Sequoia & Kings Canyon[セコイア&キングスキャニオン] Mineral King[ミネラルキング] Crystal Lake[クリスタルレイク](3200m)、Monarch Lake[モナークレイク]
年月日 2012年8月18日
天気 晴れ時々曇り一時雷雨
タイム Cold Springs Campground(6:30)=Trailhead(6:40/6:50)…Timber Gap Trail Junction(7:15)…Monarch Lake Trail Junction(8:44) …Cristal Lake(9:45/10:05)…鞍部の先のPeak(10:40/10:50)…Monarch Lake(11:50/12:05)…Trailhead(13:55/14:15) =Silver City(14:30/14:40)=Three Rivers(15:55/16:53)=Hanford(17:50)=Lemmore Travelodge(18:30//6:45) =Route 5=Hayward(9:35/9:45)=San Francisco Airport Rent A Car Return(10:15/10:25) =International Terminal(10:40/14:20)→KE024→Seoul Incheon(18:10/21:00)→KE719→羽田空港(23:15)

カール状の周囲の岩山を湖面に映すCristal Lake
 山歩きができる最終日、今日はハイキングガイドに無く地球の歩き方に上級コースとして紹介されているCrystal Lakeを目指すことにする。標高差があって健脚向ということで最後のぶんばり所だ。他のキャンパーに先駆けて朝早くスタートする。Campgroundのすぐ近くにMineral King Ranger Stationが建っているが、朝早いので誰もいない。10分ほどで車道は終点となり付近にも民家が何軒か建っている。最奥部にあった案内地図で登り口を確認すると、最奥部はFranklin TrailheadでFarewell Gap(3227m)方面やEagle Lake Mosquite Lakeなどへの登山口。少し戻った広い駐車スペースの場所がSawtooth Trailhead(2380m)で今日のコースの入口だ。今朝はこれまでより上空の雲が多いが青空も見える。Sawtooth[サメの歯]というよりはサメの尾ヒレのような直角三角形をした突起が昨日Campgroundから見えいたが、あれがSawtooth Peakなのだろうか。草原地帯を歩き始めると鹿の家族がお出迎え。White Chief Canyonへの谷奥にきれいな三角錐の山が覗いている。牧場地帯の登りとなり始めから結構きつい。Timber Gap(2880m)への分岐点からは平坦な道をしばらく戻るように進み、大きく迂回して登山口に注ぐ川の直上に出る。まっすぐ登ってきたい所だがそういう踏み跡は付いていないようだ。沢沿いしばらく登ってから渡渉して対岸の尾根に取りついていく。このあたり道がややはっきりしないので注意を要する。ジグザグに高度を稼いでいくと周囲の山々の展望が拡がってくる。自分が先頭かと思ったらBackpack装備の先行3人組に追い付いた。荷物が重たいのか彼らは少し歩いてはすぐ休みで非常に遅いペースだ。
 Monarch LakeとCristal Lakeの分岐点に着く。ここには明瞭は道標があったので迷う心配は無い。まず前方の稜線の鞍部を目指してトラバースしていき、鞍部からは左へ道が続いている。途中右へ下るとCobalt Lakeに至るという標識があり、Cristal Lakeへは左にそびえる岩峰をトラバースしながら直進する。やがて樹林帯の限界を超えて周囲が開けると眼下の草原地帯には点々と池塘が見られる。黒っぽい色に見えるので暑さで干上がっているのだろうか。
草原に点在する池塘とKaweah River East Forkの谷を隔てて反対側の山塊
またKaweah River East Forkの最上流の谷を隔てた反対側の山塊の眺めが雄大である。カール地形の岩壁を持ち雪渓が残る山々がアルプスのように連なっているが、残念ながら山の名前は良くわからない。道の両側の花々はやや盛りが過ぎている感じだが、所々ワタスゲやルピナスのような花の名残が見られた。さらに露岩を縫うようにガレ場の急坂をジグザグに登っていくが、目指す湖がなかなか現われない。リスはどこでも良く見かけるのだが、この辺りは標高が上がったせいかマーモットが多い。鳴きウサギの声も耳にするものの姿は確認できない。ペースを上げたので汗だくになってCristal Lake(〜3300m)に着いた。北岳より高い場所まで登ってきたことになる。カール状に周囲を囲む岩山を湖面に映し、対岸の湖畔に雪渓も残っていて、人の気配は全くなく静かな山上の別天地である。ただしここは小さなダムでせきとめた人造湖で水源に利用されており、湖水には魚の姿も見られるがこれも人為的に放たれたものだろう。展望もこれまでと同じ方角だけで、前方に拡がっていると思われる4000m級High Sierraの山並みは周りのピークに阻まれて見ることができない。目の前のピークへ痩せ尾根をよじ登って行きたい気に駆られるが、踏み跡は全くなく付近の地形図も全く持っていないので、その先の山に邪魔されているかもしれないと思いなおして止めておく。
 来た道を戻る途中、鞍部から少し尾根を歩いた先のPeakへ寄り道してみる。左へ続く稜線にあってこれまで前衛峰に隠れて良く見えなかった方面が見えるようになった。一番高い山が入場ゲートでもらった地図に載っているFlorence Peak(3789m)であろうか。細かい地形図を入手しないと山名が全然わからない。尾根筋が入り組んで地形は複雑で、名前もついていないPeakもあるかもしれない。これまでで最もMt. Whitneyに近い位置に来たのにその姿が望めなかったなど展望に関しては若干欲求不満が残るコースであった。途中Cristal Lakeへ向かう単独者に初めて会い、雲が増えてきた空を見ながら「今日は降るねえ」といわれる。
鞍部の先のPeakからFlorence Peak方面を望む
Sawtooth Path方面のサメの尾ヒレのようなPeak
時間もあるので分岐点から今度はMonarch Lake(3170m)まで往復してみる。前方に木がはえていない岩とガレの稜線の上にあのサメヒレピークが付き出ているのを見ながらトラバース道をゆるく登っていくとMonarch Lakeだ。湖畔は岩がごろごろした平らなキャンプ地であり思いのほか人が多く、ほとんどの人はテントや食料など担ぎあげてここで一晩を過ごすみたい。下界の猛暑を思えばここは山上の別天地、Ranger Stationに届けを出して自然の中で釣りをしたりバーベキューをしたりでのんびり週末を過ごすのもこの国の庶民的なスタイルと見える。登山口の地図に、此の先Sawtooth Path(3566m)を超えてKERN Riverの谷へ抜けるルートは未整備と書かれていたが、踏み跡らしきものは皆無で歩いている人もいない。その谷を隔てた向こうにMt.Whitneyなどの4000m級の稜線がそびえているのだ。休んでいるとぽつりぽつり雨粒が落ちてきてそろそろ下山にかかる。日本で見るより一回り大きい雷鳥が現われ、天気が悪くなると出てくるのは日本と同じだ。樹木の間から昨日の巨樹の森方面へ続いている山を眺めながら来た道をぐんぐん下る。標高の低いエリアは針葉樹の緑に覆われているが、Giant SequoiaなどのBig Treeは極めて限られた場所でしか見られず、あの巨樹の森は貴重なものだと言う。雷雨は大したことなく最後の山歩きも無事終了。
 Silver Cityにちょっと寄ってみるが、鉱山の遺跡などはほとんど無くて銀製品の土産物などの売店があるぐらいで、あまり見る所は無かった。再び非舗装の林道を対向車に注意して走り、暑い下界に下ってきた。まずThree Riversという周りは牧場と山に囲まれた町中に入って行くと、中心部は銀行やマーケットなどもあって田舎とは言えないような結構大きな町だ。軽く腹の足しにとバーガーレストランに入ると、注文しないのにバスケット一杯のコーンフレークみたいなスナックが出てきた。これはサービスみたいだ。コーヒータイムなのかスナックをかじりながら飲み物で駄弁っている人で店は結構一杯。勝手が良くわからずバーガー料理を注文して料理が出てくるのに時間がかかった。 San Franciscoへの距離は400km強、飛行機は明日の昼過ぎの便であり、早めに適当なモーテルを探して1泊し、朝早く出て安全運転で空港を目指すことにする。Lake Kaweah[カウェア湖]を過ぎると穀倉地帯の大平原を走って行く。Visalia[バイセイリア]、Hanford[ハンフォード]と市街地を通過していく。いずれも相当大きな町で手頃に泊まれる所が簡単に見つからないので先へ進む。ガソリンが無くなってきたので、給油標識を見つけてFreewayを下りると、Travelodgeという大きなモーテルがあり値段も相場程度だったので泊まることにした。受付のお姉さんは愛想が悪く、クレジットカードを繁々と眺めて非常に念入りにチェックされ、何だか治安の悪そうな所なのかと思う。Internetに接続されたPCを使おうとしても日本語は使えずメール確認はここでもできなかった。すぐ近くがLeemoreというさびれた町の中心部になっていたが、土曜日の午後はスーパーなど早々に店じまいして買い物は何もできず。近くにVineyard restaurantという店が早朝から夜遅くまで営業していたのでアメリカンな食事をすることはできた。隣の催し物場では夜遅くまでロックの演奏をして騒音を撒き散らしていたので文句を言いに行ったら、警備の人が彼らはNavy[海軍]だから文句言うなと言う。夜11時前になってやっと静かになった。
Monarch Lake湖畔にて
 最後に飛び入りで泊まった場所は何かと良くなかったが、翌朝気を取り直してドライブ再開。前方にDiablo Rangeの山脈が近づいてきた所で右へInterstate5号線に入り後はほぼ一直線、朝は車の流れもスムーズである。西海岸まで出てくると気温は急に下がり快適な陽気、こちらは高級住宅値で内陸側とは住んでいる人も一線を画するのだろう。初日に渋滞にはまったので、市内の中心部を避けてSan Francisico Bayの南側に架かるSan Mateo-Hayward Bridge[サンマテオ・ヘイワードブリッジ]を渡った。通行料$5を取られるが、Bay Bridgeに比べてはるかに眺めが良く一度は渡ってみる価値がある。十分余裕で空港に到着し、レンタカー返却に際し駐車時に下部を岩で傷つけた個所も特にチェックされず安堵して帰国の途に就いた。San FranciscoやYosemite Villageなど観光地が混雑する半面、広大なCalifornia州山岳エリアには人の手が加わっていない大自然が拡がっていた。多くの職員やRangerによって何かと煩い規則の元国立公園が運営されレクリエーションの場として国民に浸透していること、そして山や街中で出会った様々な人たちにUSAの素顔を感じながらの山旅であった。

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