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八ヶ岳積雪期バリエーション 旭岳東稜〜権現岳〜小淵沢(西朋登高会)
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【月日】 2000年2月11日(祝)〜13日(日)
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【メンバ】O君,私
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【装備】冬山装備,ロープ,登攀器具,スノーバー,アイスハンマー,スコップ,ビーコン,
ピッケル,アイゼン,ワカン,テント一式
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【参考】FYAMAALPアルパインクライミング662,その他昔の記録
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| 年月日 |
2000年2月11日(金) |
| 天気 |
晴れのち曇り一時小雪 |
| タイム |
八王子(8:33)=(JR特急)=甲府=小淵沢=清里(10:43/10:55)=(タクシー)=美ノ森登山口(11:05/11:25)
…出合小屋(14:25)…尾根取付テント場(14:40)
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三連休にO君が行きたいという旭岳東稜に同行させてもらうことにした。キレットから権現岳へ登る途中にある旭岳は、縦走路はわずか山頂を巻いてしまうため印象が薄い山である。しかしここの東稜は、地獄谷側からの最も代表的な雪稜ルートということだ。一昨年のNiftyには美ノ森から日帰りで行った記録があり、また秋にガイド山行で隣の天狗尾根を下った時の感じから、割りと軽く考えていた。鈍行で先行したO君と小淵沢で合流。近年は雪が少ない傾向だが、もっと古そうな過去の記録コピーを見せてもらうと、ラッセルや微妙なバランスの岩登り、雪崩要注意の斜面など難しそうなことが書いてある。これは自分の実力以上の所に来たかと多少心配になる。
清里駅からタクシーで美ノ森林道への登山口へ。この付近で積雪20cmほど。はじめはトレースが無い登山道を歩く。林道に出ると4WD車の跡有り、三連休とあって先入山者は結構多い模様。晴れの予報に反して山の稜線には雲がかかり時折小雪も舞う。林道から沢に入り、堰堤を幾つか越えていく。天狗尾根の時下ったはずだが、こんな所通ったっけ? 出合小屋に着き、もう少し先へ向かう。広くなった所にテント1張りあり。付近を偵察し、ここが権現沢と上ノ権現沢の分岐点で、目標の旭東稜取り付き点だと判る。権現沢,ツルネ東稜,旭東稜のいずれにもトレース有った。テントの男女4人パーティーも明日旭東稜へ向かうという。我々もこの付近をテント場にすることにした。
| 年月日 |
2000年2月12日(土) |
| 天気 |
晴れ |
| タイム |
テント場(6:40)…上部岩稜帯取付(10:30/11:30)…五段岩場上部(14:30)…旭岳頂上(17:20/17:30)
…テント場(17:40)
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6時出発のつもりが、暗いのと天気も曇っているのとでしばらく躊躇していたが、しだいに晴れて稜線も見えだしたので出発。別のパーティーもほぼ一緒に出発。彼らはテントを張ったまま空身で向かうようだが、我々はビバークの可能性も高く荷物は全部背負う。ラッセルの心配は無用で、最初からアイゼンでスタート。
天狗尾根と赤岳
大天狗やカニのはさみなどの岩場が見える
| 権現岳から旭岳にかけての稜線
昨日の新雪で真っ白だ
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樹林帯の登りでカモシカ君に会う。やがて展望が開けて、正面に権現から旭の稜線が昨日の新雪で真っ白だ。それにしてもルートはどこを登るのだろうか。右手には大天狗からカニのハサミまでに天狗尾根が一望のもと。この先は尾根が痩せて一段下がる岩場があり、慎重に通過。痩せ尾根からコメツガの急登を続け、ダケカンバの急斜面に出る。
核心部の五段の岩場
ここでしばらく順番待ち
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ここは雪崩要注意とされている所、先行2名ノーザイルで登っている。その後小雪崩が発生したのを見て、我々はザイルを出して木に支点を設けて、慎重にスタカットで3ピッチ登った。途中で後からのパーティーが追いついてきて、先を譲った。
登り切ると目の前に五段の左下がりのバンドを持つ岩場があり、核心部の下に出た。朝の新雪が溶けて岩が露出している。取り付いているパーティーは、昨日尾根の途中でビバークしたようだ。私はアイゼンでの岩登りは未経験だが、取り付いている人は何とか登っていて、我々も順番を待って岩稜通しに挑戦することにした。人数の多い2パーティーは、岩場を避けて左の潅木の生えた急斜面をザイルFixして雪を落としながら登っていった。
いよいよ順番が回ってきた。トップのO君は、一段目は苦労して強引に乗り切り、二段目は順調に登り、かぶり気味という三段目は難航し最後に思い切ったところで落ちた。左の草付を少し滑落して支点が効いて止まった。三段目はあきらめ二段目から左にぬけることで、私が登る番となった。ところが一段目も難しく一度落ちて力も入らなくなり、どうしても一段目を越えられなかった。荷物とアイゼンの影響もあると言いたいが、実力不足が露見してがっかり。O君には申し訳ないことに、クライムダウンと懸垂で下りてきてもらうことになり、カラビナ1枚残置となった。
日も傾く中、旭岳頂上を目指す
高度観のすばらしい雪稜
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後には最後に登ってきた5人パーティー、だいぶ待たせてしまった。トップはかなりの実力で、我々が登れなかった岩場を難なくこなしていく。我々は岩場より易しい左の急斜面へルートを取るが、こちらもなかなか厳しく枝につかまりながらアイスクライミングに近い登り方でスタカットで行く。2ピッチで岩稜ルートと合流し、先ほどお待たせしたパーティーが残置を回収してきてくれたお礼を言い、空身の彼らに先に行ってもらった。核心部は越えた。両側がスパッと切れた凄い高度観の雪稜を行き緊張の連続だが、これぞ冬期バリエーションならではという所だ。途中確保支点の木が無く、スノーバーというペグのお化けみたいなのを雪の中に刺して確保。日がどんどん傾いて行く中、最後の力を振り絞って日没直前に旭岳頂上に到着。急に風が吹き付け、他のパーティーはさっさとツルネ東稜方面に下山して我々しかいない。
周囲を観察して、権現岳方面に下った鞍部の先、風を避けられる緩傾斜地を整地してテントを張った。幸い天候も良く、まずまずの居住性が得られたが、疲れ切って食事も簡単に済ませてシュラフにもぐる。
| 年月日 |
2000年2月13日(日) |
| 天気 |
晴れ(朝のうち曇り) |
| タイム |
テント場(8:54)…権現岳(9:14/9:30)…青年小屋(10:45/11:15)…観音平(13:35/13:55)
…小淵沢(16:10/16:28)=八王子(19:14)
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権現岳と権現小屋
西ギボシ頂上より
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朝は昨日の疲れもありゆっくりする。ガスが晴れると昨日の五段岩場から上のルートが良く見える。O君の希望もあり、権現岳を越えて小淵沢へ向かう。踏跡もあり途中の垂壁にかかる梯子も露出していて、ザイルも不要であっけなく権現岳へ。風も弱く南アの展望見ながらのんびり記念撮影。西ギボシの頂上を踏み、青年小屋へ。やせ尾根やトラバースも昨日の厳しさに比べれば問題ない。
青年小屋付近は、三連休にテント泊した跡あったが、みんな帰ったらしく人の気配無し。小淵沢へ長い下りは装備の重さもひとしおでバテてくる。背後の権現岳を振り返るとあそこにいたんだなあ、と感慨が湧く。タクシーにも乗らずに歩き通した。天候に恵まれ登山者も多く、O君のガッツと好条件に助けられた形で、無事本格的冬山バリエーションを成功でき、私にとっては貴重な体験となった。やはり課題はクライミング技術である。
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