エクアドル チンボラソ峰登頂 その1

エクアドルというとガラパゴス諸島が有名ですが、エクアドルアンデスの最高峰「チンボラソ」は主峰ウインパー峰が6310m、その断崖やクレバスの上の丸い大きな山容は人々を魅了します。赤道付近にあり地球の中心から一番高いところということでも知られています。今回はA社主催ツアーで、一般的な西稜から西峰(6267m)へ登頂しました。初めてのアンデス地方の雰囲気を楽しむとともに、高山の厳しさも実感しました。

期間 1995年12月27日〜1996年1月7日
ガイド 西村豊一氏(湘南クライミングスクール),ロムロ・バスニーニョ,フェルナンド,ディエゴ
参加者 男性 O,T,H,S,私
女性 F
装備 プラブーツ,ピッケル,アイゼン,ハーネス,シュラフ,羽毛服,冬山用ウエア,etc.

【長いフライトで南米の地へ】
年月日 1995年12月27日(水)〜28日(木)
タイム 成田空港(19:05)→(AA060)→ダラス(15:15/17:45) →(AA901)→マイアミ(21:30)
エアポートホテル泊//マイアミビーチ巡り(9:25〜11:30)
マイアミ(16:50)→(AA967)→キトー空港(21:00/21:30)=ホテルキトー(22:00)

 現地参加のSさんを除くメンバーが集合。山岳会所属のO・Fペア、アコンカグア登頂歴のあるHさん(何と去年のウイルヘルムでも御一緒した方)など若手の強力メンバーだ。ガイドの西村氏のプロフィールもいただく。アイアンマンクライミングと称して穂高のハードルートの連続登攀+縦走など超過激なことをやっていてびっくり。
 南国マイアミまでやってきた。西村氏お勧めのエスプレッソコーヒーはさすが本場。空港ターミナル上の大きなホテルに一泊。同室はHさん。翌日は出発まで時間があり、有名なマイアミビーチからダウンタウンへとタクシーで廻った。例年は冬でも泳げるそうだが、今年は異常な寒波の影響で肌寒くてとても泳げる陽気ではない。屋上のTop of the Portというレストランでビールとやたら量が多いサンドイッチのランチ。定刻にキトーへ向けて飛び立ち、夜遅く霧のキトー空港へ無事着陸した。この時間にもかかわらず、迎えの人などが大勢いてごった返してちょっと不気味。Fさんのザックの雨蓋に入れてあった、コンパクトに畳める羽毛服が摺りとられたようだ。一度も着てなかったのにい、と彼女は悔しそう。くれぐれも注意しなければ。滞在先のホテルキトーは広々して中庭にプールもあるきれいな建物だ。

【まずは順調な高所順応】
年月日 1995年12月29日(金)
タイム ホテルキトー(8:00)=林道途中[3540m](9:20)…[4200m](11:52/12:12) …出発点(13:55/14:03)
=ホテルキトー(15:55) 街の散歩(〜16:40)

キトーの中心街
 翌朝のキトーは濃霧。海抜2800mの盆地で霧が発生しやすい。計画ではパソッチャ(約4000m)に登ることになっていたが、場所が遠いという理由で、明日登頂予定のピチンチャ(4839m)の途中まで行くことに変更された。今後登山活動全般につきあっていただくガイド(ロムロ・バスニーニョ)とともに出発。
 近代的な都市のキトー中心部から、古い町並みの旧市街を抜け、ダート道で高度を上げていく。終点まで行かずに3500m付近で車を止めて、ここから車道を歩いていく。途中で道を外れて放牧場を歩く。木が一本もない乾いた草原が広々と続き、アンデスに来たんだなあと少しずつ感じてくる。雲の中から もっこり岩が突き出た形のピチンチャが覗く。周囲には同じように草原の向こうに岩山がたくさんあり 、名前を聞くとどれもワワピチンチャ(=小ピチンチャ)と言う。要は無名峰ということだ。付近はキト ーの町並みの眺めが良く、パネシージョの丘の天使像も見える。4200m程度まで登ってから、車道終点(3900m)を経て車に戻る。
もっこり岩が突き出たピチンチャ
 ホテルに帰ってからHさんと少し外をぶらついたが、雨が降ってきたので、小型の黄色いタクシーを拾ってもどる。2000スクレ(1$=2850スクレ)以下で乗れ、安くて安全なのでちょっと市内を廻るのにタクシーは便利だ。夜は西村氏顔見知りの、キトー日本人会会長の松本氏が歓迎の夕食に連れていってくれた。南米では定番の焼き肉。T-Boneステーキなど真っ黒に焼けた肉が次から次へ出てきて腹一杯。日本人で残さない人はまずいないというが、今回のメンバーで2名程全部食べた人がいて(私では無い)賞賛を受けた。松本氏から当地の話を裏話しも含めていろいろ伺い、楽しい時を過ごした。お土産用のキトーのコーヒー(コカインではない)も帰るまでに準備していただくことになり感謝。

【岩場もあるピチンチャに登頂】
年月日 1995年12月30日(土)
タイム ホテルキトー(8:00)=車道終点[3900m](9:26/9:35)…ケルン[4200m](10:52/11:07)
…ピチンチャ頂上(12:22/12:50)…車道終点(14:18/14:21)=ホテルキトー(15:45)
 アマゾネス通り市街散策(〜17:35)

 今朝はホテルから冠雪した山が見えた。コトパクシかと期待したが、独立峰のカヤンベや双耳峰のロマニアウエなど別の山だったようだ。昨夜Sさん無事到着して、チンボラソを目指すメンバーが揃い、昨日と同じ道を車で登りピチンチャ(4839m)を目指す。平らな草原を横断して、ケルンからは高度を上げていく。途中チキーラワというサボテンのような白と赤の花が咲いている。別名エクアドルのエーデルワイスとかで我々にとっては物珍しい。岩壁を巻くように登っていくと、大きな木の十字架が立つ頂上だ。高度の影響もたいしたことなくみんな元気。ガスが出て展望はほとんど得られず残念。ガスの切れ目から一帯は火口壁の雰囲気が感じられた。
道端にエクアドルのエーデルワイス
ピチンチャへの道は放牧場
 下山後、タクシーで中心街に出てみた。近代的ビルの間に歴史を感じさせる建物が介在している。登ったピチンチャなど周囲の山々が夕陽を浴びて美しい。土産店や公園を散策、絵を描いて売っている人が目立つ。思ったより安全で綺麗な町であった。夕食は我々の口にあった中華料理、特にワンタンスープが美味であった。

【チンボラソ峰の麓へ向け火山通りを行く】
年月日 1995年12月31日(日)
タイム ホテルキトー(9:20)=バザール(10:15/10:30)=アイス(11:55/12:10)=ランチ(12:55/13:08)
=チンボラソ登山口[4800m](15:57/16:11)…ウインパー小屋[5000m](16:41/17:10)
…登山口(17:23/17:30)=リオバンバ ホテルモンテカルロ(19:34)

椰子の実を売る露店
 レインボーカラーのバスでアメリカ大陸縦断ハイウエイを南に走る。エクアドル火山通りと呼ばれ、ツインピークのイレネーザ,独立峰のトゥングラファ,岩山のエル・アルタールなど冠雪の5000m峰が望める。道わきの露店に立ち寄るとブタやモルモット(?)の丸焼きが豪快だが食べる気はしない。1000スクレの椰子の実は、ストローを刺して飲むと薄い乳性飲料の味でGood。途中の町で食べた3段アイス(三色のシャーベット風)は大好評。チーズもクリーミーで食べやすい。
 アンパトの町でハイウエイを右に折れ、チンボラソの西側をまわる道に入る。きょうは大晦日で、村祭りが行われている。おめんをつけた村人が道を木やロープでふさぎ、通行料を要求する。地方の風習らしいが、とばっちりでやたら時間がかかった。不気味な赤い服の人形を道脇に祭ってあり村人の信仰と関係あるようだ。高度を上げると雲の間から氷河に覆われたチンボラソの勇姿が望め、荒涼とした砂漠草原に山麓に住む遊牧民の姿が見られる。彼らの奏でる笛の音に、本場アンデスのまっただ中を感じる。
 分岐から砂利道の登山車道を揺られて4800mの車道終点まで上がる。体慣らしの為5000mのウインパー小屋まで往復。脈や呼吸数を測る。多少の頭痛以外はまだそれほど高度障害は感じない。バスでリオバンバの町へ。途中夕日に赤く染まるチンボラソ峰が見事であった。ビターニャと呼ばれる高山の鹿が多い。日が暮れてもまだとおせんぼしているしぶとい村あり。こじんまりしたアットホームなホテルモンテカルロに到着、長距離ドライブで疲れた体を休める。
アンパト郊外からトゥングラファを望む
チンボラソ山麓に住む遊牧民


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