奥秩父 大常木谷
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【月日】 98年6月27日(土)
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【メンバ】マウンテニアリングクラブK ガイド山行
ガイドY氏,アシスタントK嬢,Iさん,私
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【装備】 渓流シューズ,ウオータースパッツ,ハーネス類,ヘルメット
(共同)ユマール,ロープ,ハーケン類
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【参考】 東京付近の沢,2.5万図「丹波,雲取山,雁坂峠」
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年月日 |
1998年6月27日(土) |
天気 |
曇り |
タイム |
奥多摩駅(5:55)=駐車地(6:50/7:16)…大常木谷出合(7:42)…千苦ノ滝(9:25)
…不動ノ滝(10:10)…ビバーク用地(11:46/12:02)…小屋跡[遡行終](12:15/12:30)
…ハシクイのタル(13:12/13:30)…みはらし茶屋(15:30/16:30)=奥多摩駅(17:32)
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先月のヌク沢より少しグレードの高い大常木沢に参加した。完全遡行は2日行程
の沢だが、核心部の下半分なら日帰りでも遡行可能。奥秩父縦走路でお馴染みの飛
龍山の先に,沢の名前がついた大常木山がある。頂上への道は無く巻いてしまうの
で,山としては普通は気にされることもないが、沢としては、東京近郊では美しい
ゴルジュで知られる代表的な秀渓と言われる。
前夜最終の電車で奥多摩駅に向った。10名程の登山者が下車,タクシーで即入
山の人,バス乗り場で寝てる人あり。河原に下りた所のあずまやで待ち合わせ,
すぐシュラフカバーに入って寝る。
翌朝車で1時間程かけて一ノ瀬渓谷の下り口へ。途中、小河内ダムの放水が見ら
れ奥多摩湖は満水。このところ水不足が続きこんな光景も数年ぶりらしい。やはり
満々と水をたたえていてくれた方が絵になる。
無名のゴルジュ
水の色がこのうえなく美しかった。
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一ノ瀬林道の 途中のスペース に駐車し,一ノ瀬川へはっきりした踏み跡を下降。
大常木谷の入口までしばらく河原状の一ノ瀬川本流を下降,水量多く渡渉は慎重に
行う。大常木谷に入ってから暫くは河原状を進む。上流も伐採など人の手が全
く入っていない貴重な存在らしく、とにかく水がきれい。
最初の滝、ナメ状斜瀑(8m)は途中でガイドにロープを垂らしてもらって越えた。
続く五間ノ滝(8m)は水量多く,右側から釜をへつり、Fixロープ+ユマールで飛沫を浴び
て登る。やがて岩床の深緑色の透明感がこのうえなく美しいゴルジュに出る(無
名?)。水深は背が立たないくらい深い。ルートを探り,左壁の水際をへつって行
く。途中で難しくなり,5m程直上し,斜め懸垂下降で抜けることができた。水量
が少なければ途中で反対側に移ることで楽に抜けられると見る。
この先もガイドも私たち参加者も,ナメで滑って転んだり,水流を避けてあえて
難しくヘツって落ちてドボンしたりするが、落ちてもほとんど危険は無いので楽し
める。千苦ノ滝は通常は綺麗に水を落とすだけというが、この日は豪快な水量の爆
音で迫力満点。いずれにせよここは直登は難しく右を高巻く。ルンゼを横切る所に
Fixロープが設置してあった。
山女魚淵にて
右壁をヘツリ、シュリンゲにぶら下がって通過。
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やがて山女魚淵に出る。川底が土砂で埋まって以前の美しさがやや損なわれたと
言う。10m程を泳ぐのも手だが,右壁を微妙にへつる。難しそうだが,Y氏K嬢
に続いて私も、Iさんのアドバイスにも助けられ落ちずにクリア(落ちたら泳ぐだけ)。先
に2カ所、上から長いシュリンゲが垂らしてあり,ぶらさがって振り子で通過。早
川淵のゴルジュ帯が続く。
最後の難所は6m簾状に続く不動の滝(10m)。右を巻くこともできるが,水流左
を確保されて飛沫を浴びて全員無事直登(3級程度)。あとは特に難所無くスリップ
に注意してナメを遡行。
好ビバークサイトで休んでいると,かもしか君が顔をだした。急な崖を難なく上
り下りするのに驚き。会所小屋跡で大常木林道が交差,この上の遡行興味は少ない
のでここから下山する。林道とは名ばかりで,ところどころ崩れていて緊張する。
ジョギング靴に履き替えたので足元が不安である。下山用の靴もできればビブラム底
の滑りにくいものが良い。
不動の滝
ガイドがリードし、左下でアシスタントが確保中。
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ハシクイのタル で尾根を乗越し,苔むした竜食谷を渡って,ムジナの巣で将監峠
への登山道に出る。ここまでほとんど登りなので疲れたが、太古のブナ原生林,三
角形の大菩薩嶺の眺め,コアジサイの香り,早い季節のキノコ,等が楽しめた。
緊張もほぐれ広い登山道を雑談しながら下山。奥深い場所ゆえ登山者も少ないが、
稀に唐松尾山を目指すハイカーに出くわす。三ノ瀬の「みはらし茶屋」に到着、Y氏
が走って車を取ってきてくれる(否と言ったのに)ことになり、あとの三人は,名物
手打ち蕎麦にビールを注文。お手製の山菜漬け,コロッケ,薩摩芋煮,すもも等ご
馳走になり,付近の景色とオダマキ,ヤナギラン,シモツケのピンク色で華やいだ
気分であった。
Iさんは独身の高校の先生で現在新島へ赴任中、登山に来るのも大変だ。沢の経
験は私よりはだいぶ豊富な模様。明日は東京で遊んでから夜の船で帰るとのこと。
このクラブは続けて明日,登攀性の高い小常木谷の予定。夜7時頃から明日の参加
者があずまやに到着とのことだったが、私はここまででも満足,先に帰宅すること
にした。
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