ツェッタースフェルトからシュライニッツ(2905m)登頂、山岳展望のバスでキッツビュールへ
年月日 2013年7月26日
天気 晴れ時々曇り(霧)
タイム Gasthof Falken(8:00)…Telstation Zettersfeldbahn(8:40/8:58)〜(Seilbahn)〜Zettersfeld(9:10/9:15) 〜(Lift)〜Steinermandl(9:25/9:35)…Neualplseen(10:50)…Schleinitz(12:20/13:10) …Alkuser Scharte(13:45/13:55)…Steinermandl(15:45/15:50)〜(Lift)〜Zettersfeld(9:10/9:15) 〜(Seilbahn)〜Telstation(16:20/16:45)=[Bus]=Lienz Bahnhof(16:55/17:20) =[PostBus]=Kitzbuhel Bahnhof(19:10)…SnowBunnys BackPackers Hostel(19:40)

リフトでシュタイナーマンドルに上がるとリエンツァードロミテン連山が一望のもと
 朝は快晴の青空が広がり、宿の外に出ると目の前にザンドスピッツェ(2718m)をはじめとするリエンツァードロミテンの岩山が素晴らしい。リエンツァードロミテ方面は距離的には近いがバス便が無いので、今日は街の北側のゴンドラを利用してシュライニッツ(2905m)を目指すことにしていて、その方面もすっきり晴れている。ゴンドラが動き出す9時にあわせてリエンツの街中を見物がてらのんびり歩いて乗り場へ向かう。中心街の近くにもクラシックな趣のあるホテルが並び手ごろな値段で泊まれる所もあるようだが、人気があるのか今回は予約がとれなかった。小川沿いの遊歩道を登り、広い駐車場のあるツェッタースフェルトバーンの乗り場に着くと、予定時間より早くからゴンドラはお客を載せて動いていた。日曜日の晴天だとこういうこともあるのか。ゴンドラ操作室で荷物を預かってくれたので今日は身軽になって歩ける。リエンツの街並みと山々の展望が素晴らしいゴンドラ。リフトに乗り継ぐと一面が牧場の無木立で緑の斜面、冬は自在に滑れる広いゲレンデになるのだろう。
 リフト終点のシュタイナーマンドル(2213m)から目の前の丘に上がると、横長に連なるリエンツァードロミテンが浮かび上がり見事。その南側はイタリアのドロミテエリアへと続いていき、険しい岩場をもつ山容は本場ドロミテに通じるものがある。北側に目を転じると、デバント谷を隔ててペッツエック(3283m)やザイヘンポップフ(2918m)などのショーバー山群を目にすることができた。グロースゴロックナー方面から眺めるのとは反対の南側から眺めることになり、いくつもの鋭いピークが林立する様はどこから見ても目を引くものがある。複数のハイキングコースがあり、尾根の右側の山腹を巻いて行くゴイゼレマンドレヴェーグを進む。終始ショーバー山群の眺めが良く、池を見下ろしたりお花畑を歩いたりして楽しめるコースだ。ただし西側から吹き付ける風の影響でホッホショーバー方面は雲が湧いて隠れてしまった。ノイアルプゼーエンは湿地帯に大小の氷河湖がいくつか点在し、ザッテルケップフェの岩稜が湖面に映し出される美しい場所、この辺りまでのんびりハイキングという人も多い。直進するとシュライニッツ山頂へ岩場のバリエーションコースから登ることができる。
ゴイゼレマンドレヴェーグからデバント谷を隔ててペツェック方面が眺められた
山頂の方からアルプホルンのような演奏曲が聞こえてくるが、何が起きているのかは見ることができない。スペシャルイベントの演奏会でもやっているのだろうか。
 湖へ流れ込む湿地帯の沢を横切って、左の尾根へ上がって別のハイキングコースと合流した所から、山頂への一般コースに入る。一転して大岩がごろごろして飛び移りながら進む歩きにくい道になる。ルートは右に左にと複雑でマーキングを探しながら進んでいく。十字架の立つ山頂が霧に見え隠れしていて、大勢の登山者が山頂にいるのがわかりホルンの演奏が時々鳴り響き、やはり何かのイベントのように思われる。思いのほか疲れる登りを1時間半かけて山頂に到着。岩がごつごつして狭いので、休む場所を探すのもひと苦労だ。例の演奏は、3人ほどの登山者が金管楽器を運び上げて演奏しているだけでイベントではなく単に趣味でやっているようだ。1人は巨大なチューバのような楽器を持っていてよくぞ運び上げたと感心してしまう。残念ながらガスに覆われてしまい、展望は時々ピーク周辺の裾野あたりまでやっと見える程度でほとんど得られなかった。十字架の場所と最高点とは少し離れているので簡単な岩場を歩いて最高点を往復する。なぜかほとんどの人は最高点まで行こうとしないので、真の山頂は十字架付近の混雑が嘘のように静かだった。
 山頂に50分ほど長居するも晴れる気配が無いので下山にかかる。山頂から反対側の尾根に下る急な岩場に道がつけられていて、先を左折して来た時と反対側の山腹をずっと巻いて出発点のリフト駅に戻るという、登りとは別のコースだ。こちら側から往復する登山者の方が多い様子。急な部分は補助ロープなどが設置されていて、大岩を飛び移るのに比べるとこっちの方が歩きやすいかもしれない。下ってくると視界がきくようになり、下方にはアルクサーゼーの湖が見える。シュライニッツの頂上から、アルクサーロートスピッツェ(3053m)を主峰とする峰々にかけて、荒々しい岩とガレに一部雪渓も残る稜線が続いている。雲がかかって全貌は見渡せないが、雲の流れにつれてその切れ目から部分的に山々を垣間見ることはできた。アルクサーゼー方面のコースを分け、ゆるやかになった尾根を進むと、一瞬の晴れ間にホッホショーバー(3242m)方面の雪を被った山がちらと覗いたが正確にはどこだか不明。ロートゲーベレ(2696m)手前の鞍部アルクサーシャルテ(2633m)から左に分岐して巻き道に入るので、ここが北側の展望の見納めとなる。名残惜しく10分ほど粘るが、これ以上晴れる気配は無いのであきらめる。
ノイアルプゼーエンの氷河湖に投影するザッテルケップフェの岩稜を見る
多くの登山者で賑わうシュライニッツ山頂

途中まで多くの下山する登山者とともに下っていくと、みんなリエンツ市街から上がってくる車道を目指してまっすぐ下っていくので車で来ていることがわかる。リフトに戻るために山腹を水平に巻くオーバーヴァルダースティーグに入ると誰も居なくなった。通る人が少ないのか道は荒れ気味、ごろごろした岩の上など歩きにくく疲れる道で、案外時間がかかった。最後はそのままツェッタースフェルトのゴンドラ駅へ下っても大差なかったが、往復券を買ったのでシュタイナーマンドルへ向かうと、しばしの登りになりさらに疲れた。リフトが16時に終了となる15分前に無事乗り場に到着。天候は思うようにいかなかったが、これで単独での3つの登山が完了し肩の荷が下りた感じだ。
 帰りはリエンツ駅まで無料のシャトルバスに乗車、乗客は私だけだった。リエンツ駅からはアルプスの峠を越えてキッツビュールまで行くポストバス便に乗り込む。ガイドブックに山岳眺望が素晴らしくお勧めの路線だと書いてあるので是非乗ってみたかった。結構乗客が多く、観光客ではなく地元の若い人がほとんど。途中からも乗ってきたりで、週末に街から田舎の実家に帰っていた人たちかと思う。フェルバータウエルントンネルを抜けてミッタージルという小さな町の駅に止まった後、もう一度パススルン(1274m)の山越えをするが、夕方には青空が広がり、左側に氷河を抱く雄大なグロースヴェネディガー(3666m)の山並みが印象的だった。右側の座席に座ってしまったので、写真がとれず残念な思いをした。屏風のように険しいギザギザの岩峰が連なるヴィルダーカイザー山塊や山頂に電波塔がたつ円錐形のキッツビューラーホルン(1996m)が見えてくると、まもなくキッツビュール駅。ネットで26Euroという相部屋の安宿を予約していた。駅周辺は殺風景で何もなく15分ほど歩いて街の中心部に入り、迷いながら目的のホステルの看板を見つけた。由緒正しい大きなホテルの前にひっそり建つ、商店とアパートが混在するような建物に裏口から入るという感じでわかりにくい。お客はほとんどいないので、相部屋といってもシャワー付で2段ベット3台の部屋を自分だけで占拠、宿の人も気さくで朝食は食堂の冷蔵庫にあるものを好きに食べて良いと言う。一泊寝るだけなのでこれで十分だ。スキー場としては世界的に有名なので、スキーシーズンには若い人でいっぱいになるのだろう。2つの教会と博物館に囲まれた旧市街の中心エリアは車の乗り入れ禁止で、カフェレストランの屋外テーブル席が並んでいる。その一角に座って色とりどりの外壁の建物を見ながら生ビールと夕食にする。このような場所のメニューは、肉の種類がいろいろあるものの決まってジャムが添えられたウイーン風カツレツが出てくる。

続きを見る
オーストリアの山旅のメニューに戻る
トップページに戻る