カナディアンロッキー ワプタアイスフィールドトラバース2

年月日 2000年4月4日(火)
天気 曇りのち雪
タイム ボウ・ハット(8:00)…コル乗越し2900m(10:00/10:06)…オリーブ山東斜面
(10:18/10:30)…バルフォアハット2420m(11:05)

 朝のうちは昨日と同じようにどんより曇っていた。アイスフィールドに登りついてからは、昨日より左寄りに進んで、セントニコラスピークとMt.オリーブの間のコルを乗越す。
バルフォア・ハットの内部
付近はボウハット前の岩壁の上にあたる場所で、ボウレイク方向の眺めが良い。広々とした雪原のすぐ下があの絶壁だとはとても想像できない。このような非対称地形は、プレートによるカナディアンロッキーの形成を物語り、バンフ近郊のMt.ランドルを始め多くの山に共通している。
 コルの少し先でシールをはずす。傾斜はとても緩く、雪質も悪く、あいにくガスも出てきて視界も無しで、快適な滑りはできないままバルフォアハットに到着。雪が降りだしてしまい、小さな小屋で退屈な時を過ごした。ボウハットからは我々含めて15名程が到着。ニュージー隊やBC州3人組も来た。パットとニュージー隊のガイド夫妻は、明日のコースを偵察に出かけた。我々お客は危険なので同行させてもらえないようだ。一時的にガスが切れて、彼らがクレバス帯の下でルートを探っているのが見えた。他にヨーホー谷の方へスキーハイクに行ったグループがいて、我々も仲間に入って一緒にいければよかったのだが...昨日よりはだいぶ窮屈になり、食事もあわただしくなった。

年月日 2000年4月5日(水)
天気 曇り(霧)時々雪
タイム バルフォアハット(8:00)…クレバス帯下(ロープ装着)(9:30/9:45)…バルフォア・ハイ・コル3000m
(12:00)…スコットダンカンハット2700m(14:15)

 今朝もどんよりした空模様で、バルフォアMt.も雲の中。一番天候が問題となる日であるが、パットは「悪くないね」と言いながらバルフォア・ハイ・コル越えに向かうことになった。一緒に出発した他のパーティーはクレバス帯の上に斜上するルートを行ったが、パットはクレバスの上をトラバースするのを避けるため、少し下り気味に進んで、沢状を上がる方法を選んだ。
一瞬ガスが晴れMt.デリーとハットが見えた
アンザイレンして、左右2つのうち右側の沢筋に入る。ガスで視界が無くクレバス帯の通過はガイドが頼りである。晴れていればクレバス帯の氷柱が見事だという。
 時折周囲の山の岩壁がうっすらと見える他は、地面も空も真っ白の状態でコルを越えて、ザイルに繋がりシールも付けたまま緩い下りの氷河上を進んだ。時折ピークが見えると、パットはすかさず地図上の現在位置を確かめ、クレバスを最大限避けて行く。我々ははたしてこの先小屋に行き着けるのか少し心配になってくる。そのうち一時的にガスが切れて、正面にMt.デリーが姿を現した。目指すハットが山の麓に見える。これで方角も確定、とても感動的な光景だった。平らな氷原を小屋まで歩くのがまた長いこと。小屋には昨日と同じメンバがすでに到着しており、もう顔馴染みである。
 小屋は昨日より一層狭く、入口から雪が入り込む状態。でもこれが元来の避難小屋の姿である。一時的な晴れ間に、バルフォアMt.まで続く広大なアイスフィールドにリリプットMt.だけが岩肌をさらけ出している一帯の全景が望め、これまた素晴らしかった。しかしものの5分と持たずに再び雪が降り出してしまった。この小屋は完全にホワイトアウトになると見つけるのが困難というのもうなずける。

年月日 2000年4月6日(木)
天気 曇り(霧)のち時々晴れ一時雪
タイム スコットダンカンハット(8:45)…ニルス山コル(シール脱)(9:40/9:50)…ディープパウダー(けが)
(10:35/11:15)…林間(ヘリコプター)(11:30/13:17)…シャーブルックレイク
…ウェストルイーズロッジ1600m(15:20/15:28)=キャンモア(16:20)

 昨夜はこの時期に珍しい新雪が積もり、本日の大滑降に対する期待が膨らむ。これでスカッと晴れてくれれば良いが、相変わらずガスがかかっている。この日の朝食はパンケーキ、メープルシロップ付きのカナダらしいスペシャルメニュー。時間をかけて焼く甲斐あって美味。
 霧の中にMt.ニルスが浮かび上がる幻想的な光景の中を歩き、Mt.ニルスの岩壁を仰ぎ見るコルでシールをはずす。天候回復してしだいに山が晴れてきた。正面の山々はヨーホー谷との境界を形成し、地図には名前も載っていないが、新雪で真っ白に染まり迫力満点。ゴールに近いシャーブルックレイクも見えてきた。しばらくはクレバスを避けてトラバースしていく。傾斜が緩くなるとスキーが思うように進まない。でもカナダの岩壁を横目にスキーしていると思うとすごい。やがて広い斜面に出て、やっと待ち望んだパウダースノー滑降の世界にきた。歓声を上げて思い思いにシュプールを描く。
 
Mt.ニルスを望んで新雪を漕ぐ
パウダースノーの世界
 ここでアクシデント発生。Oさんがなかなか来ない。単に転けただけかと思ったが、新雪に隠された石に当たって足にダメージを受けたようだ。ゆっくり我々の所まで滑ってきたが、かなり痛むという。 応急処置でテーピングして大休止の後、ゆっくり滑ってみる。樹林帯に入って間を縫って滑るがつらそう。この先滑降距離はまだ長く、無理して傷を悪くしないためにも、パットは無線で救援を求めた。すぐにつながり、レイクルイーズからここまでヘリが飛んでくることになった。
樹林帯からヘリコプターでけが人を吊り上げる
ランチなど取りながら待つ。時折前方の山で新雪雪崩の音がとどろくが、こちらのコースはさほど心配ない。1時間ほどしてヘリが飛んできて皆で手を振って合図する。こんなシーン先日もあったが、こう頻繁になくても良いのにと思う。1回目は事実確認の為飛来してそのまま戻り、次は担架とレスキュー隊員が降ろされた。Oさんは担架にぐるぐる巻きに固定され、ここで慌ただしく挨拶してお別れとなった。新雪に岩が隠されていると避けようも無く、こんな危険が潜んでいることを改めて認識。ディープパウダーというにはちょっと積雪が足りなかったこともあるかも。
 気を取り直して、最後の滑降にかかる。気まぐれな天候でまた雪が降りだした。さっきはヘリが飛べたのはラッキーだった。谷に滑り込み、傾斜も緩くなってシールをつける。シール付きだと部分的に急で狭い所が難しい。シャーブルックレイクの上を延々と歩き、ひと登りしてシールをはずすと、最後の林間滑降しばしでロッジの立つハイウェイに出た。3人はここまで無事抜けられたことは何よりである。
 ヤムナスカでは日本人ガイドの難波さんが迎えてくれた。カナダの山にはまた来たいので、その際はよろしくとお願いする。3人でキャンモアの町をまわってお土産物を探し、中華レストランで打ち上げ。バンフより静かでくつろげる町であるが、お目当てのガイドブックや地図が手に入らなかったは残念。

年月日 2000年4月7日(金)〜4月8日(土)
タイム キャンモア(8:10)=カルガリー(9:30/11:30)→(CP-901)→バンクーバー(11:40/14:30)
→(CP-003)→成田空港(16:00)

 キャンモアの朝は快晴。空港へ向かうハイウエイは凍結状態であった。車からロッキーの山並みが素晴らしく良く見えた。でも山にいるときにこうなってくれた方が良かったのだが。飛行機からも雪のロッキーの眺めを楽しむことができた。カナディアンロッキーには未知の山と自然が無尽蔵にあり、管理されていながらヨーロッパアルプスのように観光化が進んでいないところが好きである。夏のピークハント、真冬のパウダースキー、春のツアースキー、次はどのプランが良いだろうか。


世界の山旅のメニューに戻る
トップメニューに戻る