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ヨーロッパアルプス登頂レポート |
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モンテローザ デュフールスピッツェ (4634m)
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| 年月日 |
2001年7月25日(水)〜26日(木) |
| メンバ |
Kさん,私 |
| 装備 |
プラスチック登山靴,アイゼン,ピッケル,ザイル,ハーネス |
同行者 報告 |
http://www.asahi-net.or.jp/~MV2S-KTHR/index.htm 「三百名山めざして」 |
| 天気 |
晴れ(25日),晴れ夕方にわか雨(26日) |
| タイム |
ツェルマット(Zermatt)[10:25]=ローテンボーデン(Rotenboden)[11:02]…リッフェルゼー(Riffelsee)[11:36]
…モンテローザ小屋[14:55//2:28]…モレーン上氷河[4:45/5:03]…コル(Sattel)[8:32/8:36]
…頂上(Dufourspitze)[10:48/11:15]…コル[13:00/13:20]…モンテローザ小屋[16:25/16:48]
…ローテンボーデン[19:58/20:05]=ツェルマット[20:40]
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今夏はKさんという素晴らしい同行者に恵まれてスイス4000m峰登頂を目指す機会を得た。特にこのモンテローザはそのメインエベントである。当初はガイド手配を考えていたが、天候も安定しているし、自分たちのペースで楽しめるガイドレス登山の魅力にはまった私達は、スイス最高峰モンテローザもガイド無しで頑張ることにした。
ローテンボーデンで登山電車を下車、正面に憧れのワイスホルンが聳える。駅の近く有名なリッフェルゼーからのマッターホルンを見に行く。10年前マッターホルン登頂翌日にも訪れた懐かしの地。現在は積雪のためマッターホルンガイド登山は来月始めまではCloseだとツェルマットで聞いた。ここからはそれほどでも無いように見えるが、前の時は雪は全く無い状態だった。やがて日本人ツアー客に囲まれてしまったのでぼちぼち出発。
時間もたっぷりあるのでのんびりハイキング。キンポウゲやアズマギク類のお花畑の道を下り気味に進む。ブライトホルンからポリュックス,カストール,リスカム,主峰デュフールスピッツェと続く大きなモンテローザ山群が一望のもと。ゴルナーグラードの岩場を見上げると千畳敷カールにいるような雰囲気。ゴルナー氷河に下りついて、目印の旗に導かれて氷河を横断。クレバスを避けて右に左に進むので時間がかかる。時間も早いのにすれ違う登山者が多く、モンテローザ登頂してきたならやたら早いと思うが、いろんなクライミングルートがあるようだ。
中央右の岩峰がデュフールスピッツェ
モンテローザヒュッテへのハイキング道から望む
| モンテローザヒュッテとリスカム峰
氷河を見下ろす大きなモレーンの斜面にある小屋
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岩場に付けられた道を登ると小屋に到着。夕方も快晴に恵まれ、外で夕暮れのマッタホルン等を眺めながら味わうスイスビールは格別。小屋はそんなに混んでいなかったが、ガイドなど常連が受付で長いこと話し込んで対応が悪く、夕食もまずくて、前回のホーサースに比べて印象は悪い。ただデザートのアイスはグッドだった。
翌朝は1時半から朝食、ガイド隊などの一群は小屋の裏から近道を取っているようだが、我々はガイドブック通りモレーン横の道を選ぶ(こっちも先に人が居た)。ところがヘッドランプの明かりではルートが判りにくい。昨日偵察してなかったことを後悔。ケルンなどたよりに迷いながら進む。前方のピークへの岩のごろごろした登りで道を失いだいぶ迷った。Kさんは先行者が左に雪の上をトラバースしていったと言う。後ろの人はというと右のグレンツ氷河の方へ下りてしまい別コースのようだ。左の雪渓に出てトレースを見つけ、急だったがそれをたどって行くと無事モンテローザ氷河の末端に出た。下りの際、もっと左を巻くように明瞭なトレースが付けられていたことが判った。
時間をロスしてしまったが、気を取りなおしアンザイレンして私が先頭で出発。モンテローザ氷河は下部に少しクレバス有ったが、傾斜もゆるく迷う心配も無い幅広のトレースをひたすら上へ。
山頂に隣接するグレンツギプフェル
大岩が積みあがった鋭い岩峰
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マッターホルン,ブライトホルン...ヴァリスの山々に朝日が当りはじめ、少し気持ちの余裕が出てくる。先行3人パーティーを抜き、4359mのザッテルへ。イタリア側の登りやすいシグナルクッペの姿も目に入る。標高的にはかなり登ったが、この先稜線伝いに頂上までも大変だった。
これまでより急な雪の斜面を登ると岩場に出る。痩せていて高度感があり、上下も多い。高度で息も苦しく距離がはかどらない。小屋の夕食で御一緒したガイド登山のオランダの2人組が登頂して下りてきて挨拶、なかなか早い。時々ルートに迷い、また下山者とのすれ違いも気を使う。相手がガイドだとこっちが止まっているだけでうまく避けてくれる。手前のピークを通過すると最高点へ雪のトレースの急斜面となる。岩場に比べるとずっと楽だ。だが頂上へはさらに厳しい岩稜が続いていた。写真タイムをとる余裕もなく、ザッテルから2時間近くかけて頂上直下、ここで8m程の岩壁に阻まれた。
ここが最後のそして最大の難関(2級+)。クラックの左か右から登ろうとしたが、アイゼンのせいもありうまく上がれない。ここで断念かと一瞬思った。ピッケルデポすることにし、上で待っていた若い男女パーティーが、真っ直ぐ!という感じでアドバイスしてくれ、クラックの中央に入って思いきると、アイゼン履いたまま段の上に這い上がることができた。ザイルを引っ張るとKさんもうまく登ってきた。岩に埋め込まれた金属プレートで、最高点デュフールスピッツェと確認。二人で硬く握手、本当に厳しかっただけにヴァリス最高点の頂きに立てた感慨はひとしお。
ちょっと雲が出てきたが、マッタホルンや周辺のモンテローザ山群をぐるり見渡す。目の前にグレンツギプフェルがほぼ同じ高さで聳える。そちらへの縦走は大岩に阻まれさらに難路(3級)。先はスキー向きのノルトエントから、鋭い山容のリムプフィッシュホルン(アラリンホルンの近く)そしてドムへと遥かに続く稜線。眼下には蛇行した氷河もずっと下に見える。
ノルトエント(右)からドム(左)へ続く稜線
山頂からの景観
| マッターホルンとゴルナー氷河
手前は登頂ルートの岩稜、見た目より難しい
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下りはより慎重に、直下の岩場は念のためKさんをビレーし、その後もスタカットを多く用いた。登りで抜いたパーティーの1人が断念して途中で他のメンバーを待っていた。こんな所で心細いだろうに。ザッテルまでたどり着き、緊張から解放されここまで事故も無くやれやれである。
午後1時を過ぎ氷河の雪が緩み、アイゼンはダンゴになり下りも大変疲れる。モンテローザ氷河末端からも雪の上や岩のゴロゴロした道を進み小屋は遠い。今夜のツェルマットのホテルと明日の氷河特急を予約しており、登山電車の最終には乗らないといけない。最後のゴルナー氷河からローテンボーデンまで地獄の登りで私のペースはガタ落ち。夜8時の最終電車にぎりぎりというありさま。私は食欲も無くホテルに着くなりバタンキューであったが、Kさんは外のレストランへ夕食に行ったそうで、その体力には感心する。このコース、4000m峰登山ガイド日本語訳版でPDとされているが、ドイツ語の最新版ではPD+とグレード高くなっており、さもありなんという感じだ。ガイドレスでペースが遅かったこともあるが、行動時間17時間半はアコンカグアを抜いて私の最長記録となった。
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