石灰岩の奇峰ダハシュタインを展望するクリッペンシュタイン(2109m)と大氷穴
年月日 2013年7月19日
天気 晴れ
タイム Hotel Sommerhous(7:45)…Bad Ischl Bahnhof(8:18/9:05)=[列車]=Overtoun Bahnhof(9:35) …Yutel Overtroun(9:45/10:06)=[PostBus]=Telstation Dachstein Seilbahn(10:10/10:30) 〜Bergstation(10:52)…Five Fingers(11:20/11:30)…Dachstein HAI(12:30/12:35) …Bergstation(13:02/13:15)〜Mittelstation(13:24)…Eishole(Ice Cave)…Mittelstation(15:15) 〜Telstation(15:23/16:00)

カルスト台地の奥にダハシュタイン連峰を望む
 近くにあるカトリン山(1450m)へのリフト付近まで朝の散歩、夜にふっていた雨があがり低い雲の間から青空が覗いてすがすがしい。朝食はどこもバイキング式で、ハム・チーズ・黒パン・シリアルが定番のようだ。駅まで2.5km程なので歩いて向かうことにした。ほぼトラウン川沿いに森の中の遊歩道を歩いてバートイシュルの町に入っていく。川沿いにテーブル席が多数並び、エリザベート橋付近からの眺めは歴史的な建物と周囲の山々の自然が調和したなかなか趣のある景観。昨日はこの川沿いで食事をすればよかった。
 ハルシュタットのホテルは、人気があるらしくネットで手頃なところが見つからず、1つ先の駅のオーバトラウンに朝食付45Euroの宿を予約した。ダハシュタインのロープウェイにも近い所だ。ローカル列車でのんびりと30分ほど。ハルシュタット駅付近から湖の対岸に、教会の尖塔が印象的な有名な街を望むとまもなく到着。オーバトラウン駅から10分ほど歩くと目的の宿に到着。街はずれのちょっと殺風景な所にポツンと建っている。チェックアウト時間帯で宿の人が居たので不要な荷物を預けてカギをもらうことができた。安宿なので日中や夜はスタッフが不在になるので要注意のところ、これで戻る時間が遅くなっても安心だ。部屋は2段ベット4人用を1人で使うというもの、隣が運動場なのでスポーツ合宿用施設にもなりそうだが、あまり団体客が来ないのでシングルとして使っているそうだ。
 ロープウェイ山麓駅までちょうどバスがあったので20分ぐらいの歩きを省略できた。登り坂になるうえに車道歩きは暑いので助かった。終点までロープウェイ3本設置されているが、展望を楽しむなら一番標高の高い2本目の山頂駅が良いということ、2本のロープウェイ往復と2つの洞窟のどちらか1つがセットになったチケットを買い求める。宿泊の証明を見せると39.9→37.4Euroに少し料金が安くなる。岩肌の露出した前方の山の上に急上昇し、シェーンベルクアルムで乗換え、途中で樹林帯が無くなると景色が一変して広くなだらかなカルストの上を進む。冬は一面自由に滑れるスキー場になるのだろう。
ハルシュタット湖と周囲の山々をFive Fingersから眺める
カルスト台地の中央に位置する小ピークが第2区間山頂駅のクリッペンシュタインで、絶好の展望台になっている。緑と灰色の岩石が続く台地の果てに、三角形の尖ったピーク群が連なる。その岩峰の手前が氷河になっている。このようなカルスト台地とアルペン的な岩山の景観というのは、他には見られないこの地独特のものかと思う。案内板によると顕著な鋭峰は左から、コッペンカーシュタイン(2865m)、ホーアージャイドシュタイン(2794m)、主峰のホーアーダハシュタイン(2995m)、すぐ横に槍のようなニーデラーダハシュタインと続く。登るのは難しそうに見えるが、主峰には反対側からヴィアフェラータなのかルートがあるようだ。第3区間のロープウェイで下ったジャイドアルム(1750m)とその先に建つジーモニーヒュッテ(2203m)もよく見える。
 時間的に遊歩道を巡るだけの観光コースに甘んじることになりそうだ。まずはこの付近の最高地点に立つ現代アート的な展望台へ、上部はらせん階段状で、各方向の写真展望図が示されている。素晴らしい天気なので実際の景色もほぼ写真と同じように見える。遊歩道を下っていくと、断崖上に5本指の形にせり出した名物の展望台ファイブフィンガーズであり、先端から下を覗いてスリルを味わう。ここはハルシュタット湖とその周囲の山々を上から眺めるには最適の場所だ。世界最古という塩鉱へ登るケーブルカーの直線の軌道もはっきりわかる。観光地では中国人の団体ツアー客が目立ち、これもご時世。みな一様に長い棒を持っているが、これは先端にスマホを着けて自分撮りするグッズだった。知らないのは私だけだったか。山頂駅に戻り今度は反対側へ、ダハシュタインハイという所までを往復。こちらへ来る人は少ないので静かになった。途中、道から少しはずれた所に洞窟があって、中は雪が残っており外の暑さを忘れてひと時の清涼感を味わう。目的地にはサメ型のオブジェがあって、中に入るとサメの口から顔を出して外の展望が望めるというものだが、高さ5mほどで思ったより小さくてわざわざ来た割りには興ざめの感があった。さらにハイルブロンナークロイツという十字架のたつピークを経て大きく迂回する形で、ジャイドアルムのロープウェイ駅まで4時間のハイキングコースが続いている。このコースを歩く人はさらに少ない。
アイスケーブ洞窟のアイスコンサート広場付近
午後になると雲が出てきて時々視界がさえぎられる。次はチケットに含まれるアイスケーブ大氷穴へ向かう。すでに2時間強歩いたことになり観光コースというよりは軽いハイキングになった。
 ロープウェイ中間駅のシェーンベルクアルム付近はピクニック園地になっていて、ビジター用のちょっとした展示物が見られる。大氷穴の入口までは15分ほど坂をジグザグに登り、ひと汗かいて洞窟の入口に着くと、沢山の人が待っていて次のガイドツアー番号が9番と書いてある。実は自由に入ることができず、ガイドツアーの受付を駅の窓口で行う必要があることがわかり、再度下って登る羽目になった。受付で自分のチケットにツアー番号を記入してもらうと次の1番で、登りついてまもなく洞窟の扉の中から若い女性ガイドが登場して説明を始めた。説明はまずドイツ語で次に英語という形で行われ、30人ぐらいのグループで1kmほどの距離を約1時間かけて説明を受けながら廻る。洞内を下っていくにつれ温度はどんどん下がり−3℃にまで下がる。ダウンジャケットを着こんでいる人、Tシャツで震えながら耐えている人などさまざま。岩から沁み出した水滴が大氷柱を形作り、深い切れ込みの側壁が氷で覆われ、クレバスの内部をさまよっている感じ。天井の高い広場では世界でここだけというピアノのアイスコンサートが開かれるとか、凍てついた氷のホールでは音響効果もだいぶ違うのだろう。見どころでは照明を何段階にも切り替え光のショーを演出、10秒ぐらいで照明が切り替わってしまうので写真を撮るタイミングが難しい。ツアーが終わるといきなり30℃近い暑さの中に飛び出すので、芯まで冷えた体が温まるのはよいが温度差のストレスで少し頭がボーッとする感じだ。もう一つのマンモスケーブは調査された全長70kmという大規模なもので、ガイドツアー時間が限られるので見学する人は少ない様子だった。

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