白川郷付近の雪山 猿ヶ馬場山,人形山・三ヶ辻山,三方崩山
【月日】 2000年5月3日(水)〜5月5日(金)
【メンバ】猿ヶ馬場はOさん同行,他は単独
【参考】 2.5万図「平瀬,上梨」,エアリアマップ「白山」,岳人97年4月号,FYAMATRK 北近畿320,321,
     FYAMAALP山スキー1641,ベルクシーロイファー24,25,富山県周辺の山スキールート解説,他

【下部は複雑な地形、上部は山スキー天国の猿ヶ馬場山】
年月日 2000年5月3日(水)
装備 山スキー,兼用靴,ストック,シール
天気 曇りのち晴れ
タイム 白川郷(4:40)=林道730m 車P(5:00/5:21)…林道登り口780m(5:35)…尾根1470m(8:00)…帰雲山
(9:00/9:20)…猿ヶ馬場山(10:40/11:23)…帰雲山(11:59/12:05)…沢へ下る1150m(13:00)
…林道920m(13:20)…車P(13:57/14:07)=道の駅白川郷(14:26) くろは温泉,人形山偵察

 笈ヶ岳の縦走後、1日休養してOさんと猿ヶ馬場山を目指した。前日偵察して、Kさんから聞いたルートより奥まで林道を車で入って時間短縮を謀ることになった。萩町の合掌村はずれから入る林道は、730m付近で雪のため車が入れなくなる。スキーを担いで林道を790mの沢を横切る所まで歩く。ここから沢を登っていく。すぐ上で、Uターンするように分岐して登ってくる別の林道を横断する。後からわかったことだが、この林道を横切る所で沢が二分し、気づかずに意図していたのと違う右側の沢に入ってしまった。林道の土手の影響で左側に分かれる沢が見えないのだ。沢筋は雪が着いて登りやすく、はじめは快調だったが、思った以上に急傾斜になり、ピッケルアイゼンを持って来なかったことを後悔する。尾根らしき所に登り着くとどうも様子が変だ。
猿ヶ馬場山(左)と帰雲山(右)
上部は山スキーが楽しいなだらかな地形
小尾根を乗越して別の沢筋に出て反対の尾根に取り付き、上部の平らな尾根を目指してとにかく登っていく。傾斜が緩くなってきて、私はシール登行に切り替える。高度計1470m地点でやっと目印のある平らな稜線に到達。予定よりだいぶ先の地点に出たようだ。とりあえずここまで来れば一安心。積雪はたっぷりあり、猿ヶ馬場山へ続くなだらかな尾根を見ながら、のんびりスキーを進める。帰雲山頂上に立ち寄り、HP囲炉裏村のレポートにある避難小屋を確認。ブナとダケカンバ越しに人形山などが望める。
 わずかシール滑降してから、長い登りになる。急斜面は皆無でありスキー向きの山だ。尾根が南側に湾曲している部分はスキーでショートカット。Oさんは忠実に尾根を歩いてトレースしていた。頂上一帯は、ますます平らでオオシラビソの間を縫って行く。まるで東北の山スキーみたいで、この山域には特異な存在かと思う。ほとんど平らな所を進んで、やっと下りに転じた所で頂上に達したと認識。過去のレポートにある標識類は、はずされたのか見当たらなかった。しばらく待つとガスが切れて、三方岩岳方面や、籾糠山から御前岳へと続く尾根などを確認できた。
猿ヶ馬場山頂より
籾糠山と天生峠方面
この周辺の尾根も今の残雪期にはスキーなどでトレースできそうである。
 下りは私はスキーで先行させてもらって、途中でOさんを待つことにする。雪も締まって快適に滑れる。帰雲山へ階段登行の登り返しで疲れたので休んでいるとすぐにOさんもやってきた。帰雲山の下りは本日最高の滑降の場を提供してくれた。行きのトレースは気温上昇とともに消えつつあり、ピンク色の目印を頼りに下る。そろそろ離れないようにOさんのペースに合わせて滑る。しかし我々が登りの時、尾根に達した地点につけた赤布は発見できず、そのまま目印に沿ってあっと言う間にかなり標高を下げてしまった。この辺はもう少し慎重に行くべきだったと反省。左下に林道も見えたので、いい加減目印から反れて、スキーも脱いで左の沢へ下ることにした。ここも急傾斜であったが、ほどなく林道へ。高度計は985mもあり、往路より相当行きすぎたようだ。迷わないよう林道を忠実にたどって、尾根を大きくまわって今朝の沢の入口に出た。ここでよく観察して、行きのミスの原因を確認した。誰にも会わず自分たちだけの山とスキーを堪能できたのは素晴らしかった。今回のルートは前人未踏か?ルートファインディングの楽しさと共に難しさも痛感させられる山行となった。

【連休らしく登山者で賑わう人形山と三ヶ辻山】
年月日 2000年5月4日(木)
装備 プラブーツ,ピッケル,アイゼン
天気 曇りのち晴れ
タイム 上平村(5:00)=中根山荘(6:10/6:34)…登山口(6:52)…宮尾敷(9:27)…人形山(10:34/11:08)
…三ヶ辻山(11:53/12:03)…分岐(12:30/12:56)…中根山荘(14:42/14:58)=くろは温泉(15:27)

 Oさんも帰京し、私一人でもう少し登りたい山を巡ることにする。登山口への林道は標識が少なくてわかりにくい。一昨年この地を訪れ、昨日も偵察したにもかかわらず、田向の集落から湯谷川を渡る新しい大きな橋や工事の影響で迷わされた。バスジャック事件のニュースを聞きながら、中根山荘まで車で入った。先着の5人グループが出発の準備中。積雪状態からいってスキーにはやや遅いと見て歩きで行くことにした。
迫力ある人形山の山容
田向尾根の登路より
 道幅が狭くなった車道を20分ほどで駐車スペースのある登山口、無雪期はここまで車で入れる。田向尾根の下部は針葉樹の合間を縫って登る。枝の張り出しが少々うるさく、この辺はスキーには不適。樹林の合間からは、人形山の大きな姿と北側の岩壁がすばらしい。上部は広い尾根となり、ここまで来るとスキーがほしくなる。鳥居の立つ宮屋敷に登り着き、前方には三ヶ辻山の小突起から人形山にかけて台地状の山なみが広がる。
 ここから頂上までは概ね平らな雪上、途中1箇所急登がある。部分的に夏道が出ていた。さしたる困難も無く頂上へ。やや曇りがちながら笈ヶ岳をはじめとしたパノラマを満喫。私以外に3組が相次いで到着。先行の賑やかな5人組は季節感を持たせると言って鯉のぼりを持参。私も記念撮影用に貸していただいた。単独の若者はこの後、ブナオ峠〜笈〜三方岩の私と同じ縦走に向かうという。
 頂上から見る三ヶ辻山は、直下にクレバスが走り危険に見える。他のパーティーは敬遠して下山していったが、私は行ってみることにした。笈でもあの程度の場所を歩いたんだし。トレースは無く、頂上の平坦部手前の急斜面が難所だ。尾根の両側に雪が崩れかけ、中央に広い裂け目ができていた。登りの際はこのクレバスの中に下りて少し登り、ピッケルを頼りに3mほどの垂直の雪壁を越えて脱出。雪上から右手の夏道に渡ることができ、無事登頂できた。天候も回復して青空が広がり、だだっ広い三ヶ辻山頂上は、昨日の猿ヶ馬場,三方崩〜笈〜大笠の稜線も良く見えて縦走の苦労を思い出す。白木峰・金剛堂方面は初めて観る山域だ。問題箇所の下りは、クレバスの向かって右側の急斜面をトラバース。滑落と雪崩に要注意で緊張したが、クレバスの中よりはましだろう。
三ヶ辻山
宮屋敷の先の広い稜線にて
猿ヶ馬場山(左)と三方崩山(右)
三ヶ辻山頂上からのパノラマ
 難所を終え一安心して、人形山との分岐で缶ビールを空けて大休止。下山中4人組が登ってきたが、時間が遅いので急登の手前で引き返すという。ここまで来て頂上までもう遠くないのに。宮屋敷からはスキーではないものの靴すべりを交えて、登山口までは1時間の下りであった。

【山スキーヤーの為にあるような山を独占 三方崩山】
年月日 2000年5月5日(金)
装備 山スキー,兼用靴,ストック,シール,スキーアイゼン
天気 晴れ
タイム 白川郷(4:30)=平瀬温泉ゲート(5:08/5:27)…大ノマ谷出合(6:01)…スキー履く820m(6:26/6:39)
…スキー脱ぐ1265m(7:55/8:09)…三方崩山(11:17/12:00)…スキー脱ぐ890m(12:36/12:48)
…ゲート(13:40/13:57)=湯ノ平温泉(14:56/16:52)=郡上八幡(18:00/19:00)=美濃=自宅

 この山は、スキーアルピニズム研究会の会誌ベルクシーロイファーに特集された「山スキー百山」に選ばれ、剣岳の長次郎谷や三ノ窓谷に匹敵するスケールと紹介されている。連休前半の笈縦走にて眺めた山容はすばらしく、今回是非訪れてみようという気になった。
 早朝、平瀬温泉街はずれの大白川林道入口ゲート前に駐車。スキーの準備をしていると、 地元の人が物珍しそうにやってきて「いい趣味だね」などと言われる。大ノマ沢手合まで林道を歩いて30分強。地図で沢が間違っていないか十分確認する(猿ヶ馬場の教訓)。はじめは土砂崩れ防止か何かの工事中みたいで、浮き石がゴロゴロして、沢伝いにスキーをかついで登るのに苦労した。残雪の上に出てしまえば、稜線まで標高差1300mが良い傾斜となって続いている。シールを付けて登っていくと、雪面は大きなデプリの山がたくさんあり、なるべく傾斜の緩い所を拾っていく。
 傾斜がきつくなってくるとシールとスキーアイゼン併用でも苦しくなってきて、途中でツボ足になった。
三方崩山と奥三方岳の遠望(K氏撮影)
大門山から奈良岳へ向かう縦走路にて
雪崩の跡が両岸にたくさんあり、崩れそうな斜面からはなるべく距離を取っていく。比較的広い谷なので雪崩ても逃げ場はありそう。9時過ぎ頃、中規模の雪崩が右上から発生して肝を冷やした。雪を巻き込み下へ行くほど規模が大きくなってなかなかの迫力。下方の私のトレースにかかる辺りで止まった。まだ岩壁の上部に不安定な雪が多少残っているので、いっそう雪崩に警戒しつつ行く。この日は気温も高くて要注意であったが、ちょろちょろ落ちてくる程度のを除けば、大ノマ谷での雪崩発生は先の1回だけで、ヤレヤレであった。
 ようやく谷を詰めて稜線に出るところは、雪の裂け目が大きく口を開けていて、一番狭いところを飛び越える。最後の登りは、はじめ腐り雪の踏み抜きにやられたが、頂上手前は気持ちの良いまばらな針葉樹の中を行く。山頂は樹林の中の平凡なピーク。展望も、白山方面が隣の奥三方岳に隠されてしまいパッとしない。連休ど真ん中なのに、他の登山者には誰も会わずじまい。白山に近すぎることも、こんな不遇の山になってしまった理由か。周辺の山から見ると、すばらしい山容でありもったいない。
大ノマ谷
山スキーには絶好の雪渓である
大ノマ谷最上部からの三方崩山
雪崩には警戒が必要
 頂上から大滑降開始。何とかスキーを履いたまま最上部のシュルントを渡ると、あとは正にスキーのためのフィールドだ。ターンの度に飛ばした雪が、谷にそって球状にゴロゴロ転がっていく。ときどき止まって雪崩の気配が無いか確認する。ゲレンデのようには飛ばせないが、36分でほぼ雪渓の末端まで来て本日の一人舞台終了。林道までの下りは、沢沿いの浮き石を避けて右の踏跡に入ってみた。しかし樹林の中の急傾斜で枝にスキーが引っかかり、かえって苦労されられた。
 これだけ登れれば今年の連休は大満足。まだ休みが残ってはいるが、温泉や郡上八幡などに立ち寄りながら、この日にのんびり家へ帰ることにした。

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