雪山縦走 ブナオ峠〜大門山〜大笠山〜笈ヶ岳〜三方岩岳
【月日】 2000年4月29日(土)〜5月1日(月)
【メンバ】Oさん,Kさん,私
【装備】 ピッケル,アイゼン,テント(2+1人用),シュラフ,食料3泊分,その他雪山装備
【参考】 2.5万図「西赤尾,中宮温泉」,FYAMATRK 北近畿321,旧FYAMAREP山歩きハイク西日本
     3083,FYAMAALP雪山1269,ホームページ 新潟からの山旅,300名山を目指して,他

【初めて笈の姿を目にした 大門山】
年月日 2000年4月28日(金)〜29日(土)
天気 晴れ一時曇り
タイム 自宅(20:34)=岐阜羽島IC(21:50)=白鳥IC(22:45)=道の駅白鳥(22:57//5:28)=道の駅白川郷
(6:30/7:46)=馬狩ゲート(7:56/8:08)=西赤尾(8:33/9:44)…ブナオ峠(13:24/13:35)
…大門山分岐幕営(15:19/15:50)…大門山(16:03/16:42)…テント場(16:55)

 雪が多い今年のGWは、笈ヶ岳を狙うチャンスと見ていた。折しもWASTERのO,K両氏がブナオ峠からの縦走を狙うと連絡が有り、同行をお願いした。前夜車で出発、白鳥で仮眠して早朝白川郷にて、前日東京から車で来たOさんと待ち合わせる。昨日は大雨で天候が心配だったそうだが今朝は回復した。帰りのためにスーパー林道の馬狩ゲートに車デポ。途中工事で通行止めであるが早朝なので通れた。
 荷物を減らしたいため、一応準備したスコップとロープ、コンロも1台置いていくことにした。西赤尾バス停は、合掌造り民家の前に水芭蕉が咲き、桜も満開で心地良い場所。バスで来るKさんをのんびりと待つ。ゲートが閉鎖され除雪された林道をバス停から歩く。プラブーツと重荷の林道はいいとこなし。釣り人以外は登山者の姿を見ない。雪溶けの森林を白く彩るのはキタコブシの花か。除雪終点を越えてやっと雪の上だ。所々ショートカットしていくがペースは上がらない。おそらく今日の先行単独者のトレース有るので気が楽だ。大門山の眺めが良い場所でランチタイム。ブナオ峠で改めて気合いを入れて登りにかかる。500mほどの標高差は雪の状態も良く登りやすかった。途中人形山や猿ヶ馬場山の眺めも良い。大門山の肩に登り着くと平らで絶好のテントサイト。先行者は頂上ピストンしてさらに先へ向かっている。我々はこの辺が潮時ということになった。
 幕営後頂上へ、始め急登で雪庇に注意していく。人形山方面の眺めは良いものの、これから進む見たい方向がガスで見えない。すぐに下るのも惜しいので雑談でもして粘っていると、ガスが晴れてきて、行く手の山々が見えてきた。
大門山頂上からの眺め(K氏撮影)
右から奈良岳,大笠山,笈ヶ岳,仙人窟岳と続く
稜線は真っ白で感動もの。でも尾根が複雑で明日のコースがよくわからない。えっ、笈が見えてるの? すごい岩稜が行く手に見え、あんなとこザイル無いと通れないと思う。しばらく地図とにらめっこして、岩稜は奈良岳の先で稜線から東に分岐する尾根と判る。丸く大きく目立つのが大笠山、その左に少しとんがっているのがあこがれの笈ヶ岳だ。私は初めて目にする姿である。ここからはちょっと小さく目立たないが、良く見ると双耳峰の鹿島槍のような気品のある形をしている。いやいや満足、テントに戻り雪山を眺めながらのビールは格別(今回のメンバは山酒派では無く私だけ失礼した)。食事は三人別々の自分流の山のメニュー、それぞれ工夫があって今後の参考になる。

【残雪の長い道のりを笈ヶ岳へ】
年月日 2000年4月30日(日)
天気 晴れのち曇り
タイム 大門山分岐(5:05)…見越山(7:29/7:45)…奈良岳(8:24/8:43)…大笠山(11:48/12:10)
…笈ヶ岳(15:07/15:42)…冬瓜山分岐幕営(16:07)

 朝のクラストした雪をアイゼンで踏みしめて行く。朝日の当たり始めた山々を眺めて気分は最高。三方崩山と奥三方岳の姿がなかなか鋭い。振り返る大門山は、頂上付近まで樹林が達して丸くおだやかな山だ。赤摩木古山ピーク付近がやや急、その後は概ねなだらかな雪上歩行で見越山に登り着く。大門山や奥三方山(三方崩岳方面と異なる)のあで姿を望む。北側の1621mピークへはヤセ尾根の雪が崩れて
奈良岳の先で急斜面のトラバース(K氏撮影)
大笠山(左)と1668mピーク(右)が見える
簡単には行けそうもない。縦走路は少しブッシュが出ているものの問題ない。次の奈良岳との鞍部に先行者の幕営跡あり。トレースは無くなるが、今朝も我々のコースを先行してるのだろう。
 奈良岳は平らな雪原で広々した山頂だ。大笠山へ続く稜線と白山がくっきり。奥三方の尾根から昨日のものと見られるトレースあり、大笠方面へ続いていた。奈良岳から先は、広い稜線で楽そうに見えたが、雪が柔らかくなりすぐアイゼンがダンゴになって滑るという悪雪に難儀した。頻繁にピッケルでアイゼンにまとわり着く雪を落としながら進む。1591m岩峰ピーク付近は、稜線はブッシュと岩が露出しており、左側の残雪の急斜面を慎重にトラバース。
 1668mピーク手前で昨日のトレースは無くなった。日帰りでここで引き返したらしい。再び自分たちでルートを選んで行かねばならない。大笠山への稜線は、北東側に雪庇が発達していたので、なるべく右寄りにルートを選ぶ。頂上直下の急登は大きな雪の割れ目ができてなかなかの迫力。右側のブッシュが出ている方を登れば安全だ。ここを登り切るとシラビソの生えた平らな一帯に出て、一番奥が頂上だ。桂湖方面からの登山者が多く入っている。頂上で会った単独登山者は、軽装の日帰りで笈を往復とのことで、相当な健脚の持ち主だろう。頂上標識類は登山者に掘り出されてすべて雪の上に出ていた。上空が曇ってきてはいたが、笈へ続く稜線と白山連峰など展望は良好。この先の雪の状態を観察。笈の手前二つの急峻なピークの通過がポイントと見られるが、右側にしっかり雪が着いていて、特に問題は無さそうだ。
 鞍部への長い下りのあと、1741m宝剣岳への登りかえしになる。ピストンの登山者数組とすれ違う。クレバスや急斜面もあるが、トレースがしっかりしていて気が楽だ。最後のピーク1790m(錫杖岳)は左側の垂壁部は雪が崩れ、右側から分厚い積雪の帽子が被さっている。急斜面から右へトラバースして、樹林の合間を登る。ここまで来れば笈は目の前。出発から約10時間かけて、この日ついにあこがれの山に到達、3人で固い握手。
笈ヶ岳と手前ピークへの急斜面
1741mピーク(宝剣岳)より
笈ヶ岳山頂にて
後方は白山連峰
 我々三人以外は人の気配無く、遠い山というにふさわしい雰囲気。白山とその前衛の白い峰々がさえぎるものなく広がる。頂上は雪が溶けて地肌が出て、金沢山岳会の建てた大きな標識があった。二度目のKさんによると前回は無かったとのこと。良く見ると10月設置と記され、そんな時期に薮漕ぎで登ったのだろうか。あっと言う間に頂上でのくつろぎの時間が過ぎ、反対側へ下山に向かう。こちら側も多くのトレースがあったが、多くは冬瓜山の尾根からのものだった。その分岐付近の平坦地で、風を避けられる樹林の影に幕営。

【三方岩岳へも幾多の困難が待ち受けていた】
年月日 2000年5月1日(月)
天気 雨のち晴れ
タイム 冬瓜山分岐(5:50)…仙人窟岳(7:42/7:53)…国見山(10:54/11:14)…三方岩岳(13:39/14:08)
…林道(15:47/15:57)…馬狩ゲート(17:10/17:25)=西赤尾(18:05)

 昨夜は雨となり、冬仕様の私のテントは水が染み込む羽目に。小雨とガスの朝を迎えた。風は無く暖かい。笈から見た印象では今日は楽勝かと思いこみ昨日よりのんびり出発。4年前に来たことがあるKさんの案内で行く。トレースはやや古いものらしく途絶えがち。なだらかな稜線を下っていくと前方に岩峰が立ちはだかる。少し迷って右側の雪壁状をピッケルを頼りに越えた。過去に固定ロープがあると報告されている所か。この先もクレパス雪庇が多くて、いつ崩れるかわからず気が抜けない。いちばん体重の軽いOさんが勇敢に先行。ヤセ尾根の下りで崩れた雪が不安定な垂壁状になり進路を絶たれた。
クレバスがある国見山への登り
難所もここが最後
ここは左側の潅木の出た雪崩跡に入って、下部で雪の隙間を大股でまたいで通過できた。その後Niftyのレポートによると、連休に多くの人がこのコースでここの通過に難儀して、皆我々のようなルートを通過したらしい。ちょっとルート開拓したようなうれしい気持ちだ。Kさんが前回来た時ともだいぶ雪の状況が異なるということだ。
 仙人窟岳付近は一転して平らなパラダイス。Oさんが三年前、少雪のため引き返した場所まで来てその時を懐かしく思い出している様子。そろそろ稜線も所々雪が消え薮が出ているのでアイゼンを外した。次の1646mピークで尾根が別れる。左側へ張り出した雪庇が邪魔で先の尾根が見えず、間違って右へ入りかけた。国見山へは北東側の雪上にはひび割れが走りまくり崩れそうなので薮に入る。瓢簟山の薮に比べればこんなのは大したこと無いとOさんは言う。でも薮の中は雪が腐って滑るし非常に時間がかかる。鞍部付近を通過した後は、また残雪上に戻った。国見山への登りは、上部が急傾斜で雪崩にも警戒して慎重に行く。頂上直下に横長にクレバスが走って通過できず、すこし引き返してブリッジを右に渡った。国見山に登り着くと平坦地で連休にはテント村になるという所だが、誰もいなかった。ここまで思いの外難航して時間がかかった。もう危険個所は無いということでホッとして大休止。
 平らな雪上漫歩を行くと、これまでガスの中だった笈ヶ岳が姿を見せだした。瓢簟山の先のピークからピラミダルな形を望むことができた。Oさんが3年前泣かされたという密薮はすべて雪の下で、あっと言う間にスーパー林道の上の展望台へ。林道は雪崩に埋まり林道からの下山は不可能で、三方岩岳へ登りかえす。左の谷側から熊の足跡が登ってきていた。Niftyによると、連休中に三方岩岳付近は熊の足跡がいっぱいあったとか。
ピラミッド形の笈ヶ岳
瓢簟山付近から望む
三方岩岳への登り
付近では今年熊出没したそうだ
 三方岩岳の展望台は雪が消えベンチで一服。昨年夏、雨の白山山行の出発点だった所だ。濃霧の中で、こんな広々した場所だったなんて想像できなかった。下山は夏道通り岩峰直下の急斜面をトラバースしていく。滑落も恐いが、上から雪が崩れてこないかとヒヤヒヤした。その後は笈と大笠の姿など振り返りながら、尾根を忠実にたどって1160m地点で林道に出た。時々除雪作業車が通る林道を、疲れた足どりでゲートへ。下山が遅くなったので三人で西赤尾の民宿に泊まった。Kさんは、次の目的の猿ヶ馬場山に既に登っているのでその話なども伺う。Kさんは翌日帰京、Oさんと私は、翌日休養日として疲れを癒した。
 あこがれの笈に登頂できたのに加えて、充実した縦走ができて満足している。今回のコースは単独では厳しかったと思う。無事制覇できたのは、同行のお二人の綿密な事前調査と御経験によるところが多く感謝しています。

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