足尾 沢入〜袈裟丸山〜六林班峠〜銀山平
【月日】 99年5月22〜23日
【メンバ】単独
【装備】 皮登山靴,シュラフ,EPI,コッフェル,食料1泊分
【参考】 アルペンガイド「奥日光・足尾・那須」,FYAMATRK北関東1128,他

年月日 1999年5月22日(土) 
天気 晴れ
タイム 浅草(7:17)=相老(10:51/10:54)=沢入(11:45/11:51)…車道終点登山口(13:04)
…賽の河原…小丸山…小丸山避難小屋(16:00) (時計電池切れの為大雑把)

 袈裟丸連峰の縦走と、以前庚申山〜皇海山〜六林班峠へ歩いたことがあり果ては日光白根へ続く、県界尾根との連結を狙う。県界尾根については最近FYAMAバリエーションハイキングでのレポートも多く、機会を見て訪れたいと思っていて、今回はその第一歩だ。避難小屋もあるので、手を抜いてテント持っていくのはやめた。天気も良さそうなので、いざとなれば外でも寝れるだろう。
 早朝の浅草駅から準急に乗り、途中乗り換えが多くて相老まで時間がかかった。さらに、わたらせ渓谷鉄道で沢入へ。観光の人でほぼ満員の状態。水沼駅の温泉の他にも、駅ごとにお客の目を楽しませてくれる施設や、名物の車内販売などサービスが良く、それも人気を呼んでいるようだ。
 沢入では私の他に若い男性3人組。私と同じに小丸山泊まりで縦走、彼らはテント持参だった。橋を渡っていくと、乗ってきた電車がまだ交換待ちしているのが良く見える。ローカル線の雰囲気がただよう渋い色の車体が良い。林道を歩いていくと、後から先ほどの3人組に超ハイペースで抜かれた。最近では珍しい大学ワンゲルの雰囲気だった。
 車道の終点にはざっと40台の車が溢れていた。いつのまにか袈裟丸山も人気の山になったようだ。下山してくるハイカーの多いこと。荷の多い山中泊らしき人は稀だ。沢筋の新緑につつまれた岩場の上で気持ちよさそうに寝ている釈迦像の脇で一服。GWから電池交換を怠っていたプロトレックが、ここへ
アカヤシオと皇海山,日光白根山 好天の小丸山頂上にて
来てついに時刻も表示しなくなった。しょうがなく時間は陽の加減と勘で推し量ることになる。こういうのも悪くはない。
 賽の河原で尾根に出る。樹木が切れ無数の小石が詰まれ、中央にお地蔵さんが遷座してこの付近だけ妖気がただよう広場だ。アカヤシオを愛でながらなだらかな尾根道をたどり小丸山に登り着く。好天に恵まれアカヤシオを前景に、皇海山〜鋸山〜庚申山の奥にまだ残雪もある日光白根山まで望めた。袈裟丸連峰が逆光のシルエットとなって、思いのほか険しいピークが連なっている様子も望む。
 ひと下りで小丸山避難小屋に到着。とても小さく4名以上では窮屈で期待はずれだった。周囲は草原でテント7張、ツエルト1張。小屋泊まりは2名だけだったので余裕ではあった。水場は5分ほど下ったところ、水の量は少なかった。外は天気は良く虫もいないし寒くもないし快適。外で食事をして、荷を軽くしようとウイスキーを空ける。うとうとして気づくと暗くなっていた。半分寝ぼけながら星空が美しいと感じながら小屋に入ってすぐ寝た。最近は立派な避難小屋も多いが、ここはテント持参の方が正解。

年月日 1999年5月23日(日)
天気 晴れ 一時曇り
タイム 避難小屋(5:12)…前袈裟(6:00/6:20)…後袈裟(6:50/7:00)…奥袈裟…法師岳(9:15/9:45)
…六林班峠(11:00)…庚申山荘(12:30)…銀山平(14:00/14:45)=(タクシー)=原向(14:55/15:10)
=相老(16:16/17:00)=北千住(18:41) (時計電池切れの為大雑把)

ダケカンバの新緑が心地よい草原 小丸山避難小屋から袈裟丸山への登りにて
 目が覚めると周囲は明るくなっており、寝過ごしたかと思い慌てて仕度にかかる。時間を訊くとまだ4時半前で十分早い。縦走の人が先に2組程出発、後に続く。ダケカンバの新緑が朝日をあびて美しい。草原状で周囲の山々の眺めも良く、実に気持ちの良い道だ。登りで昨日のワンゲル3人組に抜かれる。草原状の尾根に上がるとまもなく袈裟丸山こと前袈裟に登り着く。展望は樹木に遮られ気味ながら小広い山頂は家族やグループでの登山にもってこいだ。
 この先の縦走路は八丁張コルの崩壊で通行止となっていたが、先行者もいるようだしそのまま進む。頂上の先は急に道がか細くなる。問題のコルは、ザレ状に崩れて滑りやすくなっており鎖が取り付けられているが、その支柱もぐらぐらして抜けそうになっている状態。鎖に頼らないようにして慎重に足場を選んで通過。コルからの登り返しは踏み跡もしっかりしていて問題なく後袈裟に登り着く。先行の単独男性に会う。やぶ漕ぎにはまっていて、小法師尾根を下るということだった。この先の縦走路について注意点を親切に教えていただいた。
 縦走路は右側が急な崖になっていて踏跡は不明瞭。時々進路に悩みながら目印の赤布やテープを頼りに進む。中袈裟との鞍部では左に踏跡が下っているのでこれに入らず、右よりに稜線をたどる必要がある(先の単独氏アドバイスが役立った)。中袈裟から奥袈裟へ、さらに奥深い山稜をたどる。一度は間違ったテープに導かれ、尾根道を外して岩稜の上に出てしまい、山腹の鹿道をたどって正しい道へ戻った。
袈裟丸連峰 小丸山頂上より
 奥袈裟の頂上付近は複数のピークがあり、平坦地に踏み跡がいくつかあってどこが頂上だがよくわからなかった。奥袈裟の先、鞍部から登りかえす所も踏み跡が交錯して不明瞭。登りかえしていくと再び道がはっきりしてくる。小ピークを越えると小法師尾根の入口の標識がある。次の法師岳頂上にもはっきりした標識があり、核心部は越えたかと大休止。しかしこれが甘かった。しだいに笹薮にはばまれるようになり、男山の付近は踏み跡も見いだせない完全なヤブ漕ぎになる。
 ルートに不安を感じながらも尾根をはずさないように進み、やがて踏み跡が見えてくるが急傾斜に突き当る。前方左が見覚えのあるような六林班峠辺りの地形のように思え、この辺が峠の手前で道が90°左に曲がる問題箇所かと思うが、鹿道も交錯しどれが正しい道かわからない。しばらくうろうろし、適当なところで左に入る。狭い樹林の間を強引にくぐって進むと、平坦な笹原に出て踏み跡もはっきりしてきたかと思うと、六林班峠の標識に出た。これでようやくヤブ漕ぎも終了、思ったより手強いヤブ道であった。
 山腹を巻く長い道は、皇海山の下りに以前利用したことがあり懐かしい。沢の横断部の崩壊箇所もよく整備されていた。それにしても登山者がいない。庚申山荘でようやく人に会い時刻を訪ねるとまだ12時半ということで、思ったより早い時間だった。まだこの時間では皇海山から下りてくる人はいないわけだ。ずいぶん長くヤブ漕ぎを続けた感じで、雲が出て日も陰ってしまったので、もう午後2時は過ぎたかと思っていた。たまに時計無しで山を歩くと、普段時計に頼って生活している自分の勘はあてにならないことがわかる。
 林道をさっさと下り、かじか荘で露天風呂とビールで帰路に着く。渓谷鉄道でも途中駅の停車時間でビールとつまみを仕入れて、景色もおかずに山行の余韻を楽しんだ。

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