丹沢「小川谷廊下」(登山教室)

年月日 1997年8月16日(土)〜17日(日)
天気 曇り一時晴れ間 夕方一時小雨
メンバ 神奈川県山岳連盟講師 主任講師:久保田修弘氏,他講師5名
      受講生 計26名(うち女性3名)
タイム 新松田(9:30)=(定期バス)=玄倉(10:24/10:40)…小川谷キャンプ地(11:30//6:32)
…F2大岩の下(6:58)…大根おろし岩(8:36)…F12石棚の下(9:10)
…F13樋状の下(10:40)…終了点(11:50/12:17)…キャンプ地(13:25/14:56)…玄倉(15:54)

【二度目の登山教室はキャンプ】
 河原でキャンプや釣りを楽しむ人を見ながら林道を歩き、ユーシン分岐から15分程 のところで谷に下りてキャンプ地とする。この付近にも純粋にキャンプを楽しむ家族 連れなどのグループが見られた。幕営・昼食の後、3つの班に分かれて実技講習。我 々(第3班)は久保田先生の元、小割沢の出会にて各種結び方の復習と、最下部のコ ンクリート壁をフリクションで登って懸垂で下りる練習を行う。久保田先生好みのカ ラビナ懸垂を教えていただいたり、受講生のフリークライマーが話題の運動靴(月星 のジャガーΣという普通の安い学校靴だが、藤沢山岳会のホームページで沢で滑らなくて 良いと紹介されてたという)を試しに使い、やっぱり下手なフエルト靴より良いとい うことになったり、自由な雰囲気の講習だった。

最大のF12二段滝
左側の草付の垂壁を巻き気味に通過。

【夜はキャンプファイアーで盛り上がる】
 講習は早々に、夕食(カレー)とキャンプファイヤーの準備にとりかかる。キャン プファイアーの為の薪集めを手伝うが、これは半端でなかった。間伐材の丸太を何本 も運んできて、鋸で切って2m以上の高さに積み上げた。夕食後薄暗くなった頃点火 、ファイアーを囲んで、飲んで歌い危ない芸も登場。時折小雨混じりで、真夏にして はかなり低温の夜ではあったが、元気な人はものすごく元気だ。

【順調に滝の登攀を楽しむ】
 3つの班に別れ、時差をつけて出発。我々第3班は最後の出発。いちばん若い竹内 先生をトップに、堰堤を梯子で越え河原から廊下入口のF1(2m)へ。ここはザ イル無しで小手調べ。次は真ん中に大岩が立ちはだかるF2(6m)でザイルに確保され て登る。岩にはホールドが乏しく、大岩の右の滝に斜めにかかった倒木を利用して、 全身ずぶ濡れで何とか登れるところだ。F3(6m)は、トップの竹内氏が滝右側のつる つるすべる難しいルートを選び、ザイルで引っ張り上げてもらうようして登る。後か らザイル回収してきた久保田さんが「つまらない所登るなよ」と、釜を渡って滝の左 側を登るルートを指示。ここは先日久保田さん達が偵察に来て、登りやすいようにハ ーケンを打ってきたとのことで、後の人は確保なしで楽々登ってきた。昨年有ったハ ーケンやボルトが、かなり抜かれていたと言う。

【丹沢とは思えない美しいゴルジュと廊下】
 表丹沢に比べて谷が深く廊下状で、ナメ状の岩の造形も見事。このような廊下は丹 沢ではここしか無いという。水深の有る廊下をルート選択した経験もなく、前の人と 間が離れると、どこを行ったらよいか迷ってしまうところもある。強引に泳ぐ手もあ るが、へつるのに良いスタンスが水の中に隠されていたりしておもしろい。

F13垂直の樋状滝 滝の右側の壁を登る。

【核心部を最大の二段滝F12へ】
 河原から第二のゴルジュに入ると二段滝F4。昨年は、ここは難しいが登れたので 、講師陣は受講生が落ちるのを楽しめたということだ。しかし今年は倒木が流されて 直登不可だそうで、次のF5とともに高巻く。直下に激流を見下ろしてスリル満点、 足場はしっかりしておりノーザイルで行った。やがて名物だという大根おろし岩が登 場。傾斜は緩いがつるつるで、固定ザイルにすがっていわゆる鎖場登りで越える。釜 から滝へ、あるいは廊下をへつって、固定ザイルにプルージックも利用して進む。難 しいへつりを選んで釜に落下して泳ぎが出ると、先行のギャラリーから歓声が上がる 。やがて最大の滝である二段F12(20m)、直登不能で左の高巻きルートをプルージ ックで越す。

【すべり台の樋状滝で遊ぶ】
 わざとすべりやすい樋状の滝をかけ登る。上にはギャラリー、成功すると歓声が。 ワラジはフリクションが良く割と簡単にいくが、フエルト靴の人は結構苦労してやっ と登る。

【最後のF13で直登の仕上げ】
 F13垂直の樋状滝は左に巻き道があるが、滝右側の岩場を1人ずつ確保されて登 る。釜の右をへつって、岩の中間を左にトラバースして上部は左側を登るのが一番確 実。釜を渡って滝に近いリッジをまっすぐ登るのは取り付きが少し難しい(私はこの ルートにした)。滝から離れた右側のルートは上部が手がかり無くかなり難しそうだ が、女性1名含め4人ほど果敢に挑戦。講師以外は何度も落ちてやっと這いあがるか 、あきらめて左のルートに逃げることに。

【表丹沢では得られない遡行の醍醐味が味わえた教室であった】
 この先堰堤が現れ東沢が入るところで終了。先行班が焚き火で温まって待っていた 。もうちょっと真夏らしく暑かった方がこの谷に合っていたのは心残り。下山には良 い道が利用できる。途中道標に、小川谷の先東沢乗越への道の入口が不明とのメモ書 きあり。1箇所崩れていて少し高巻きする。キャンプ地にもどり、残っていた食べ物 と日本酒を平らげ、ゴミを燃やして解散。有意義な教室であった。

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