食器に取っていく。ウナギ、豚肉、ソーセージ、各種野菜など豪勢だ。別のパーティーメンバーがうちの食事の味見をしに来る場面も。夕方稜線までガスが晴れて明日の天候に期待!

【玉山2日目 快晴の山頂を満喫、Iさん激怒事件!?】
年月日 2009年5月5日(火)
天気 晴れのち曇り
タイム 排雲山荘(2:35)…玉山山頂(5:15/5:48)…排雲山荘(6:55/9:35)…上東哺(13:30)
=[送迎バス]=塔塔加鞍部(13:37/15:20)
=[専用バス]=水里(17:10/17:45)=台北駅(21:10)

玉山山頂での御来光
 1時30分起床、満点の星空。高所慣れはまだ不十分なのか夜中は多少頭痛があったが、起きて動き始めると良くなった。余分な荷物は小屋に置いてヘッドランプをつけて山頂へ。距離はわずか3km弱だが急登。ペースの遅いメンバーを待つなど時間がかかる。高所へ向かう点では望ましいペース、いちばん若いKさんは耐えかねて一人山頂へ向かう。いつも速いIさんは最近協調性も意識して皆とペース合わせてる。台湾駐在日本人Uさんと一緒に来た若い台湾人のチョーさんが靴底がはがれたとのことで、トさんが戻りリューさんのみのガイドで進む。山頂直下は岩場となり風も強くなってくるけれども、よく整備されて問題ない。かなり冷え込むので羽毛服などが重宝する。
玉山南峰と南へ続く山々
 山頂は快晴の大展望で御来光にも間に合ってめでたしめでだし!周囲東西南北に張り出す玉山前衛の山々やジャンダルム風の岩場なども迫力がある。遠方にも3000mクラスの山がたくさん望めていたが、山が連続してないので隣の山が遠い感じで特徴がつかめず山の名前はわからない。台湾アルプスとは言わないゆえんだろう。天気良いと雪山まで見えるそうだが、さすがに眺望は及ばなかったようだ。リューさんは英語もほとんど話さないので説明が聞けず残念。まあ日本人ツアーリーダーが途中で体調悪く登ってこなかったなんていう経験もある。私たちの後到着したA社隊、こちらの若い日本人リーダーさんからも、山の解説などは無かった様子。
良く整備された岩場の登山道
 下山は周囲の景観や鎖につかまって歩く登山者の列など眺めてのんびり下りる。ふりかえると玉山の姿は屏風を見上げる形で山容はいまいち、ポスターやビデオで見た岩山の迫力ある美しい姿と違う。あれは前衛峰からの眺めなんだろう。途中トさんと遅れた台湾人のチョーさんが登ってきて、今から頂上を目指すという。見た目は元気そうだったがこれが後で問題となる。ツアーメンバーで台湾駐在のUさんとの同行予定者がキャンセルになって、チョーさんが非常に行きたがるので代わりに連れてきたそうだ。昨日彼の荷物が異常に大きいので私はポーターかと思った。 小屋に戻り登頂の余韻に浸りながら残りの食料を食べたり雑談などする。しかし1時間以上待っても2人が戻ってこない。リューさんが無線でトさんと交信し、山頂まで到達したもののチョーさんの調子が悪くて下山が大幅に遅れている模様。リューさんは救援のために再び上へ向かい、その後Kさんも「様子見て戻ってくる」と登っていってしまった。残されたメンバーは状況わからず待たされたまま2時間経過し、他パーティはほとんど下山してしまい、明日早朝便で帰国の人も多く皆苛立ちはじめた。予想できなかったかも知れないが、かなり遅れたチョーさんを山頂まで連れて行って我々が迷惑をこうむる形となった。
 私は少し西峰への登山道の様子を見に行き、良い道が続いていたが玉山の眺めは変りばえしない。その間にトさんが戻ってきて、Iさんが対応が悪いといってトさんを怒鳴りつけていた(仕事柄なのかもしれないがこんな激怒する彼を見たのは初めて)。チョーさんが「絶対登りたい」と言うので山頂へ連れて行ったのだし、同じ仲間だから待つのが当然と思っていた様子。彼との日本語会話は相変わらずたどたどしく、チョーさんとの関係や、皆短い休暇利用で来ているという事情はトさんには理解してもらえない。待っていたら日が暮れてしまうかも。チョーさんの処置は登山ガイドのリューさんにまかせ、3人を待たず下山することは合意。下山口ではチェックも無く、駐車場への専用シャトルが手際よく迎えに来た。遅い昼食のカップラーメンを食べる。1時間以上待ち、連絡で上の3人が小屋まで下りてきたものの調子は芳しくない様子。我々が帰れる手配してもらうよう説得したが、下請けの現地旅行会社のトさんでは一向にらちが明かないので、辛い立場となったUさんが携帯でツアー会社に直接連絡してくれて、ようやく遅れたメンバーの交通手段を別途手配してもらうことができた。Uさんが現地事情に詳しかったのが幸い。同じ会社なのでここで待つというUさんを残し、やっとバスが出発。途中水里の町で手短に夕食、高速道路を飛ばして案外早く21時過ぎに台北に戻ることができた。
 後日ツアー会社からお詫びと3人が無事下山できたとの報告があった。挨拶もできず先に帰ってしまったのが気になりKさんにメール送ってみたところ、当日の様子を教えてもらうことができた。排雲山荘から500m登ったところで動けなくなっているチョーさんと合流。目は焦点が合ってなくて全く歩けず、ブーツのソールも両方はがれていた。排雲山荘で高山病の薬を飲ませ、酸素を吸わせたがあまり回復せず、少し休憩して下山継続。チョーさんは靴をもう一足もっており履き替えた。直後は100m歩くたびに休憩し、下山する頃には日は暮れるかと思ったが、高度を下げると頭痛が治り次第に回復していった。でも疲労は激しく山荘から6時間ぐらいかかった。大事に至らなくて良かったのだが、通常の高度障害を越えた高山病であることは間違いなく、下山のタイミングが遅れれば危険な状態だと思う(周遊旅行編へ続く)。

【二千年の時を感じに神木群を見に行く】
年月日 2009年5月8日(金)
天気 晴れ
タイム 宜蘭駅(7:00)=[路線バス]=棲蘭(8:05/8:45)=[車]=明池山荘(9:20/10:15)
=[専用バス]=神木群入山口(11:00)…終点休憩所(13:30/14:10)
=明池山荘(15:00/15:30)=宜蘭駅(17:00)

台湾ヒノキの神木が51本ある
 旅行中に持参した資料を見ていると、台湾は巨樹の森が多いことでも近年注目されてるらしい。その計画はしてなかったが、この機会にどこか訪れてみたいと思う。山奥なのでツアーでもないと簡単には行けない。宜蘭の案内書で、梨山行き路線バス時刻と棲蘭の神木園とシャトルバス案内のパンフレットを入手した。予約必要と書かれているが、行けば何とかなるだろうと、朝7時発の國光バスに乗り込んだ。最初の見所である棲蘭森林遊楽區のゲートに現在改装工事中でclose中の張り紙がある。台風被害の普及の為らしい。女性が2人いたので英語・日本語ごちゃ混ぜで聞いてみると、施設内は全く見れないとのこと。パンフレットを見せてシャトルバスのことを尋ねると、電話で問い合わせてくれたもののうまく話が通じない。
遊歩道から雪山連峰が眺められた
 そこへ青年が車で通りかかり、「彼ならわかるわ」という感じで聞いてくれ、彼は携帯で連絡を取って上の明池山荘から出る本日のツアーを申し込んでくれた。おまけに車で上まで送ってくれるという。20km以上登っていくので結構距離がある。彼は英語が話せるので私の台湾ツアーや日本の事など雑談しながら行く。青年はここで働いていて世界各地にここを訪れた友達が居ると言う。日本にも是非行ってみたいとのこと、女の子の友達に会いに行きたいのかも。彼のメールアドレスを教えてもらった。とにかく通りかかってくれたおかげで目的地へ行けることになり感謝感謝!丁寧にお礼を言って別れる。
 ロッジ周辺は地名由来の湖を中心に自然に浸れる場所。森の中に明池神木と離れのログハウス群がある。丸太をふんだんに使ったモダンなロッジ内に入って手続きをする。神木園は椰子林という企業が所有しており、ガイドツアー料金として宿泊者が600NT$、それ以外は800NT$を払う。ここの宿泊代は高いし、ロッジの送迎バスは午後1便しかなくて、泊まっても明日あまりすることが無いので、宿泊せずに今日再び宜蘭に戻ることにした。マイクロバスに台湾人十数名と一緒に乗り込み、林道を奥深く入っていく。林道入口はゲートが閉まっていて、自由に入ることはできない。
 標高1500m付近でバスを下りて遊歩道に入ると、全部で51本のヒノキの巨樹を巡る立派な木道が作られている。ガイドのおじさんは中国語で説明をしながら時々冗談を飛ばして客に受けていた。話が長いので一周2.4kmを廻るのに2時間半かかった。中国語は理解できず退屈している私に、時々ツアー客が日本語で話しかけてくれた。神木にはそれぞれ樹齢と大きさが記された看板が立ち、時代にちなんだ中国の偉人の名前がつけられている。最も古いものは紀元前数百年、じっと向かい合っていると長い歴史を生きてきた神々しさが伝わってくる。縄文杉には負けるかもしれないが、巨樹の数では屋久島を圧倒している。森の下にはマムシグサの房と傘状の葉を持つ面白い草が沢山生えていた。時々樹木が切れた場所から快晴の空にカール地形の雪山連峰が眺められ、山の景観のおまけが付いた。A社隊は素晴らしい天候に恵まれて登頂を果たしたのだろうか。明池山荘へ戻り一服、そして台北行きのロッジ送迎バスに乗って宜蘭駅で降ろしてもらった。

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