ホーエタウエルンの山々の展望 ベーゼス・ヴァイブル(3121m)
年月日 2013年7月22〜23日
天気 晴れ、夕方にわか雨
タイム Lucknerhaus(13:43)=Kals(13:58/14:58)=[PostBus]=Lucknerhaus(15:25/8:15)…67A分岐(9:20) …PeishlachTore(9:50/10:05)…BosesWeibl(11:50/12:30)…Refuge(13:10/13:17)…PeishlachTore(13:57/14:10) …GlorerHutte(15:26/15:42)…Lucknerhaus(16:42)

自然に囲まれたロッジ、ルックナーハウスに2泊した
 ルックナーハウスまで下山してきた後、カルスのガイドオフィスで登頂証明書を受け取るために、グロースグロックナーのガイドツアーでご一緒したお2人の車に乗せてもらってガイドオフィスへ向かうことにしていた。彼らはこれからグラースまで車で6時間ぐらいかけて帰るから、ルックナーハウスで腹ごしらえのランチを食べたいというので、私も付き合ってご一緒した。ガイドオフィスにて、メールや電話で話した事務局のイングリッド嬢に初めて会う。にこやかでひょうきんな女性であった。ホーエタウエルン地方の5万分の1登山地図も購入(10Euroとちょっと高かった)。登頂にご一緒したお2人に別れを告げ、ルックナーハウスへ戻るバス(1日2本のうち後の便)が来るまでの間、近くのスーパーで部屋で飲むアルコール類につまみや行動食を買い込む。バスはロッジやスキーリゾートが建つカルス村の最上部を廻っていくので、村の様子を眺めることができた。山上まで運んでくれるリフトとゴンドラがあり、スキーシーズン以外は休業中の宿も多いが、静かな山村での滞在やハイキングを楽しむ人が結構多いようだ。ルックナーハウスは小さいシングルの部屋が2食付で1泊56Euro、部屋からグロースグロックナーが望め部屋でワイン等を嗜みながらゆっくり2泊するには申し分ない所だ。食事もメインが肉と魚の2種類から選べ、前菜やサラダなどバイキング形式で好きなだけ盛れるのでなかなか良い。これからのプランについてもだいぶ作戦を練ることができた。山登りはこの周辺のリエンツ地方に絞ってしっかりと3000m前後の3座に登頂した後、キッツビュールを経てザルツブルクへ戻るという筋書きだ。
 翌日はルックナーハウス起点の代表的な日帰り一日コースであるベーゼス・ヴァイブル(3121m)を目指す。この名前は悪女という意味で、この地域でリエンツ市街の西側にあるホーホシュタインのロープウェイから登るハイキングコースにも偶然同じ名前の2521mピークがある。こちらのショーバー山群のピークは尖った三角形の特徴的な形状でグロースグロックナーからもよくわかった。この形は魔女の帽子を思わせるから名前がついたのかも。地図を見て少し車道を下ってから、道標に従って登山コースに入る。実は車道を歩かなくても歩道もあることが後からわかった。
岩とお花畑の展望の良いコースを登る、右の三角の山がベーゼスヴァイブル
山の裾野は全て牧場になっていて、いくつもの牧柵を手で鍵を開けて抜けていくことはこの国の常識である。車道が交錯したり私有地を迂回するような所もあるが、黄色の道標が完備しているので迷うことは無い。天気は快晴。右下にシュラッハ谷の流れを見ながら高度を上げていくと、背後にカルス村を隔てて、ローテンコーゲル(2762m)からケンドゥルスピッツェ(3085m)、さらにグローサームンタニッツ(3232m)へ続くグラナートシュピッツ山群の山並みがせりあがってくる。この稜線はヨーロッパパノラマ道と呼ばれるハイキングコースが設けられてガイドブックにも載っているので明日以降向かおうと考えている。分岐点があり、右の谷へ下ってカルス村方面へ山腹を巻いていく道を分けると、前方に岩の突起や尾根筋が見えてきてハイキング気分を盛り上げてくれる。登りついた峠状の平坦地で一休み、小さな作業小屋のような建物と謂れありげなキリスト像の立札がある。日本の山では信仰的な石像の類があふれているのが常であるがこちらでは珍しいと思う。ここから山頂まで2つのルートがあり、右側の911番のコースから登って一周することにする。沢を横切ってから尾根の登りになる。足元はキンポウゲ科やニガナ類の黄色、リンドウのような紫色、アルペンローゼ?のピンクなどのお花畑になっていて、その奥にグリーデンカールコップフ(3031m)の三つ連なったピークの展望が良く楽しい道だ。先行の男性1人を追い抜く、本日初めて会った登山者で結構大きな荷物なので小屋泊まりのようだ。
 岩のごろごろした道になり、イワウメ?のような白い花が一面に咲き乱れてナキウサギの鳴き声が響く。高度が上がると雪渓の上を歩くところも出てきて山頂が近づいてくるものの、標高差が大きいコースなのでなかなか到着しない。踏み跡がはっきりしなくなってきて少々不安になるが、地図の赤線通り忠実に尾根筋をたどって前方の3113mピークに登ると、隣に主稜線からせり出した十字架の立つ山頂が見え、やせた吊り尾根をたどって無事登頂。目の前にはグレーディス(3206m)、ガノット(3104m)からショーバー山群を代表するホッホショーバー(3242m)へと切り立った威厳のあるピークが続いている。その左手方向へ、ショーバー山群の最高峰であるペツェック(3283m)方面へも風格のある山脈が続いている。ホーエタウエルンの山々の好展望台となる素晴らしい山頂だ。
山頂の十字架とグロースグロックナー(雲の中)方面の展望
山頂よりグレーディス、ガノット、ホッホショーバーと続くショーバー山群

残念だったのはグロースグロックナー山頂が雲の中に隠れてしまったこと。到着時は山頂に誰も居なかったが、反対方向から若い2人組が到着、さらに先ほど抜いた単独者が到着して4人になった。思ったより歩く人が少なくて昨日までの賑わいに比べると静かな山を楽しめる。山頂を後にさきほどの3113mピーク方向へ戻り左へ巻き気味に行く別の道に入って、稜線を北上していく。別の登山のグループが登ってきた。日本に比べると中高年に属するような人は少なくて若い人が多い印象だ。岩場っぽくて鼻歌まじりで歩けるような道ではない。細かいピークを越えていくので結構時間がかかる。3113mピークの奥にクリスタールコップフ(3160m)〜ローターノップフ(3281m)と続く稜線に遮られていた南東側の展望が、進むにつれ角度を変えて、クラマーコップフ(3163m)からホルンコップフ(3251m)方面の岩の屏風のような荒々しい山容が望めるようになり、眼下には碧い水をたたえた氷河湖も見える。下りついた鞍部に小さな避難小屋が建ち、数人がのんびり食事を楽しんでいた。先ほどの若者たちと同じグループでここで断念した組のようだ。ここからコースは左右に別れ、左へ一周して戻るコースに入る。右はエルバーフェルダーヒュッテを経てハイリゲンブルートやリエンツァーヒュッテなどへ下れる道でそちらも岩の殿堂のような景観が楽しめそうだ。
分岐点の避難小屋より氷河湖とクラマーコップフ(3163m)方面の岩の屏風
グローラーヒュッテへの道よりグロースグロックナーが見えた

 下山コースはグリーデンカールコップフの山腹を巻くように下って行き、ベーゼス・ヴァイブルの眺めも広い裾野を下から見上げる形で違った印象になる。湿原を抜けて少し登りになると作業小屋の分岐点に戻ってきた。そのまま来た道を戻るのではなく、グローラーヒュッテへ寄り道していくことにする。稜線上と巻き道の2つのコースがあり、時間も時間なのでより容易な巻き道の方を行く。時折登山者も見かけるが、それよりマーモットが穴から出てきてひなたぼっこをしている姿を良く見かけた。写真をとろうとするとさっと動いてしまってうまく撮れない。山腹を登っていくと山頂では見えなかったグロースグロックナーの雄姿が現れた。一昨日の登頂日と同じような天候で、昼にガスが出ても午後3時を過ぎると晴れてくるという感じなのだろうか。大きな岩がごろごろした場所に出て、道が不明瞭になり目印のケルンを探しながら進む。赤と白の窓飾りがいかにもオーストリアらしいグローラーヒュッテに到着して一休み。ここを起点にいくつかのハイキングコースが分岐している。既に10人以上の人が到着して休んでいた。小屋を繋いでトレッキングを楽しむグループのようだ。ガスが出てきたので重い腰を上げて、良く整備されたハイキングコースを下って、雨には降られることなくルックナーハウスに到着。連泊は楽でよいけれども、自分としては短い期間になるべくいろんな所を見たいという気持ちが優先して1泊ずつが基本だ。明日泊まりたい山小屋スデーテンドイツヒュッテに電話をして予約を試みたが、番号が変わっているのかつながらない。宿の人にお願いして、電話を借りたり番号を調べてもらったりしてもやはりダメ。大きい小屋なので予約する必要は無い、と宿の人は言うので予約はあきらめた。

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